幽霊少女のねがいごと

身体が、動かない。
自室のベッドに仰向けになったまま、
指一本動かすことができなかった。

できるのはせいぜい、まぶたをパチパチと開け閉めするだけ。
だけど何度まばたきしても、目の前の光景は変わらなかった。
女の子が……僕の身体にまたがっていた。

「あ……お目覚めですか、刑事さん」

声を聞くのは、はじめてだった。
だけど、この女の子の顔を僕はよく知っている。
毎日毎日、何十回も何百回も見つめていた顔だった。
……僕が捜査している事件の被害者。
一か月前に、近くの高校で亡くなった女の子。

「ふふっ……信じられないって顔、してますね。
 でも、とても単純なことなんですよ。
 私は幽霊になってしまった。それだけです」

口元にかるく手をあて、少し楽しそうに少女が微笑む。
その身体は透けてもいないし、手足もちゃんとある。
だけど……まるで身体の重みを感じない。

写真で見たのと同じ白いセーラー服に、
長く艶々とした黒髪が胸のあたりまで流れてる。
周りに聞いた話では、読書好きな物静かな子だったらしい。
色白のきれいな肌も、そんな話を裏づけるようだった。

ただ……その大人しい性格とは不釣り合いなほどに
胸元は豊かに膨らんでる。
彼女を見上げる格好になっているのもあって、
つい視線が引き寄せられそうになる。

「刑事さん……ううん、お兄さんって呼んだ方がいいでしょうか。
 あなたが犯人を見つけようって頑張ってくれてたの、
 私……ずっと見てたんです。
 だから、今日はそのお礼をしようと思って」

女の子がそう言った途端、
僕の下半身に柔らかな感触が当たる。
重みさえなかったはずの少女の身体が、
今はたしかな感触のあるものに変わっていた。

「ほら、私の身体の感触、分かりますか?
 私、幽霊だから……本当は人には触れないんです。
 でも、お兄さんには触ろうと思えばできちゃうんです。
 くすっ……どうしてなんでしょうね」

しっとりと、でもどこか悪戯っぽさを含ませた声で、
女の子が僕に語りかけてくる。

だけど、まだ頭がぼんやりして現実感が湧かない。
疲れきって帰宅し、着替えもせず寝床に倒れ込んだのまでは覚えてる。
だとしたら、これはたんなる夢だろうか。
あるいは、金縛りのときに見るという幻覚だろうか。

(でも……それに…しては………)

ズボン越しに押しつけられる、下腹部のあたたかさ。
腰のあたりをさする、太もものやらかさ。
かすかに漂う、シャンプーの優しい匂い。
なにもかもが、あまりにリアルだった。

「お兄さん……自分で気づいてますか?
 すっかり固くなってますよ?」

一瞬なにを言われたのか分からなくて、
それから遅れて、ペニスがガチガチに固くなってるのに気づく。
顔が、かっと火照るのが自分でわかってしまう。

「女の子にすりすり…って、されて
 気持ちよくなっちゃったんですね?
 ん……大丈夫、怒ってるわけじゃないんですよ。
 だって、私のお礼って……そういうことですから」

彼女の腰がわずかに前後に動く。
甘くやらしい感触が、何度もペニスの上を這い回る。
カウパーがじわりと漏れ出てくる……。

「ね……もっと気持ちよくなりたいですよね?
 でも私、お兄さんの身体以外には触れないんです。
 だから、お洋服は自分で脱いでくださいね」

女の子がそこで言葉を切ると同時に、
腕が軽くなるような感じがあった。

(……手が……動…く……?)

思わず、腕を持ち上げて動かせるのを確かめて、
それから……ほとんど無意識のうちに
両手を少女に向けて突き出してた。

「だめですよ?」

僕が突き出した両手は、彼女の上半身をすり抜けた。
雲の中に手を突っ込んだみたいに、
なんの手応えもなく宙を掴むだけ。

「どこを実体化するかは、私の自由ですから。
 ふふっ……残念でしたね、お兄さん。
 私を突き飛ばして逃げようとしたんでしょう?
 ………あ、それとも」

女の子の顔が僕に少しだけ近づく。
たぷっ…と、音が聞こえそうなほどの胸が
僕の目の前で揺れる。

「逃げようとしたんじゃなくて、
 私の胸でも触ろうとしたんでしょうか。
 だって……目が覚めてから何度も見てましたよね。
 そのたびに、ここがぴくぴくって跳ねてましたよ?」

ズボンの向こう側から、
少女がペニスの裏筋あたりを丹念になぞる。
そんな弱い刺激にさえ、ペニスが根元からひくついてしまう。

「さ、そんな狭いズボンにしまってないで、
 外に出しちゃってください…♪
 私、たっぷりとお礼をしたいですから」

(……ぁ………ぁ……)

この子の言いなりになるのは危険かもしれない。
頭のどこかでは、そう考えてる。
だけど……気づいたら手が勝手に動いていた。
ジッパーを引き下ろし、
下着の隙間からペニスを取り出してしまう……。

「ん……すごい大きくなってますね。
 そんなに期待してくれるなんて……嬉しいです」

はにかむように笑って、
女の子が僕のペニスに指を伸ばしてくる。
白くてほそい指が、
ペニスの裏筋に溜まったカウパーをすくい取る。

(……う……ぁ…っ……)

声が出てしまいそうで、でも喉が動かない。
快感から意識を逸らせない。

ペニスの根元に当たるすべすべとした感触で、
この子のショーツに擦れていることが分かってしまう。
粘液まみれのペニスの表面を、
スカートの裾が何度も優しくなぞってく。

「わ……見てください。
 スカートの色がこんなに変わっちゃいました。
 お兄さんので、ぐっしょり濡れちゃいましたよ?」

少女がスカートの裾を指先でつまみ上げる。
ペニスの上を這い回った紺の布地は、
カウパーを吸って裾が色濃く変色してしまってた。
それに……。
そんな風にスカートを持ち上げたり…したら……。

「ふふっ……お兄さんたら、どこ見てるんですか?」

女の子の白いショーツが見えてしまってた。
こまやかなレースが施されたもので、
小さな水色のリボンが付いてる。

「私はスカートを見せようとしただけなのに。
 なのに……女の子の下着を盗み見するなんて、
 とってもいけないことなんですよ?」

そう言いながら、女の子はスカートの裾をひらひら揺らす。
紺色のプリーツスカートが左右に振れるたびに、
少女の下着がちらちら見え隠れする。

「お兄さんの、びくびくしっぱなしですよ?
 私のあそこの下で、早くびゅーびゅーしたいって
 駄々っ子みたいに暴れてます。
 幽霊の女の子のパンツを見ただけで、
 もう射精したくてたまらないんですか?
 お兄さん……とってもダメな人ですね」

くすくすと笑いながら、女の子がショーツ越しの秘所を
ペニスの根元に何度も丁寧に擦りつけてくる。
まるで焦らすように、
ゆるやかに快感が送り込まれつづける。

(………ぁ……手さえ……動け…ば………)

思わずペニスを自分で扱こうとして、
でも、また手が動かなくなってるのに気づいてしまう。

「あ、いま自分でしこしこ…♪って、しようとしました?
 だめですよ、そんなの。
 これは私からお兄さんへのお礼なんですから。
 ちゃんと最後まで、私が気持ちよくしてあげるんです」

女の子の指がまたペニスに伸びてくる。
やわらかな五本の指が絡みつき、竿を持ち上げる。
ペニスの裏筋や根元をショーツに押しつけながら、
亀頭を指でにゅるにゅると撫で回す。

(……ひ…ぁ…あぁ…っ………)

いきなりの強い快感に腰が浮きそうになって、
でもやっぱり身体が動かない。
身もだえすることも許されないままに、
腰から先の感覚だけが膨れ上がってく。

「私、ほんとうに嬉しかったんですよ。
 きっと私が死んでしまったことなんて、
 誰もまともに調べないだろうって思ってましたから。
 だけど……お兄さんは違いました。
 すごく一生懸命に、捜査をしてくれました。
 側でずっと見てたんですよ。
 ずっとずっと、恩返しをしたいって思ってたんです」

ちゅくちゅく…と、女の子がペニスを扱く水音が響く。
押しつけられるるショーツにもカウパーが染み込み、
すべすべだった布地が、ぬるぬるしたものに変わってく。

ペニスはもう破裂しそうなほどに固くなり、
動かない身体のかわりに、ときおり痙攣のように引くつく。

女の子から漂っていたシャンプーの香りに
汗や体臭が混ざり合い、やらしい匂いに変わってく。
嗅いでるだけで、脳みそがどろどろに溶けそうになる……。

(……あ…ぁ………もう…っ………)

射精感がぱんぱんに張り詰める。
これが夢でも幻でもなんでもいい。
早く、早く射精したい。
はやく、はやく……っ……!

「ね、お兄さん……ひとつ約束してくれませんか?」

女の子の指が止まる。
どうして。早く。早く動かして。
射精させて。お願い。お願い…だから…っ……!

「これからも私のことを見捨てないって。
 ちゃんと事件が解決するまで頑張ってくれるって、
 そう約束してくれますか?」

「……約束……する…から…っ…!」

声が、出せた。
だけど、もうそんなことはどうでもいい。
精液を出したい。それしか考えられない。

「ありがとうございます、お兄さん。
 それじゃあ、精液どぷどぷしちゃいましょうか」

幸せそうに微笑みながら、
女の子がペニスの先端をショーツに押し当てる。
さらに上からスカートを覆いかぶせて、
亀頭をざらざらと擦る。

「ほら、こうやって私の下着に
 おちんちんをごしごし擦りつけて射精したかったんでしょう?
 女子高生のパンツに精液どくどく吐き出したくて
 たまらなかったんですよね」

まるで僕の頭のなかを読み取ったみたいに少女が喋る。
ペニスの鈴口と裏筋が、つるつるとしたショーツに甘やかに擦れる。
と同時に、カリ首の縁が濡れたスカートでぞりぞり撫でられる…っ…。

「さ、出してください。
 私のパンツにも、スカートの内側にも、
 お兄さんの臭いがとれなくなっちゃうぐらいに、たっぷりと…♪」

スカートの上から、竿全体をそっと抱きしめるように
女の子がペニスを手のひらで押さえる。
裏筋がショーツのレースにざらりと擦れて、それで。

……びゅぶっ……どぶぴゅっ……びゅ…ぶっ……!

精液がどくどくと吐き出される。
プリーツスカートに閉じ込められた狭い空間の中で、
溢れた先から精液が下着と衣服にこぼれてく……。

「ふふっ……あったかい……。
 もっともっと出していいですからね」

まるで子供をあやすように、
女の子スカートの上から亀頭をさわさわと撫でる。
その感触に甘えるように、
また精液がとぷ…とぷ…と流れ出す。

「お兄さんはとても頑張ってくれました。
 これはそのことへのご褒美でもあるんですから。
 だから……最後の一滴までぜんぶ、
 私の身体に吐き出してくれていいんですよ…♪」

優しい声を聞きながら、また小さくペニスが跳ねる。
精液を小さくこぼしながら、
少しずつ……まぶたが重くなってくるのを感じる。

きっと次に目が覚めたら……この子はもういない。
なんだかそんな気がした。
束の間に見た甘い夢に変わってしまう予感。

でも……それでもいい。
ひとときでも、こんな幸せな気持ちになれたんだから。
そう思いながら……眠気にゆっくり身を委ねる…………。
 
 
 
 
     * * *
 
 
 
 
「目が覚めましたか、お兄さん。
 くすっ……寝顔が意外と可愛かったですよ」

まぶたを開けると……あの女の子がいた。
眠る前に見ていたのと同じように、
僕の腰の上にまたがったまま、穏やかに微笑んでた。

「…………え…?」

間抜けな声が漏れて、
それでやっと自分が声を出せることに気づく。

ただ……相変わらず身体は動かない。
ペニスを露出したままの格好で、
ベッドに寝そべったままだった。

「もう……なに呆けた顔してるんですか。
 もしかして『夢じゃなかったのか』なんて思ってます?
 そんなわけ、ないじゃないですか。
 私がここにいるのも、お兄さんと約束したことも、
 ぜんぶ現実のことですよ」

「…………約束……」

そうだ。たしかに覚えてる。
この子の事件を解決すると、約束した。

「それで……さっそくで申し訳ないんですけど、
 約束、果たしてもらっていいですか?」

「……なに……言っ……て…………」

反射的に問い返そうとして、
でも不意に寒気が走り……言葉を失ってしまう。
恐ろしい想像が、じわっと広がる。

この子は、僕のことをずっと見ていた、と言った。
捜査の進み具合も、僕が置かれている立場も、
そして僕の行動も……なにもかも知っている。
つまり……。

「お兄さんが犯人を突き止めてることは、
 もちろんちゃんと知ってます。
 それから……そのことを公にしないようにって
 周りから言われてることも」

この子の……言うとおりだった。
たしかに犯人は分かってた。
少女のクラスメイトで、ある政治家の孫娘。
恋愛絡みの一方的な怨恨で、目の前の女の子は死に追いやられた。
だけど、その犯人を捕まえないようにと、上から圧力がかかった。
悔しいけれど、よくある話だった。

「だけど、お兄さんはそれが許せなかった。
 だから真実を暴露しようとして、
 そこで……怖くなってやめちゃったんですよね。
 自分の出世とか将来とか……人生を投げ捨てるのが、
 怖くなってしまったんでしょう?」

「…………それ……は………」

「ふふ、安心してください。
 べつにお兄さんを恨んでるってわけじゃないんです。
 ただ……お兄さんはさっき、私と約束してくれましたよね?」

女の子がゆっくりとスカートをめくりあげる。
裏地には精液が大量にこびりつき、いまも糸を引いていた。
それに白いショーツにも少し黄ばんだ精液が貼りついてる……。

「約束は守らないとだめ、ですよね…♪
 だから、あのメールを送ってほしいんです」

なにを意味してるのかは、すぐに分かった。
知り合いの記者宛てに送ろうとした、
事件の真相を記したメールのことだった。
いまも携帯に下書きとして保存してある。

「お兄さんが約束を守ってくれたら、
 私、またお礼したいなって思ってるんですよ?
 さっきのより……もっと気持ちいいお礼を」

僕の股間に「ふーっ…♪」と、息が吹きかけられる。
精液とカウパーにまみれたペニスに、
ひんやりして、でも同時に心地いい刺激が走る。
ペニスがひくっと反応する……。

「ほら、まだまだ射精したいですよね。
 今度はどんなふうにどくどくっ…て出したいですか?
 またスカートやパンツでくちゅくちゅしてあげましょうか。
 それとも……おっぱいがいいですか?」

女の子の身体が前のめりになる。
セーラー服の胸元が下に広がり、
みっちりと乳房の詰まった谷間が見える。
赤いスカーフが、まるで誘うようにゆらゆら揺れる。

「お兄さんの、また大きくなってきましたよ?
 おっぱいの中にびゅーって精液を吐き出す想像でも、
 しちゃったんでしょうか」

ペニスが膨らんでいく感触を確かめるみたいに、
女の子の手がペニスのあちこちをまさぐる。
さっきの気持ちよさが、頭の芯にこびりついてる。
もういちどあの絶頂を味わいたいと思ってしまう……。

「お兄さんが望むなら、
 私のおっぱいの間ですりすり…♪って、
 扱いてあげてもいいんですよ?
 たとえば……こんな感じでしょうか」

指だけ実体化してペニスの根元を支えたまま、
女の子の幽体がベッドに沈み込んでく。
僕の股から上半身だけを突き出した格好で、
感触のない胸元にペニスを飲み込んでく。

「ほら、おっぱいの間に挟んじゃいました。
 もし実体化したら、たちまち四方八方から
 おっぱいで、ぎゅーっ…♪って押しつぶされて
 とっても気持ちいいですよ」

女の子の上半身が軽やかに上下する。
セーラー服ごと胸が揺れ、たわみ、弾む。
だけど、ペニスにはなんの感触も生まれない…っ…。
触ることのできない幻が、
目の前で延々とやらしい動きを見せつづける。

「……っ……はっ……は…ぁっ……」

気づけば、過呼吸のように息が乱れてた。
心臓の鼓動が激しい。
ペニスが何度も跳ねては、むなしく宙を打つ。

「くす……どうしたんですか、お兄さん。
 とっても切なそうな顔ですよ?
 おっぱいの感触がほしくて、たまらないんですか?
 だったら……することは分かりますよね」

また右手が軽くなるのが分かった。
ほとんど反射的にポケットから携帯を取り出し、
例のメールの画面を開いて。
そして送信ボタンを……ボタン…を………。

(……押して……しまった…ら………)

もう取り返しがつかない。
きっと二度とまっとうな人生には戻れない。
それだけ…は………。

「ためらうことなんて、ないんですよ?」

女の子が優しく呟いた次の瞬間、
ペニスがあたたかさと柔らかさに包まれる。
破裂しそうなほどに固く膨らんだ竿に、
乳房がむにむにと押しつけられる…っ……!

「…ぁ……う…ぁ………あ…ぁ……♪」

ペニスが溶けてしまいそうな気持ちよさ。
幸福感がどぱぁっ…と脳みそから湧き出る。
腰から先が馬鹿みたいに何度も跳ねて、
かわりに全身から力が抜けてしまう。

「ん……幸せそうな声ですね。
 おっぱいにいきなり包まれる感覚、
 とっても気持ちよかったでしょう?
 人間の女の子じゃ、こんなことできないですよ。
 いまこの瞬間、私でしか味わえないんです」

語りかけられるあいだも、
おっぱいが絶え間なくペニスに押しつけられる。
腰の奥から、精液が少しずつ流れてくる。
射精感がどんどん膨れ上がって。

「まだ出しちゃだめですよ?」

ペニスに絡みついていた柔らかさが……消える。
なんの手ごたえもない空間で、ペニスがもどかしく震える。
あとほんの少しで、射精できたのに…っ……。

「泣きそうな顔ですね、お兄さん。
 だったら、早く楽になっちゃいましょう?」

甘い囁きを聞くたび、ボタンに添えた親指が震える。
だけど……歯を食いしばり、気力を振り絞る。
この一瞬で、これから何十年もが変わってしまう。
だから、だから………。

「あ、分かった…♪」

不意に女の子が明るい声を出した。
明るいけれど……でも甘く暗いなにかを含んだ声。

「お兄さんはきっと、勘違いしてるんですよね。
 自分の大切な人生を捨ててしまいたくないって、
 まだそう思っているんですね?
 ふふっ、お兄さんたら……それはね、思い違いなんですよ?
 お兄さんの人生に大した価値なんてないんです」

「…………っ…!
 ……そんな……こと……」

とっさに言い返そうとして、
でも女の子の目を見た途端……なにも言えなくなった。
なにもかも見透かした目で、僕を笑ってた。

「ね……どうして私がお兄さんにだけ触れるか、知ってますか?
 それは、お兄さんが私を愛してるから、なんですよ。
 自分をいちばん愛してくれている人にだけ、私は触れられるんです。
 くすっ……お兄さん、私に一目惚れしたんですよね。
 といっても、私が死んでしまってからですけど」

「…………ぅ……」

本当のことだった。
捜査をはじめて、この子の写真を見たとき、
一目で好きになってしまった。
もうこの世にいないと分かっているのに、それでも。

「だけど、いくら私を好きになったといっても
 していいことと、悪いことがありますよね…♪」

心臓がどくん!と脈打つ。
僕の目を深く覗き込んで……女の子がわらう。

「脅迫に使われてた私の盗撮写真、どうしました?
 携帯でさらに盗み撮りして持ち帰って、
 お部屋で嬉しそうにオナニーされてましたよね。
 私が更衣室で着替えてる写真を見ながら、
 気持ち悪い声を上げながら、びゅーびゅー射精したり。
 スカートの中を撮影した写真を見ながら、
 何度もティッシュに汚いものを吐き出したり。
 それはもう、おびただしい回数でしたね…♪」

「……や…め……言わ…な………」

「いいじゃないですか、今さら。
 私は、そばでずっと見ていたんですから。
 ……ああ、他にも色んなことをしてましたね。
 私の部屋を調べるふりをして、なにをしましたっけ?
 そうそう、私の下着を盗みましたよね…♪
 それでまたオナニー三昧。
 パンツにこすりつけてはどぷどぷ出したり。
 胸で挟まれる想像をしながらブラで擦り上げたり。
 とっても最低の屑でしたよ…♪」

くすくす笑いながら、
女の子が感触のない胸を左右からすり寄せる。

「ずっとこうして欲しかったんでしょう?
 私の胸元の盗み撮りを見ながら、
 『おっぱい、おっぱい…ぃ…』って、
 にやけながら、どぷどぷ精液こぼしてましたよね」

耳が信じられないぐらいに熱い。
聞きたくない。耐えられない。逃げ出したい。
なのに……なのに、ペニスが勝手に跳ねてしまう。
根元に添えられた少女の指の感触、
それだけで達しそうなほどに敏感になっていく。

「こんなふうに言われても、
 まだ射精することしか考えられないんですね。
 ほら……そんな最低のお猿さんの人生なんて、
 もうどうなってもいいじゃないですか。
 気持ちよくなれれば……もうなんでもいいですよね?」

女の子が慈愛さえ感じられる笑みを浮かべる。
ついで……ペニスがまた気持ちよさに包まれる。
セーラー服に包まれた空間の中で、
ペニスを包み込んだ乳房が、ぐにゅぐにゅと変形する。

「……ぁ………ぁ…っ……」

ぱんぱんに膨らんだ亀頭の表面を、
カウパーにまみれた乳房がぬめりながら滑ってく。
たまらない……気持ちい…ぃ……っ…。

途絶えていた射精感が、たちまち戻ってくる。
だけど、きっとまた射精直前で放り出される。
だから期待しちゃいけない。
いけないのに…っ……。

「ほら、びゅくびゅく射精したいでしょう?
 すごーく気持ちいいんですよ。
 頭がとろとろに溶けちゃうぐらいの快感です。
 楽しみですね…♪」

女の子は両腕で自分の胸元を抱きかかえ、
愛おしそうにペニスをずりずりと擦る。
むにむにと柔らかさが、ペニスを隙間なく埋めつくす。
快楽そのものに包まれるような感覚。

絶頂に向けて、ペニスの根元がきつく収縮する。
あと、ほんのちょっとでイケる…っ……。
あと…ちょっと…だけ……。
やめないで……おっぱい……やめない…で…っ…。

「お兄さん、出していいですよ…♪」

聞きまちがいかと思った。
だけど、女の子は嬉しそうにもう一度言った。

「たっぷり出していいですよ…♪
 だって、お兄さんは約束を守ってくれたんですから」

――携帯の画面に目をやった。
送信完了のメッセージが表示されていた。

「終わっちゃいましたね、お兄さんのまっとうな人生。
 そんなに、おっぱいでびゅーびゅーしたかったんですか?
 これからの何十年もの人生より、
 たった数秒の気持ちよさが欲しかったんですね?
 とってもお馬鹿なお兄さん…♪」

心がどろりと溶け落ちる。
おっぱいでペニスがぬちゅぬちゅ…と、ねぶられる。
竿にたぷ…たぷっ…と、乳肉が優しく当たる。
あぁ……気持ち…い…ぃ……。
もう……なんにも……我慢しなくて…い…い……。

「おっぱいの感触、いっぱい味わってくださいね。
 お兄さんが妄想のなかで何度も犯した私の胸で、
 本当にどくどく射精しちゃいましょうね。
 谷間から精液が溢れだしちゃうぐらいに、たっぷりと」

セーラー服の白い布地がカウパーを吸い込み、
ぺったりと乳房に張りつく。
やらしい胸の形と、その隙間から抜き差しされる
亀頭の形がはっきり見える。

谷間からペニスの先端が突き出しては、
にゅるんっ…と柔らかさの中にまた埋もれてく。
精液がペニスに流れ込むのが分かる。
あ…ぁ……もう…出……っ………。

「さあ、どうぞ。
 私のおっぱいに染み込んじゃうぐらいにたっぷりと、
 お兄さんの精液ください…♪」

「…ぁ…ぁ……あああぁぁああぁ…っ…!」

精液が迸る。
やわらかい乳肉に尿道口をぎゅうっと押しつけながら、
精液をびゅくびゅくと吐き出す。

「ふふっ……まだまだ出るでしょう?
 お兄さんのオナニーをいつもそばで見ていたから、
 そのぐらいよく知ってますよ」

精液を搾るみたいに、
左右の胸で竿を下から上へとぎゅうぎゅう扱かれる。
最初の勢いを失ったあとも、
重たい塊みたいな精液が、どぷり…どぷり…と溢れ出る。

「……ぁ……あ………ぁ……」

女の子はペニスをまだ乳房で撫で回してくれる。
精液がとく…とく…と、ゆっくりこぼれ出る……。
まともな人生を失った喪失感を埋めるように、
心が気持ちよさで満たされてく…………。
 
 
 
 
     * * *
  
  
  
 
まどろみの中で、少女の声が聞こえる。
ぼんやりとした頭では、言葉の意味は分からない。
しずかな音楽のように、囁きが僕の身体に吸い込まれる。

「ね……お兄さん。
 最低でどうしようもない、射精狂いのお兄さん。
 
 お兄さんはこの先、ずっと悔やみつづけるんですよ。
 私に気持ちよくしてもらうためにすべてを失ったことを、
 精液を吐き出すたびに思い出すんです。
 そのたびに後悔の沼に沈んでいくんです。

 ふふっ……とっても辛いことですね。
 でも、しょうがないんですよ。
 こうでもしないと、お兄さんはそのうち、
 他の女の子を好きになっちゃいますから。

 私にはもう……お兄さんしかいないんです。
 声を聞いてもらえるのも、話しかけてもらえるのも、
 触れあえるのも、もうお兄さんたった一人だけ。
 それ以外のことは……本当はもうどうでもいいんです。

 私、お兄さんにずっと付きまとってあげますから。
 お兄さんがまっとうな道に戻りそうになるたびに、
 どれだけ屑なのかを思い出させてあげますから。
 
 だから……いつまでも私だけを見てくださいね。
 約束ですよ…♪」

END