優しい神様

「ごめんね」

勇気を振り絞っての告白に返ってきたのは、
短いその一言だった。

美琴さんは少し困ったように眉根を寄せている。
そんな困り顔にさえつい見とれてしまう。

彼女はテニスサークルのひとつ上の先輩だった。
整った顔立ち、しなやかな身体つき、面倒見の良い性格。
サークルのみんなから好かれている人気者。
でもなぜか、誰かが彼女に告白したとか、そういう話は聞かない。
彼氏がいないだけでも不思議なのに。

恋愛に興味がないわけでもなさそうだった。
だって他人の恋愛話にはいつも興味津々だったから。
美琴さんにアドバイスしてもらうと上手くいくからって、
縁結びの神様、なんて冗談で呼ばれたりしてるくらい。

そんな彼女に思い切って告白し……振られた。

「……すみません。迷惑、でしたよね」

他のメンバーが帰ってしまったあとの部室に、
自分の情けない声が反響する。

「あ、ううん、そんなことないんだけど。
 びっくりしちゃって……まさかって感じで」

美琴さんは本当におどろいているみたいだった。
どうして……そんなに?

「人間は神様を好きになれないはずなんだけど」

あごに手をあてて、美琴さんは小さくうなる。
可愛らしい仕草だな、なんて頭の片隅で思うけれど、
そんな思考は大きな疑問にすぐ押しつぶされる。
…………かみさま?

ここだけの話なんだけど、と言いながら
美琴さんは人差し指を口に当てて呟く。

「私は神様なの。
 愛の神様、いわゆるキューピッドっていうのかな。
 ……ふふ、自分で名乗るとなんだか恥ずかしいね。
 いままで黙ってて、ごめんね」

心臓に氷をくっつけられたみたいな感覚。
一瞬だけ時間が止まって、それから悪寒が背筋を這いあがる。
この人は、まともじゃない。

「ん、信じてくれないの?
 神様を好きになるわりには、常識にとらわれてるね。
 でも本当なんだよ、私は恋人たちの女神様。
 たくさんのカップルを作るのが私の仕事。
 だからこうやって人間に混じって、恋愛成就のお手伝いをしてるの」

信じられるわけない。
どこからどう見ても美琴さんは人間だもの。
神様だなんて……誇大妄想だ。

「あ、やっぱり信じてないでしょ。
 じゃあ……本当かどうか見せてあげる。
 安井くんと誰かをくっつけてあげる」

「……い、いいです、遠慮します」

それだけ言うのが精一杯だった。
冷静な瞳で狂ったことを言う彼女がこわい。

「遠慮しなくていいの。
 これは私に告白してくれたことのお礼でもあるんだから。
 せっかくだから、最高の恋人を作ってあげる」

言うなり、美琴さんが身体をすり寄せてくる。
きれいな顔が目の前に来て……あたたかさが口のなかに広がる。
ねっとりとしたぬくもりが、舌の上を、頬の内側を舐めまわす。

「んっ…んんっ……!」

キスされてると気づいて、わけもわからず呻いた。
あの美琴さんに口の中を蹂躙されてる。
その事実と興奮が、さっきまでの恐怖をすっかり上塗りしてしまう。

彼女の唾液が舌の根にゆっくりと流れ込んでくるのを感じながら、
ペニスがどんどん大きくなっていく。
頭をしっかりつかまれているせいで、逃げ出すこともできない。
歯の裏側を舌がねぶっていく。
じゅるじゅると僕の唾液をすする音が頭蓋骨に響いてくる。

「んむぅっ……ん…んっっ……!」

口づけしたまま、美琴さんが身体をさらに密着させてくる。
ペニスの裏側に彼女の下腹部が柔らかくのしかかる。

胸板の上では、彼女の巨乳がなめらかに潰れてる。
視線を上げると、ほんの数センチ先のところに美琴さんの瞳。
目だけでやらしく笑いながら、さらに体重をかけてくる。
じゅるりっと一際つよく唾液が吸われる。
ペニスの根元までかぁっと熱くなるのがわかる。

「んっ!んむっ…!んっ…!ん、んむぅっ………!」

出る、出ちゃう、こぼれちゃう。
そう言いたいのに声が出ない。
鼻から馬鹿みたいにぴーぴーと息が漏れる。
それから息を吸い込むと、美琴さんの髪の香りがして。

ペニスを押さえつけられているせいで、竿ばかりがびくびくと震える。
尿道管が破けるんじゃないかと思うほどの勢いで精液が駆け上がってくる。
ズボンを履いたままで射精してしまう。止まらない。
ねばついた熱いものが肉棒にからみつく。
肌と陰毛が濡れる気持ち悪さと……不快感のなかのけだるい心地よさ。

「あはぁ……出ちゃったね」

唇をやっと離して、美琴さんがにたにた笑う。
とてもじゃないけれど神様になんて見えない。
唾液でてらてら光る唇を動かして彼女は喋る。

「急にキスされてびっくりしちゃった?
 でも勘違いしちゃだめだよ……好きになったわけじゃないから。
 キスしないとね、あなたの運命の人がわからないの。
 ふふ……私ってふしだらな神様だよね」

かるく上唇を舐めると、美琴さんの目が少し蕩ける。
身悶えするように小さく震えて、また口元が淫らにゆるむ。

「ん、わかっちゃったよ。あなたの恋人さん。
 意外と近くにいるみたいだよ……気になる?
 いつもはカップルになりかけをくっつけるだけなんだけど、
 安井くんは特別サービス。
 ちなみに、出させてあげたのも特別サービス」
 
ほそい指で股間を撫で上げられる。
その指が僕の鼻先に差し出される。
獣じみた臭いがうっすらと漂ってくる。

「こんなに出しちゃって……服の上まで染みてきてる。
 神様の身体、やわらかくて気持ちよかったのかな?
 あっというまに出しちゃったね……早漏さん。
 でも大丈夫、恋人ができたらいっぱいえっちするといいよ。
 相性抜群だから、とっても気持ちよくなれるから。
 そしたら、ちょっとは早漏も直るんじゃないかな?」

指でさわられただけなのに、性欲がまたたく間に戻ってくる。
さすがに勃起はしないけれど、肌がじんわりと火照ってくる。
目の前の美琴さんを抱きしめたくてたまらない。
鎖骨に浮かんでいる汗さえ舐めとりたくなる。

「あ、また気持ちよくなりたがってるでしょ。
 だぁめ。私からのサービスはもう終わり。
 あとは、私じゃなくて」

「でもっ僕は…美琴さんが好きですっ!
 だからっ……!」

やっぱり好きだ。
妄想癖があったってなんだって好きだ。
つかみどころのない性格も、この素敵な身体も、ぜんぶ。

「美琴さんの気持ちが変わるまで、待ってますから。
 いつまででも、ずっと、待ってますから」

言い放つなり、背を向けると部屋を出た。
 
 
 
安アパートの一室に返り、何度も自分で自分を慰めた。
さっきの美琴さんの身体の感触、匂い、声、
すべてが強烈に焼きついていて忘れられなかった。

眠ろうとしても、自然と手が性器に伸びていってしまう。
手近のティッシュ箱が空になると、あともう寝床から動くこともできず、
布団の上にそのまま精液をべちゃべちゃとこぼし続けた。

それでもいつのまにか睡魔はやって来て、
やがて白昼夢の中で美琴さんの身体をまさぐりながら……眠りに落ちた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ほのかな温もりを感じて、目が覚める。
夢うつつのまま、そのあたたかさをかき抱く。
すべすべとした感触と、布地のざらざらした感触がある。
衣擦れの音にまじって、かすかな呼吸音が聞こえる。
誰かが僕に寄り添っていた。

夢の名残と現実が重なって、誰なのか想像してしまう。
ペニスがまたたく間に大きくなる。
彼女が身を起こすと、カーテンの隙間から差した月明かりが頬を照らす。
……アパートの隣の部屋に住んでる女の子、だった。

高校受験の勉強で大変だろうに、
ときどき夕食の余り物を持ってきてくれたりする優しい女の子。
はにかむような笑顔が可愛らしいな、といつも思っていた。

「こんばんは」

ほの暗い部屋で頬を光らせながら、麻衣ちゃんが微笑む。
いままで見たことのないような、幸せいっぱいの笑い方をしてる。

「寝顔が素敵だったから、つい一緒にお布団入っちゃいました」

セーラー服のスカーフがくしゃくしゃになっているのに気づいて、
麻衣ちゃんは直そうとする。
でも上手く直らなかったみたいで、するっとほどいてしまう。

スカーフが僕の首筋に落ちてくる。
つるつるつとした薄布の感触がたまらなくて、
背筋がぞくりと震える。
その震えではじめて、意識が夢から完全に抜けた。

「まい、ちゃん……? ここで、なにして……え…?」

「安井さんの恋人になりに来たんです」

起こしかけた上半身に体重をかけられて、再び布団に沈む。
麻衣ちゃんの手足が身体の上にだらりとかかる。
成熟しきっていない身体ならではの弾力感。
きめ細やかなすべすべした肌。

「私、分かっちゃったんです。
 安井さんの恋人になるべきなんだって。
 理由は自分でもよく分からないけど自信あるんです。
 ね……いいですよね?」

美琴さんが言っていたことを思い出す。
最高の恋人を作ってあげる、というあの台詞を。
その恋人が……麻衣ちゃん?

「まさか」

思わず口に出していた。
だけどその呟きなんて意にも介さず、
麻衣ちゃんは僕のお腹に頬をこすりつける。

「あは……スカート汚れちゃった。
 だめですよ、こんなふうに精液こぼしたら」

眠りに落ちる前に吐き出したままだった精液が、
スカートにべったりと張りついていた。
変色して濁った体液が、
スカートのひだにゆっくりと染みこんでいく。

「今日からは、オナニーなんてもうしなくてもいいですよ。
 私がたっぷりシてあげます。
 ほかの誰より気持ちよくしてあげられます、きっと。
 ねえ、素敵な恋人たちになりましょうね」

陰毛が指でかき回される。
乾いた精液がぱりぱりと剥がれていくのが分かる。

「まって……待って。よく考えて。
 自分がなにしてるか分かってる?
 他人の家に乗り込んで、その……寝込みを襲ってるんだよ。
 どうかしてるんだって、わからない?
 誰かが麻衣ちゃんになにかしたんだ。
 きっと薬を盛るとか、洗脳するとか、なにかを」

『まだそんなこと言ってるんだ』

耳元で囁かれた。身体がびくりと跳ねる。
枕元に美琴さんがしゃがみ込んでいた。

『強情だね、まだ信じてくれないんだ。
 だから、私は神様なんだよ?
 幸せなカップルを作ってあげる、優しい愛の神様。
 安井くんにも、ちゃんと最高の恋人を選んであげたから』

美琴さんが話すあいだも、麻衣ちゃんの手は動きつづけていた。
目が覚めたときから勃起しっぱなしだったペニスに手を添え、
ごくゆっくりとした速度で上下に動かす。

「精液の残りかす出てきました……ん……ちゅぅっ…」

亀頭の先端に口づけされる。
尿道口から漏れてきた精液とカウパーが小さな口に吸われていく。

『ほらほら、献身的でしょう、この子。
 安井くんみたいな変態さんの要望にもなんでも答えてくれるよ?
 もちろん将来はもっと綺麗になるし、
 胸もあそこも身体中ぜんぶが最高にやらしくなるの』

「やめ………こんなの、むりやり…で。
 それに、ぼく……美琴さんが、すき……なのに」

親指にみずから爪を食い込ませて意識を保ち、抵抗する。
だけど美琴さんは無言で笑うばかりだし、
麻衣ちゃんの動きも少しも止まらない。

「……安井さん、誰と話してるんですか?
 気持ちよすぎて、頭おかしくなっちゃいました?」

麻衣ちゃんには、美琴さんの姿は見えてない。
そうかもしれない、とはさっきから思っていた。
頭のなかに響くような不思議な声音で美琴さんは話す。

『好きって言ってくれて嬉しかったな。
 でもやっぱりごめんね、神様が人間とは付き合えないの。
 そのかわり、この子にたっぷりよがらせてもらってね。
 せっかくだから私もそばで見ててあげる』

「こっち向いてくださぁい」

甘い声とともに、麻衣ちゃんが身体を這い上がってくる。
幼いながらもしっかり膨らみはじめた胸が、お腹の上でやわらかく滑る。
太ももや膝がペニスを押し潰してくる。
快楽に抗う気持ちが少しずつ溶けていく。

「んー……安井さん、我慢してるんですか?
 お布団べちゃべちゃになるぐらいオナニーする癖に、
 私の身体だと我慢するんだ」

「だめだよ、だめだ……これは、ちがう。
 それに、こんなの……きもちいいけど……でも。
 ぼくは、すきなひとが、いる」

「あは……そういう妄想プレイですか?
 嘘ついてもだめですよ。
 私と安井さんは、愛し合ってるふたり、なんですから。
 私、知ってるんですから」

また麻衣ちゃんの身体が股間へと降りていく。
スカートやセーラー服の裾がだらしなくめくれていく。
薄明かりのなかでも、白い下着がよくわかる。

『息が荒くなってきたね。そろそろ出ちゃいそうかな?
 半裸の女の子にくっつかれての射精、すごい快感だよ?
 イクときの顔、じっくり見ててあげるから、たっぷり出して』

「やだ……いや…だ……!」

まるで女の子みたいにかぼそい声が喉から漏れる。
好きな人の前でほかの人に射精させられるなんて、そんなの。

『じゃあ、もうひとつだけサービス』

美琴さんが立ち上がり、羽織っていたカーディガンを脱ぐ。
ついでワンピースの背に手を伸ばす。
ジッパーを引きおろす音がする。

「安井さぁん、あんまりぼうっとしてると……こうしちゃいますよ」

ペニスに急激に圧力がかかる。
麻衣ちゃんが股間に馬乗りになっていた。
肉棒が下腹部に押しつけられ、パンツでじゅこじゅこと擦られる。
親指に突き立てた爪の痛みがもう感じられない。

『私の裸を見ながら、射精させてあげる。
 好きな人の裸を見ながら、可愛い女の子に射精させてもらうの。
 嬉しいでしょ?』

美琴さんのワンピースがするりと落ちる。
下着を、つけてない。裸が、乳首が、あそこが丸見えで。
それで、からかうような目で、僕を……見てる。

ぼこっと脳のどこかが陥没するような感じがして、射精した。
麻衣ちゃんの秘所にペニスを固定されたまま、腰のなかだけ熱く跳ねる。
精液が馬鹿みたいに飛んで、自分の顔にまで飛び散る。
でも美琴さんには決してかからない。

「出しすぎですよぉ……もう。
 たくさん我慢してから出すと気持ちいいのはわかりますけど、
 ためすぎは身体に毒なんですから」

麻衣ちゃんは濡れたパンツを脱ぐと、
僕の身体にこぼれた精液をそれで拭いはじめる。

『どう? 気持ち良かった?
 ねえ、私は優しい神様でしょう。こんな素敵な子をあげて。
 あらあら、なに泣いてるの』

涙がにじんで、美琴さんの身体がよく見えない。
だから手を伸ばして触れようとして、でも届かない。

『触るのは禁止……ね、私のことは諦めるの。
 こんな可愛い子にパンツで身体ふきふきされて、
 それでもほかの女性に触りたいなんて、さすがに欲深いよ?』

「ちがう、ぼくは、美琴さんが好きで、だから……」

『無理しなくていいよ。
 男の子はね、肉欲に負けちゃうようにできてるの。
 いままで私が見てきた子たち、みんなそうだったもの』

「ぼくは、ちがう。ちがうっ……!」

「なにが違うんですか?」

精液のべっとりとついたパンツが口元にのせられる。
自分が射精したという明白な証拠を突きつけられる。

麻衣ちゃんは自分でスカートをめくり上げる。
あそこはすっかり透明な蜜で濡れていた。

『違うなら、我慢できる?
 この可愛い女の子を犯せずにいられる?
 ねえ、こんなチャンスは滅多にないよ。
 いくらあなたが愛を貫いても、どうせ私とは付き合えないの。
 ただ自己満足に浸っておしまい。
 でもいま彼女と交われば……そりゃあもう……ふふ。
 最高の肉人形が手に入るの。
 望むことになんでも答えてくれる美少女、欲しくない?』

大丈夫。大丈夫。僕は耐えられる。
いまだって射精したばかりじゃないか。
耐えられる。耐えられるとも。
それに麻衣ちゃんの身体を勝手に犯すなんてできない。
そんなのレイプといっしょだ。できるわけない。
見せつけてやるんだ、この人に。
僕がどれだけこの人を好きか、伝えるんだ。

「ん……急に黙っちゃって、どうしたんですか?
 あ、そっか。男の人って射精したあとはぼうっとしちゃうんですよね。
 じゃあいいですよ、放心しててください。
 夢見心地のまま、私とシちゃいましょう」

麻衣ちゃんがスカートを脱ぐ。
脱ぎかけたセーラー服の上半身に、なにもつけてない下半身。
どうしても目が離せない。
ペニスの根元にぼんやりと快感がたまってしまう。

脱いだスカートを、彼女は楽しそうに揺らす。
一振りされるたびに、彼女の股間が見えては消える。
ときおり、布が亀頭をざらっとこする。
肉棒がゆっくりと膨らんでいくのを感じる。

『どうしたのかな、おちんちん大きくなってるよ?
 もう入れたくなっちゃったなんて……まさか言わないよね』

言わない。言うわけない。
これは生理現象だから仕方ない。
可愛い女の子の裸が目の前にあって勃起しないなんて無理だから。
でも彼女を犯したわけじゃない。ただ興奮しただけ。

「やっぱり安井さんは動きません?
 なら、私がしてあげます。
 あとで私もずぽずぽ犯されたいけど……いまは私が」

麻衣ちゃんの割れ目がゆっくりと亀頭に当てられる。
とろとろの蜜がペニスをつたってくる。

『あは……どこまでいったら挿入っていうのかな。
 いまはまだ触れてるだけ、だものね。
 じゃああと一センチ入ったら……どう?』

入っちゃう、と思ったときにはもう遅かった。
亀頭の半分以上が、蜜壷に差し込まれていた。
ぬるるっ…と脳ごと飲み込まれたみたいな錯覚を覚える。
自分の唾液までぬめってきた気がする。

『入っちゃった……ね、これで犯したことになる?
 それともまだ? どっちなのか教えてほしいなぁ』

抜かなきゃ、抜かなきゃ……そう思うのに、腰が動かない。
むしろ奥へと突き入れようとする衝動を抑えるので必死だった。

『私がなにかした、なんて言い訳しちゃだめだよ。
 あなたにはなんにもしてないから。
 だから自分の意志で先っぽ入れちゃったの。
 とっくに女の子を突き飛ばして逃げられたはずなのに、
 おちんちんをずぽずぽする方を選んじゃった変態さん』

膣が蠕動して、先っぽまでその振動が伝わってくる。
射精直前の張り詰める感じがないのに、なのに今にも漏らしそうだった。
気を抜くと、とろとろとよだれみたいに精液がこぼれそうだった。

『私は優しい神様だから、最後のチャンスあげようか。
 あのね、この子はめずらしくまだ処女膜が残ってるの。
 それを突き破っちゃったら……もう言い訳できないよね。
 でもその前に、おちんちんを小さくできたら、我慢したって認めてあげる』

麻衣ちゃんがそうっと腰を上げる。
ちゅぽっ…と音を立てて、麻衣ちゃんの中から先端が抜ける。
空気に触れて亀頭がひんやり冷たくなる。
あったかいねちょねちょのなかに戻りたくてたまらない。

腰が落ちてくる。
今度は亀頭を丸ごと飲み込んで……でもそこで止まる。
カウパーと愛液のまじりあったなかに浸るのがたまらなくいい。

またペニスが抜かれる。
たっぷり十秒は焦らしてから、また肉壷の中に。
何度も何度も、中途半端な抜き差しが繰り返される。

『どうしたの? 早く小さくしないと。
 次のじゅぽっで思いっきり突き破っちゃうかもしれないのに』

美琴さんが柔和に微笑む。
本当に人間には思えないくらい綺麗で、素敵で。
この人と色んなことをしたかった。
腕を組んだり、くだらないことで笑いあったり、一緒に眠ったり。
ときどき不意にいやらしいことをされて驚いて、でも嬉しくて。
素敵に愛し合える二人になりたい、なりたい……のに。

両手の爪を太ももに食い込ませる。
頬の内側の肉を血がにじむほど思いっきり噛みしめる。
目を閉じて、呼吸を止める。
それでも気持ち良さが消えない。
どうしようもなく気持ちいい。

血の味が口のなかいっぱいに広がったところで、
ペニスが一際あたたいものに濡れた。
この子を…………犯した。

ほうら言ったとおりでしょ、と声が聞こえる。
好きだったあの人の姿が、もう見えない。

……犯した…………犯してしまった。
………………だったらもう。

両手が動いて、少女の腰を抱いていた。
無理矢理に腰を落とさせて、ペニスを奥深くまで突き入れる。
膣壁のひだに亀頭を力いっぱいこすりつける。
数秒もしないうちに射精感がこみ上げて、
そのまま一切こらえることなく精液を放った。

「ん……精液、来たぁ………あついぃ…いいよぉ……」

神様の力なのか、麻衣ちゃんはいとも簡単に快楽に喘ぐ。
そう、ぜんぶ神様のせいだ。美琴さんのせいだ。
神様が僕らをくっつけるって決めたんだから……それでいいんだ。

精液を注いだあとも、麻衣ちゃんの中の動きは止まらなかった。
根元を締めつけて逃がさないようにしながら、竿と亀頭をやわらかく搾る。
射精の律動がすべて終わらないうちに、次の射精感がやってくる。
またびくびくと精が吐き出される。
もう射精の境目がどこかもよくわからない。

『やっぱりこうなったでしょう?』

軽蔑も落胆もなく、予想通りになった満足感だけがかすかに残る声。
体位を変えて少女を正面から犯しながら、僕は声を聞きつづける。

『あなたはこれで幸せになる。
 あたたかい家庭を築ける……良かったね。
 だけど』

僕の背中に見えない手が触れる。

『あなたは愛情を貫けなかった。
 いまから訪れる幸せな家庭は、あなたが自分の力で勝ち取ったわけじゃない。
 あなたはただ精液を吐き出すために愛を捨てた。
 どうしようもない愚かな人。
 そのことを……これから一生忘れちゃいけない。
 それが神様を好きになった代償』

少女の胸を揉むたび、いやらしい喘ぎ声が上がる。
頭の先までふやけてしまったように、なにも考えられない。

『大丈夫、もし苦しければ肉に溺れればいいの。
 この子はどんなことだって受け入れてくれるから』

射精がつづく。
白く明るく濁った意識のなかで声もつづいていく。

『そうやって屑な自分から目をそらしなさい。
 あなたの心がいつか壊れてしまうまで、
 ただただ最高の快楽に浸りなさい』

どうぞごゆっくり、という呟きが聞こえた気がした。
だけどもう、自分の哄笑と少女の嬌声がうるさくて、なにも聞こえない。
少女が笑うたび、もう精液が出ているのかすらわからないまま射精する。

やらかいなぁ…あったかいなぁ……きもちいなぁ…………。
ああ、幸せだなぁ……とってもいいきもちだ……あぁ……。

にやけた笑みを張りつかせたまま、天井に向けて呟く。

かみさま…………ありがとう……ございます……。

END