いもうと倒錯中 – 最終日 –

その翌日から、僕は熱を出して寝込んでしまった。
どうやら風邪を引いたらしい。
熱のせいもあってか、自室のベッドで眠りながら何度も夢を見た。
そのほとんどは幼い頃の夢だった。

早弥とまだ無邪気に仲良く遊んでいた子供時代の夢。
一緒に絵を描いたり、家族旅行ではしゃいだり。
おままごとに付き合わされて、でもそれが意外と楽しかったり。
そんな他愛のない、でも心がほのかにあたたかくなる思い出だった。

だけど。
夢の中の幼い早弥の顔に、どろり…と白く濁った液体が降り注ぐ。
可愛らしい妹の顔にべっとりと張りついた粘液はとても汚らしくて、
見るだけで吐き気がする。
でも……それは僕の精液だった。

目の前で、早弥の身体がたちまち成長してく。
胸の膨らみが分かるようになり、中学生になり制服を着るようになる。
そんな妹の肢体や衣服のあちこちに、僕は息を荒げながらペニスを擦りつける。
夢の中でもそんな行為はたまらなく気持ちよくて、
けれど同時に、なんてことをしてるんだろう、という恐怖が膨れ上がる。
背筋が氷のように冷たくて、なのに腰から先だけが
溶けてしまいそうなくらいにあたたかくぬるんだ気持ちよさに包まれてる。
後ろめたさと快感で、がくがくと全身が震える。
精液が早弥の制服に、下着に、手足に、ところかまわずぶちまけられてく。
粘ついた白い液体が、何度もどぷどぷと吐き出される。

また幼い頃の場面が混ざり、ついで成長した早弥にかわり、
そのたびに僕は後悔に襲われながらも、みっともなく精液を吐き出す。
そんな夢だけが…何度も繰り返される…何度も……何度も………。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「……お兄ちゃん、大丈夫?」

気がつくと、僕の顔を早弥がのぞき込んでいた。
意識が次第にはっきりしてくる感覚で、いまが夢ではないと分かる。
置き時計を見ると、まだ昼過ぎぐらいだった。

「ほら、またおかゆ作ってきたから。
 食欲なくても、ちょっとは食べないと回復しないよ」

ここ何日か、早弥はこうして僕の看病をしてくれてた。
その様子からは、あの薬の影響がいまどう出ているのかは分からない。
ただ、少なくとも嫌悪されてはいないようだった。

早弥がおかゆをスプーンですくって、僕の口元に運んでくれる。
たしかに食欲がなかったし、食べ物の味もよく分からないぐらいだった。
でも、妹がこうして差し出してくれるとなると拒めない。
梅干しの入ったおかゆを、一口ずつ食べていく。

「うん、だいぶ顔色良くなったかな?
 さっきは眠りながらうなされてたみたいだから、
 ちょっと心配しちゃったけど」

早弥が僕の額に手のひらを当てて、熱を確かめる。
火照った身体に、少しひんやりとした感触が心地良い。
でも……つい、夢のなかのことを思い出してしまう。
その綺麗な肌に、どろどろとした精液をぶちまけたことを。

「うん、熱もかなり下がってるっぽいね。
 ん……お兄ちゃん、どうしたの?」

妹の手のひらが、僕の額から頬へとすうっ…と滑り落ちる。
頬の上を、指の腹でやさしく何度か擦られる。
それだけで、たちまちペニスがひくっと反応してしまう。
そこではじめて、下着のなかが夢精した精液でぐちゃぐちゃに
汚れてしまっていることに気づく。

布団に隠れているせいで、早弥には気づかれてないみたいだった。
ただ僕をからかうような様子で、頬を撫でたり、つついたりしてる。
まどろみの残る意識とあいまって、
妹の指でペニスを弄ばれているような気がする。
ペニスはもう限界まで膨らんで、いまにも射精してしまいそうだった。

(……ぁ……こんな……の………よくな…い………)

夢のなかで感じていた後ろめたさがまた湧いてくる。
もうこれ以上、早弥の身体でやらしいことをするなんて、よくない。
こんなふうに僕を心配して看病してくれてる妹に欲情するなんて最低だ。
いまさらなにを…って、自分でも思う。
だけど、もうこれ以上のひどいことはしたくなかった。

「早弥……そろそろ自分の部屋に……戻った方が…いいよ…。
 風邪、うつっちゃうと……いけない、から……」

布団の下でシーツをぎゅっと握り込み、
快感と性欲をむりやりに抑え込みながら、そう呟く。
早弥は少しだけきょとんとした顔をして、それから微笑む。

「ありがと、お兄ちゃん。
 早く良くなるといいね…♪」

その笑い方にすら、どこか淫らなものを感じてしまったのは
きっと僕が最低の屑だからなんだろう。
早弥が部屋を出ていくと、すぐにまた眠気がやってくる。
目を閉じて、そのまま眠りに身をまかせる……。
 
 
 
     * * *
 
 
 
顔の上をそうっと擦られる感触で、目が覚めた。
誰かが汗を拭いてくれてるんだ、とぼんやり考えながら
ベッドの右脇に目を向ける。

「あ、ごめんね……起こしちゃった?」

なぜか制服姿の早弥が、はにかむように笑う。
もうすっかり夜になったみたいで、室内は部屋の隅にある
小さなスタンドライトでうっすら照らされていた。

「ずいぶん汗かいてたみたいだから、ね。
 ほら、せっかくだから首のあたりも拭いちゃおっか」

早弥の手が、僕のうなじのあたりまで伸びてくる。
なめらかな布地の感触が、
くすぐるように首筋の上を撫でまわしていく。

それだけでまた……ペニスが膨らむ。
自分の性欲の醜さに、目まいがしそうだった。
なのに、早弥に首筋や鎖骨をゆっくりと拭かれるたびに、
快感がじわっ…と押し寄せてくる。
タオルにしては随分ときめのこまかやかな、
薄手で、つるつるとした布地の………。

「くすっ……お兄ちゃん、やっと気づいたんだ?」

にんまりと笑いながら、早弥が自分の白いショーツを使って
僕の目元をそっと一撫でする。
洗剤の香りと、それに混じるかすかな女の子の匂い。

「もうタオルがなかったから、かわりにこうしてみたの。
 ね……どうかな?
 妹のパンツで身体を拭いてもらうの、気持ちいい?」

早弥の手が、僕の上半身にかかった掛け布団を押しのける。
寝巻のボタンが外され、シャツの裾がめくりあげられる。
胸板の上をショーツがゆっくりと撫で回してく。

「……ぁ……っ……」

「あはっ……やっぱり気持ちいいんだ?
 そうだよね、お兄ちゃんが大好きな私のパンツだもんね。
 盗んでオナニーしちゃうぐらいに好きなんだから、
 それで身体を拭いてもらうのだって、たまらないよね…♪」

ショーツの布地の裏側から、早弥の指先が僕の肌を撫でる。
乳首の周囲ばかりを執拗に擦ったかと思うと、
下着をしゅるしゅると引きずって胸全体が優しく愛撫される。
薄明るい室内に、衣擦れの音だけが響く。

「……早弥……なんで………こんな…こと……」

「さっき言ったでしょ、たんにタオルのかわりだよ?
 ……それとも他に目的があるって、お兄ちゃんはそう思う?」

くすくすと笑いながら、早弥の手が少しずつ下へと動いていく。
円を描くような動きで撫で回しながら、
僕の胸板からお腹のあたりへと、じわじわと近づいてく……。

「私がいつも穿いてるパンツでお兄ちゃんの身体をごしごし…♪って
 拭いてあげることに、なにか他の意味ってあるのかな?
 すべすべした女の子のパンツで身体をいっぱい擦られたら、
 なにか期待しちゃうことがあるのかな…♪」

さらに下へと、早弥の手のひらが動いていく。
いまにも僕のズボンの中にまで手が入り込みそうな位置で、
白いショーツでくるまれた手がくるくると這い回る。

下腹部から腰へと、振動と快感が伝わる。
もうとっくにペニスはがちがちに勃起してる。
それでもまだ股間のあたりは掛け布団で隠れてる。

(……いまなら……まだ…………)

早弥の行動をやめさせることができる。
ペニスが快感に反応してる一方で、
また妹を汚してしまうことへの恐怖も膨れ上がってた。
なのに……身体がまるで動いてくれない。

「よしっと……これでこの辺りは綺麗になったかな。
 あとは……♪」

掛け布団が一気にはがされる。
みっともなく股間を膨らませた僕の下半身が晒される。

「ふふっ……お兄ちゃん、これはなにかなー♪
 どうしておちんちん、大きくなってるのかな。
 もしかして、私にまたオナニー手伝ってもらえるかもって期待してた?
 頭のなか真っ白になるぐらい、
 びゅーびゅー射精させてもらえるかもって思ってたの?」

「ち…が……っ……」

「んー、なにが違うのかな?
 おちんちん、こんなにひくひくしてるのに」

寝巻のズボンの上から、早弥が指でペニスをつつく。
ちょうど裏筋のあたりに指先が触れて、
それだけで全身が跳ねまわりそうなほどの刺激に感じる。

「わ……もうパジャマの外側までぬるぬる…♪
 それに、この臭い……。
 お兄ちゃん、ズボンの中で精液こぼしちゃったんだ?」

なんのためらいも見せずに、早弥は僕の寝巻と下着を引き下ろす。
精液とカウパーでぐちゃぐちゃに濡れた股間が空気に晒され、
ひんやりとした冷たさを感じる。

「ほら、やっぱりそうだった。
 私に手伝ってもらうまで我慢できなくて、
 こっそり一人でオナニーしちゃった?
 それとも、あれかな…♪
 私にえっちなことをする夢でも見て、精液お漏らししちゃった?
 あはっ……お漏らしなんて赤ちゃんみたいだね。
 おかゆなんかより、ミルク持ってきてあげたら良かったかな?」

……僕の知らない早弥の表情だった。
薬を飲ませた当日にすら見せなかった笑い方。
とても楽しげで、あどけなく淫らで、
だけど、少し前までの早弥が決してしなかった顔。

「早弥……もう、やめよう」

気がついたら、言葉がひとりでにこぼれてた。

「僕が……僕が、ぜんぶ悪いんだ。
 こんなの、やっぱり本当はおかしいことなんだ。
 妹に……射精を手伝ってもらう、なんて。
 だから、やめよう」

僕の必死の言葉を聞いて、
早弥は……ぷっ、と吹き出すように笑った。

「お兄ちゃんったら、なに言ってるのかなー?
 誰もいまオナニーのお手伝いしてあげるなんて、
 そんなこと言ってないよ。
 それはお兄ちゃんが勝手に期待してることでしょ、もう。
 私はただ、お風呂にも入れなくて汚れた身体を
 拭いてあげてるだけなんだよ?
 こうやって……ていねいに、隅々まで…♪」

はぐらかされているのか、それとも本気でそう思ってるのか。
僕がそれを確かめようとするより先に、
白いショーツを絡めた早弥の手がペニスに伸びてくる。
すべすべの布地が、体液でぴたりと竿に吸いつく。
二、三度ちいさく擦られただけで、
にちゃ…じゅぷっ…と粘ついた水音が立ちはじめる。

「……ぁ……あ…っ……」

すべすべだった布地が水分を吸って、
ねっとりとペニスに絡みついていく感じがたまらない。
数日前、早弥の目の前でショーツにどぷどぷと
精液を吐き出した快感を思い出してしまう。
さっきまでの抵抗しようとしていた気持ちが、
あっというまに溶けはじめる……。

「変な声あげちゃって、どうしたのかな…♪
 私はただ、おちんちんを拭いてあげてるだけなのに。
 タオルの代わりに、私の下着を使ってるだけ。
 お兄ちゃんが盗んでまでオナニーに使いたがってた妹のパンツで、
 おちんちんの先っぽから根元まで
 どこもかしこも綺麗になるように拭いてあげてるだけだよ?」

ほらキレイキレイにしようねー♪と、子供をあやすように笑いながら
早弥がペニスを執拗に撫でていく。
裏筋の汚れをかきだすように、何度も何度も指の腹で擦られたかと思うと、
急に陰嚢全体をさわさわと撫で回される。
その甘く優しい刺激に身をゆだねそうになると、
今度は不意に、カウパーまみれの亀頭をにゅるにゅるっ…と擦られる。

「…ひ……ぁ……や…め………っ…」

「ふふっ……お兄ちゃんってば嫌がらないの。
 こんなに汗とか精液とかで身体をどろどろにしたまま寝てたら、
 べつの病気になっちゃうよ?
 だから、汚いぬるぬるはぜーんぶ妹のパンツでぬぐっておこうね」

ショーツがくるっとペニスに巻きつけられる。
そのままオナホでも動かすみたいに
筒状になった布地をごくゆっくりと動かされる。

「もう私のパンツ、お兄ちゃんの精液まみれだね。
 これ、洗ってもきっと完全には落ちないね。
 そしたら、私……これを穿いたまま学校に行くことになるのかな。
 教室で椅子に座って授業を受けてるあいだも、
 お兄ちゃんの精液が、ずーっと私のあそこにくっついちゃうのかな…♪」

その様子を想像してしまって、ペニスがひときわ大きく跳ねる。
このまま出したい。射精したい。
早弥のパンツを汚したい。僕の精液でどろどろにしたい。
そんな言葉が、頭のなかで繰り返されはじめる。

「………く……ぁ…っ…」

それでもなんとか射精感に抗おうと、もがく。
だけど衰弱した身体では腕を持ち上げるのが精一杯で、
その手は……早弥にそっと握られてしまう。
汚れていない左手を僕の指に絡ませて、早弥がふふっと笑う。

「どうしたの、お兄ちゃん。
 病気のせいで、心細くなっちゃった?
 大丈夫だよ、私が手を握っててあげるから。
 お兄ちゃんはなんにも心配せずに、楽にしてればいいの。
 このまま、我慢なんてせずに…♪」

早弥の右手が動いて、ショーツがすっぽりとペニスにかぶせられる。
裏地のクロッチ部分が、ペニスの鈴口にぎゅっ…と押し当てられる。
もう、汚れた身体を拭く、という建前さえなくなってる。
明らかに僕を射精させようとしてる。
だけど、気持ちよさを拒めない……。

「ほら、ここだよー。私のあそこが、ぴとってくっつくところ。
 びゅーびゅーって、ここにいっぱい射精したらね、
 私はパンツ穿くたびに精液で汚されちゃうんだよ。
 いつだって私を間接的に犯しちゃうんだよ。
 あはっ、悪いお兄ちゃんになっちゃうね…♪」

僕の後ろめたさを思い出させるような言葉。
心臓がずきりと痛む。
だけど、身体が痛みを無視して快感を求めてしまう。
腰の中で射精感がパンパンに膨らむ…!

「でも、いいよ。悪いお兄ちゃんでも。
 私がずーっと、そばにいてあげる。
 えっちな気持ちになるたびに、満足するまで射精させてあげる。
 だからほら、いっぱい出しちゃおうね…♪」

僕の手に絡んでいた指に、きゅっと力が入る。
優しく手のひらが握りしめられる。
それがとてもあったかくて、やわらかくて。

「……ぁ……さ…や……ご…め……ぁ……あああぁあぁあぁぁ…っ!」

早弥のショーツの内側に、精液がどくどくと吐き出される。
尿道のなかを精液が通り抜けるたびに、
頭の芯が気持ちよさでじんじんと痺れる。

「ふふっ、パンツ越しでもすごく熱いの分かるよ。
 いっぱいいっぱい出そうね…♪」

尿道口に押し当てられたままのショーツが、
早弥の手で前後に動かされる。
裏筋や亀頭がにちゃにちゃと音を立てながら擦れる。
妹の下着に精液をこびりつけているのだと、
どうしようもなく実感させられる。

「………ぁ……ぁ………っ……」

喘ぎとも嗚咽ともつかない声が、僕の口から断続的に漏れる。
そのたびに、どぷ…どぷり…っ……と精液の塊が、
腰の奥からこぼれてく。

そのあいだも早弥はずっと下着越しにペニスをさすってる。
まるで幼い子供の頭を撫でてあげるみたいに、
とても優しい手つきで、いつまでも……。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「ん……お兄ちゃん、どうして悲しそうな顔してるの?」

すっかり射精も収まった頃になって、
早弥が僕の顔を見つめて問いかけてくる。

だけど、答える言葉が見つからない。
胸の中は、後悔と情けなさでぐちゃぐちゃだった。
もうやめよう、とあれほど思ったのに、僕はまた快楽に流された。
でも……それだけじゃない。
僕は、早弥を変えてしまった。
たった一人の妹を、まるで前とは違う女の子にしてしまった。

どうして、いまになってここまで恐怖するのか、自分でも分からない。
だけど、やっぱりこんなの良くないことなんだ。
僕は、責任をとらなきゃいけない。
たとえ……それで早弥に見捨てられるとしても。

「早弥、こんなこともうやめよう」

「くすっ……お兄ちゃんってば、またそんなこと言ってる。
 どうしたの、今日はちょっとおかしいよ?
 熱があるせいかな?」

早弥の言葉をさえぎって、僕はもういちど口を開く。

「おかしいのは、早弥の方なんだ。
 僕が、僕がおかしくさせちゃったんだ。
 お前に……薬を飲ませたんだ、それで」

「うん、知ってるよー♪」

早弥はとても……本当にとても楽しそうに笑って、
それからスカートのポケットからごく小さな容器を取り出す。
入れ物そのものは、僕の知らないものだった。
だけど、透明な容器のなかで揺れている液体には見覚えがある。
僕が早弥に飲ませた、あの薬だった。

「あの日……お兄ちゃんの部屋を漁ったときに
 このお薬と説明書きは見つけてあったの。
 ついでに中身もそれっぽい香水と入れ替えといたんだけど、
 やっぱりまだ気づいてなかったんだ」

「…………」

思考が空回りして、言葉がうまく出てこない。
そんな僕をじっと見つめたあとで、
まるで出来の悪い生徒に説明するように、早弥が話しはじめる。

「私だって、自分で不思議だったんだよ?
 お兄ちゃんの性欲処理をするのが当たり前のはずだけど、
 でも……じゃあどうして、いままで私はそうしてこなかったんだろうって。
 そんなときにお兄ちゃんの部屋を探してて、見つけたの。

 最初はなにをされたのか、よく分からなかった。
 それから辻褄が合うように考えて、
 それで……たぶんこのお薬を飲まされたんだって分かっちゃった。

 ……言っとくけど、許したわけじゃないんだよ。
 なんてことされたんだろうって思ったし、
 もうお兄ちゃんに優しくなんてしないって思ったりもした」

そこでやっと早弥は言葉を切って、ふぅ、と一息ついた。
なぜか少しも怒った様子はなく、
いまだに目の端は楽しそうにゆるんだままだった。

「だけどね……頭では許さないって考えてても、
 心と身体がぜんぜん言うこと聞いてくれないの。
 お兄ちゃんが熱を出して倒れたら心配になっちゃうし、
 それに……射精できてなくて辛いだろうなぁって思っちゃう。

 ね……分かるかな?
 きっとお兄ちゃんなら分かってくれるよね。
 そういう状態って、すごく苦しいんだよ。
 お腹が空いてるのに、目の前においしいケーキがあるのに、
 あれは食べちゃいけないんだって考えちゃうの。
 ずうっと、いつまでもそんな苦しさが終わらないの。
 だから……」

早弥は容器を開けると、左手の上にわずかに薬を垂らして
その紫色の液体を舌で一舐めする。
僕が止める暇もないほど、手慣れた動きだった。

「こうするとね、とっても楽になるんだよ…♪
 やっぱりお兄ちゃんにやらしいことしてあげなくちゃって、
 気持ちよくしてあげなくちゃって、心の底からそう思えるの。
 お兄ちゃんのことが……大好きでたまらなくなっちゃうの」

そう言って、突然に早弥がベッドの上に上半身を乗り出す。
萎えかけていたペニスの先端に、妹の唇が押しつけられる。
やわらかい感触がして、それからついで舌でちろりと舐め上げられる。

「……ん……ちゅっ………ちゅぷ…っ…♪」

早弥の唇と舌に、身体が条件反射みたいに反応する。
あっというまにペニスに血が流れ込み、どんどん膨らんでく。

(……僕は……なんて…こと………ぁ……ぁ…っ……)

打ちひしがれる間もなく、強制的に快楽が引きずり出される。
目からは涙がとめどなく溢れてくるのに、
なのに尿道口からはカウパーがこぼれ出してしまう。

「んっ……お兄ちゃんのおちんちん、
 またびゅーびゅー射精したいよーって駄々こねてる…♪
 もうやめよう、なんて口では言っておいて、
 やっぱり本当は精液どぷどぷしたかったんだ?」

楽しそうにそう言うと、早弥はまたペニスに口を近づける。
小さく突き出した舌で、ちろちろと裏筋が舐め回される。

「ここ、さっきの精液がいっぱい残ってる。
 すごくやらしい味だ…♪」

舌のあたたかくぬるんだ感触に、快感がぞくっ…と背筋を走り抜ける。
あんなに大量に出したあとなのに、また射精したいと感じてしまう。

僕のことを観察するみたいに見上げながら、
早弥が唇を離して、今度はペニスに頬を擦りつけてくる。
頬ずりしながら、ときおり伸ばした舌でペニスの根元辺りを舐めてくる。

「……う……ぁ…っ…」

「情けない声だ…♪
 そっか、こうされるの気持ちいいんだ?
 妹のやらかいほっぺで、
 ずりずりーって自分のおちんちん扱いてもらうの大好きなんだ?」

溢れたカウパーが早弥の頬に塗りつけられてく。
妹の頬がてらてらと淫らに光って見える。
尿道が疼くような、射精したいという強烈な欲求が湧き起こる。
この可愛い妹の頬を、唇を、口内を、どろどろに汚したくなる。
だけど。

「早弥、やめるんだ……お願いだから…やめ…てっ……。
 だめなんだ……だ…め………」

妹を振り払おうと、その肩に手を伸ばす。
だけど、肩にかかっている髪の毛に指が触れただけで、
さらさらとした心地いい感触に力が奪われる……。

「お兄ちゃん、どうしたのかなー?
 本当に嫌なら、突き飛ばしててでも私を止めないと。
 そうじゃないってことは、本当はしてほしいんだよね?
 ほら、私の髪の毛の触り心地はどうかな?」

そう言って早弥は笑いながら、
毛先でペニスのカリ首あたりをつつっ…と撫でる。
くすぐられるような感覚に、全身がひくっと震える。

「わ、びくって跳ねた。
 こうやってされるのも気持ちいいんだ?
 じゃあ……もっとしてあげる」

早弥はペニスに頬を擦りつけたまま、
つまみ上げた毛先で、亀頭や裏筋をゆっくりと撫で回す。
こそばゆさにも似た弱い刺激が、
じわじわと少しずつ着実にペニスに快感を送り込んでくる。

ペニスの根元が引き攣ったように痙攣する。
気を抜くとたちまち精液を漏らしてしまいそうで、
なのに、そこを早弥の舌がぺろぺろと舐めていく。

「……ちゅ……ん…っ……ね、出しちゃおうよ?
 さっき私のパンツにびゅーびゅーってしたの、思い出してみて。
 とってもとっても気持ちよかったよね。
 あんな気持ちよさが、もう一度味わえるんだよ?
 ううん、それだけじゃないの。
 お兄ちゃんが望むなら、二度でも三度でも。
 今夜はこのお部屋にお泊りして、朝までずっと舐めてあげてもいいよ。
 明日の朝は、また新しい私のパンツで扱いてあげてもいいし、
 お昼には一緒にお風呂に入って、そのままやらしいことしようね。
 明後日も、その次も、ずっとずーっと毎日が素敵になるよ」

あまく囁かれる言葉に、身体の力が抜けそうになる。
それでもぎりぎり耐えられているのは、
幼いころの早弥の姿がいまも脳裏をよぎるからだった。
屈託なく、ただ純粋に笑っていた頃の早弥。
その妹を、僕は……僕は………。

「ふふっ……ね、どうしてお兄ちゃんは我慢なんてしてるんだろうね。
 こないだまでは自分から腰を擦りつけて射精を求めてたのに。
 よだれでも垂らしそうなぐらいににやつきながら、
 私の胸やお尻におちんちん押しつけて腰を振ってたのに。
 いまさら、まともになったふりをしても遅いのに。
 本当にどうしてなんだろうね…♪」

早弥がまた唇をペニスに近づける。
目をほそめて、とても愛おしそうに裏筋のところに口づける。

「……ちゅ……ちゅっ…♪
 …んっ……もうキスだけで出ちゃいそうなぐらい……。
 もう我慢だって、できなくなっちゃうね。
 また精液びゅーびゅー吐き出しちゃうね。
 さっきも嫌がるふりしながら、出しちゃいけないって思いながら、
 それでも出しちゃうのがすごく気持ちよかったでしょ?
 あんなふうに、また頭のなか真っ白にして射精できるよ…♪」

早弥の手のひらがペニスを包み込む。
そのまま唇がもう一度ペニスの裏筋に近づき、口づけされる。
それと一緒に指先で、カリ首をゆったりと撫でられる。

「このまま私の顔に出していいよ…♪」

その一言の吐息がペニスにかかって、
それで……張り詰めていたなにかがちぎれた。
腰の奥が蠢いて、精液が送り出されてくる…っ……。

……びゅぶっ……びゅじゅぶっ……じゅぶぶっ……!

「……ぁ……早弥……さ…や……っ……」

妹の名前を呼ぶたびに、快感が背筋を駆け抜ける。
信じられない量の精液があとからあとから溢れてくる。
こぼれた精液がペニスを滴り落ち、
それが早弥の舌でれろり…と舐めとられる。
その気持ちよさで、また射精感が小さく弾ける…!

……どぷっ……びゅぷっ………びゅじゅっ…!

「……れろ……ちゅ……♪
 …えへへ……いっぱい私で出してくれてる……ちゅ…♪」

顔や髪を精液まみれにしながら、早弥が幸せそうに笑う。
射精が終わるまでずっと亀頭を可愛がるように撫でながら、
裏筋に小さなキスをしつづけてくれる。

少しのあいだだけ、僕はなにもかも忘れて
その優しく淫らな心地良さに身をまかせる……。
 
 
 
 
 
 
     * * *
 
 
 
 
 
 
……私の目の前で、お兄ちゃんが悲しそうな顔をしてる。
すっかり射精も終わって、いまになってきっと
なんてことをしたんだって、また後悔してるのかな……ふふっ。
これなら、仕返しをした意味があったかな。

私は薬の入ったあの容器を取り出して、
それから声をかける。

「ね……お兄ちゃん、さっき私が言ったこと覚えてる?
 私、勝手に薬を飲まされたこと、許したわけじゃないって言ったよね。
 だから……ちゃんと仕返ししてあるんだよ?」

お兄ちゃんは、ぽかんと間の抜けたように口を開けて
それから、やっと気づいたみたいだった。
――私もお兄ちゃんに薬を飲ませたんだってことに。

誤解のないように、私はちゃんと事実を説明する。
苦しくて自分で薬を飲んだのも、
やがてお兄ちゃんのことが好きになってしまったのも、
ぜんぶ本当なんだってことを。

でも、それと仕返しは別の話。
私はやっぱり、やられっぱなしなんて頭で納得できない。
お兄ちゃんのことを好きにはなったけど、
ただお兄ちゃんに都合のいいだけに女の子なるのは嫌だった。

だから、お兄ちゃんにも薬を飲ませた。
効果はてき面だった。
あんなにお猿さんみたいに射精させてほしがってたお兄ちゃんが、
もうやめよう、なんて言い出したんだから。
それで分かった。
固定観念が逆になるこの薬で、私への倫理観がひっくり返ったんだって。

私の説明を、お兄ちゃんは呆けた顔のまま聞いてる。
騙されていたことに気づいたその顔が面白くて、楽しくて……愛おしくて。
ああ、私はやっぱりこの人が好きになっちゃったんだな、と思う。

……私は微笑む。
ずっと考えていた言葉を言うために口を開く。
お兄ちゃんにかける、幸せな呪いの言葉を。

「これから毎日、やらしいことをしつづけようね…♪
 私はお兄ちゃんを最高に気持ちよくさせてあげる。
 手でも足でもお口でも。身体のどこでだって。
 制服でだって下着でだって。どんなことだってしてあげる。
 頭のなかがとろけちゃうほどの気持ちよさをあげる。

 だから、そのたびに苦しんでね…♪
 いけないことをしてるって思い悩みながら、
 心が壊れそうになりながら、よがり苦しんでね。
 それでも私を拒絶できないほどの快楽を与えてあげるから。

 私……お兄ちゃんのこと、大好きだよ。
 ずっと一緒にいてあげるって約束するよ。
 お兄ちゃんの心にひびが入って、いずれ割れてしまうまで。
 それが明日なのか。明後日なのか。
 それとも一ヶ月後なのか。一年後なのか。
 あるいは一生来ないのか、誰にも分からないけれど。
 その日が来るまで……世界で一番やらしい兄妹でいようね」

END