夕暮れのゆうわく

空が青から薄紫に変わってきた。
今日も一日、あっというまだ。

魔王を倒して勇者としての役割を終えて
なんでも屋の仕事を始めたけれど、
これはこれで時間が飛ぶように過ぎていく。

とはいえ、さすがにもう日も暮れる。
そろそろ家に帰って、ゆっくりと………。
…………?

路地に人影が見えた。
そのシルエットひとつで女性とはっきり分かる。
王都とはいえ、治安が万全なわけじゃないし、
女性の一人歩きは少し危ないんだけど……。

そう思って、声をかけようかと歩み寄ると、
……逆に声をかけられた。

「はぁ……ん………ああ、お客様ですか?
 気分が乗らないので……少し高めですけど。
 それで……構わなければ」

若い女性の……気怠げだけれど、どこか艶めいた声。
ついで、彼女の姿がよく見えてくる。

胸元までくっきりと開いた、赤のドレスを着てる。
パーティー帰りかなにかにも見えるけど、
それにしても妙に透け感の高いドレスで、
しかも……いま、お客様って………。

「ん……あ、勇者様でしたか。
 すみません………ぼんやりしていて、つい」

勇者だった頃の名残で、王都中に顔は知られてしまってる。
だから、そう呼ばれるのに不思議はないけど……。

「あの、もしかして………」

「ふふ、ご想像のとおり娼婦をしています。
 ああ……勇者様のお相手もできますよ。
 もちろん……お支払いは必要ですが」

「い、いえ、そういうのは大丈夫ですから」

「ああ……そうですか………。
 ではまた……気が向いたらお声がけください」

交渉を粘るような様子はまるでなかった。
気怠げな声音に再び埋もれるように、
目を閉じてゆったりと佇んでる。
夕日を受けて、はだけた谷間が薄桃色に染まってる……。

「…………」

とくに用事はないんだから、立ち去るべきだ。
……そう頭では思っているのに、なぜか足が動かない。
目の前の女性の姿を眺めてしまう。
ドレスのスリットから伸びたすらりとした太もも。
呼吸に合わせてかすかに揺れる、ゆたかな胸……。

「くす……もう一度……お聞きしてみましょうか?
 お相手が……必要ですか…♪」

女の人が片手で自身の胸を下からかるく持ち上げる。
ほんのりとピンクに染まった乳房が、ぷるっと揺れる。
見てるだけで、やわらかさが伝わるみたいで。

「……ふふっ♪」

僕を見て、笑われる。
……違う、僕じゃなくて、僕の股間を見て……。

(………ぅ………いつのま…に……)

ズボンをはっきりと下から押し上げるほど、
ガチガチに勃起してしまってた。
最近ずっとそうであるように、
また射精したくて、たまらない………。

「私もあまり……喋らない方ですけど、
 勇者様もそうみたいなので、
 勝手に……決めちゃいますね……♪
 お相手、させていただきます…♡」

どこか眠たそうだった表情が、
いつのまにか色気にすり変わってた。
ゆるんでいたはずの顔が、
いまはむしろ淫らに蕩けたものに見える。

「せっかくの新しいお客様ですから、
 今日はお代は結構ですよ……♪
 そのかわり、最初は軽いものにしましょうか♡」

小さく笑って、女の人が僕に抱きつく。
その拍子に、巨乳がドレスからこぼれそうなほどに
たぷっと大きく揺れる。

香水のせいなんだろうか、甘い匂いもする。
嗅いでいるだけで頭がとろけるような香り。
乳白色の海に頭まで浸かってる気分だった。

「勇者様も、おっぱいはお好きですか…♡
 ふふっ、では……今日は存分にどうぞ……♡」

(存分に……って………)

そう言われても、どうしていいか分からない。
もちろん頭では、触るとか、揉むとか、
そういう単語が浮かびはするのだけど、
身体が硬直して動かない。

「ん……緊張なさってます?
 でしたら、私の方からご案内しますね……♡
 とってもやわらかくて気持ちいい世界へ…♪」

女の人の手が、僕の後頭部に伸びてくる。
優しい手つきで、そっと頭が引き寄せられる。
抵抗する力が抜けて、身を任せてしまう。

「おっぱい、気になってましたよね…♡
 えっちな目、なさってましたよ?
 うふふ、もちろん私としては嬉しいですけど♡♡」

女の人の手に誘われて、
僕の顔がどんどん彼女の胸元に近づいてく。
真っ白な谷間が視界に広がって、
甘い匂いがどんどん強くなって………。

「……あ………ぁ……」

鼻先が乳房に擦れる。
かと思うと、そのまま鼻筋が谷間へと
深々と潜り込んでしまう。
ふにふに……と、幸せな感触が頬に当たる。

「どうですか……私の胸♡
 勇者様が本来相手にされるべきような、
 高貴なものではないですけれど……♪

 でも、たまにはこういうのも良いですよね♡
 見栄を張ったりする必要もなにもなく、
 大きなおっぱいに思うぞんぶん甘えるのも……♡」

(………う………ぁ……)

なにか答えようとするのだけれど、
少しでも息をすると、
たちまち鼻から甘い匂いが入り込んでくる。
蜜を溶かした乳のような、やらしい匂い……。

「たっぷりと楽しんでくださいね……♡♡
 私もサービスしますから……ほら♪」

女の人が僕の後頭部をさらに抱き寄せる。
と同時に、もう片方の手で
その巨乳を僕にむにゅっ……と押しつけてくる。

もともとブラはつけてなかったみたいで、
どこまでも柔らかくたぷたぷの感触が、
僕の顔いっぱいに広がる。

(……ぁ…………あ………ぁ……)

「くすっ………気持ちいいですか?
 ああ、答えてくださらなくても大丈夫ですよ。
 ここで分かりますから……♡」

楽しそうに女の人がそう囁いた次の瞬間、
僕の股間がそっと撫でられる。

「…………!」

「ふふっ、とっても大きくなってますね……♡
 気持ち良くなってくださってるようで、
 私としても嬉しいです…♪」

さわり、さわり…と、優しい手つきで
ズボンの膨らみが何度も撫でられる。
だけど、それは快感としては物足りなくて……。

(………う………ぅ……っ………)

「…………♡
 勇者様、私の手に押しつけてはだめですよ…♪
 そんなことしたら、射精してしまいますから」

そう言われて、自分がいつのまにか
股間を彼女の手に押しつけてたことに気づく。
恥ずかしさで顔が熱くなるけど、
女の人はむしろ楽しそうに笑ってる……。

「さきほど申し上げましたよね?
 お代は結構ですけれど、
 かわりに軽めのものにしておきましょう、と…♪」

女の人の手のひらが、僕の股間からすっと離れる。
ズボンの中で、ペニスだけがひくひく蠢く。
いまにも射精しそうなほどに昂ってるのに、
絶頂にはあと一歩及ばない……。

「ほら、気持ちをこっちに戻しましょう?
 おっぱい、ふかふかで気持ちいいですよ……♡♡」

後頭部が優しく、ぽんぽんと叩かれる。
女の人の谷間に顔がさらに埋もれる。
ペニスはひくついたままだけど、
それでも奇妙に幸せな気持ちに満たされる。

「くすくす……大人しくなっちゃいましたね♡
 でも、いいんですよ、それで……♪」

「勇者様だって、たまには息抜きしないと…♡
 みんなの期待に応えてばっかりじゃ、
 疲れちゃいますからね……♪」

(………う……ん………)

心の中でうなずいて、女の人の身体に
少しだけ体重を預けてしまう。
頬に乳肉のやわらかさを感じるたびに、
ゆるやかな安堵が全身に広がる……。

………。
…………。
……………。

どれほど、そうしていただろうか。
女の人がそっと僕の肩に手を置いた。

「はい、勇者様。
 そろそろいいでしょうか……♪」

それが、この甘い時間の終わりの合図なんだと、
ちゃんと分かってる。
分かってる……のに、身体が動かない。

ふかふかのおっぱいに、もっと埋もれていたい。
それに、やっぱり……ペニスが疼いて………。

「……ふふ、困っちゃいました。
 勇者様がここまで甘えたさんだなんて、
 私もちょっと思ってませんでした……♡」

僕の髪を指でかるく梳きながら、
娼婦の女の人が優しく囁く。

「でも勇者様……だめですよ?
 ここから先は、お代が必要です…♪
 自分で言うのもなんですけれど、
 私……それなりに頂くものは頂くので♡♡」

「…………」

それでも僕が動けないでいると、
女の人が耳元に口を寄せてくる。
そして……金額が告げられる。

こんなにゆったりと甘えているのに、
それでも身体が一瞬震えるほどの額だった。
たぶん普通の娼婦の人の、何倍もの値段。
それほどの金額、持ち歩くこともあまりない。

思わず少し顔を上げると、
いつのまにかもう、夜のとばりが下りていた。
夜風が冷たい。谷間に埋もれてた顔だけが熱い。

「さすがにお支払い……できませんよね?
 ですから、また今度………。
 ………あら、お持ちなんですか?」

「たまたま、今日、は……」

ちょうど依頼を一件こなしたあとだった。
わりと大きな仕事だったから、
財布には、なんとか支払える額が入ってる。

「そうでしたか。
 でも、きっと大変なお仕事で得たお金ですよね。
 私なんかに使って、よろしいんですか…♡」

こくりとうなずくかわりに、
女の人の谷間に顔を埋めてた。
夜風で少しだけ冷えた鼻先と頬が、
おっぱいの匂いと体温にまたほぐされてく……。

「くすっ……そうですか♡
 じゃあ……気持ち良くしてさしあげますね。
 勇者様はなにもせず、
 おっぱいに甘えていていいですから……♡」

女の人の指が、僕のズボンに伸びてくる。
慣れた手つきでペニスが取り出される。
尋常でない量のカウパーがこぼれていて、
風がいっそう冷たく感じる。

でも、たちまち……女の人の手で竿を握られる。
ほんのりあったかくて、すべすべの手が、
竿の上を這い回って……。

「…………っ…」

射精感がいきなりこみ上げる。
腰の奥から精液が流れ出そうになって、
必死にお腹に力を入れて押しとどめる。
だって……まだ………。

「…………♡
 そうですね……せっかく大金を支払って
 いただいたんですから……♪
 長く長く楽しみたいですよね……♡♡」

なにもかも見透かしたような口ぶりで、
女の人がペニスを優しく擦る。
ごくゆっくり、羽根で撫でるように
そっと、そうっと刺激される。
射精感が、ほんの少しだけ落ち着く……。

「そうだ……長く楽しむコツ、ご存知ですか?
 少し別のことで気を紛らわすといいんですよ…♪
 だから私、お相手をしているときだけは、
 おしゃべりするの……大好きなんです♡」

しっとりと落ち着いた声で囁きながら、
女の人が身体をさらに密着させる。
おっぱいがたわんで頬肉にまとわりつき、
唇の端にまで、ぷにゅっ…と当たる

「おしゃべりの話題……なににしましょうか。
 そうだ……勇者様はどうして今日にかぎって、
 大金を持ち歩いてらっしゃったんですか?
 もしかして……最初から私に頼むつもりでした?」

「……ち……が……っ………」

首を小さく振ると、巨乳がたぷたぷと両頬を甘く叩く。
途端、ペニスが跳ねる。また射精感が少し膨らむ。
ほそい指が、落ち着かせるようにカリ首を撫でる。

「仕事が……終わって………帰り道で……それで……」

喋るたびに、女の人の谷間に溜まった空気が
身体の中にどんどん入り込んでくる。
頭のてっぺんからつま先まで、
やらしい匂いが詰まってるような感覚。

「……ぁ……はぁ……大きな……依頼だった、から……。
 それで……たくさん、受け取って…て……すぅ……」

空気が足りなくなってほんの少しだけ顔を上げ、
呼吸しながら、必死に説明する。
女の人が微笑みながらうなずく。

「ふふっ……そうだったんですね。
 じゃあ、とってもタイミング……良かったですね♡
 ところで……どんな依頼だったのか、
 聞いてもよろしいですか?」

「……え、と………誘拐、の……事件……。
 女の子が……さらわれて………助けに、行って……」

「わ……すごい♡
 ご立派ですね……♡♡」

ペニスを触っていない方の手で、
女の人が僕の頭を撫でてくれる。
また少しずつ、顔が谷間に埋もれてく。

「よくある身代金目当て、とかですか?
 それとも……女の子自身が目当て、でしょうか?」

後者の質問にうなずくように、
女の人の胸元にさらに頭を押しつける。
くすくすという微笑みが頭の上から聞こえる。

「じゃあ、たぶんすごく可愛い子だったんじゃないですか?
 もしかしたら、おっぱいも大きかったり……♡」

……そのとおりだった。
すごく整った顔立ちで、胸もすごく大きかった。
学校の制服を着ていたけど、
そのブラウスの布がぱんぱんに張るぐらいで……。

「あ……おちんちん、すごい跳ねました……♪
 私の質問、当たってましたか?」

ペニスの硬さをあらためて確かめるみたいに、
にゅこ…にゅこ…と竿を大きく上下に扱かれる……。
射精の瞬間へと、どんどん追い詰められてく……っ…。

「じゃあ誘拐されちゃうのも……分かります……♡
 でも……勇者様が助けて……良かったですね♪
 その子にとってはもう、王子様ですね…♪
 とっても感謝されたんじゃないですか?
 ふふっ……もしかしたら恋心を抱かれてるかもですよ♡」

優しく語りかけながら、女の人がペニスを刺激する。
いつのまにか、指の動きが速くなってた。

カウパーにまみれたカリ首が、じゅりじゅり…と擦られる。
竿の根元が痛いぐらいに張り詰めて、
じんじんとした痺れがペニス全体に広がってる。
もう……このまま…じゃ………。

「でーも……♡」

ふにっと柔らかい指の腹が、裏筋をひたひたと何度も叩く。
なにかを尋問するみたいな焦らし方。

「勇者様だって……男の子ですから♪
 本当は……してみたいこと、ありましたよね?」

(え……?)

僕の心の声が聞こえているみたいに、
女の人がさらに言葉を続ける。

「本当は……誘拐したわるーい犯人さんみたいに、
 えっちなこと……したかったんじゃないですか……♡♡
 犯すだなんて、ひどいことは思わないにしても、
 少し試してみたいことぐらいは……♡」

「…………」

「私はその女の子じゃないですけど……♪
 かわりぐらいには……なってあげますよ……♡
 ですから……どうぞ♡♡」

身体が勝手に動いてた。
谷間に顔を埋めたまま、両手も胸元に伸びていく。
ドレスの胸元をはだけるようにしながら、
女の人の巨乳に……触れる。指が沈む。まさぐる。
おっぱいの柔らかさが、手のひらいっぱいに溢れる。

「ふふっ、勇者様ったら……えっち♡」

「……ぁ……あ……ぁ…ぁ………っ……!」

背筋を快感が走り抜ける。
ペニスが根元から大きく跳ねて、
でもそれが女の人の手で優しく握られる。
精液が尿道を駆け抜ける……っ……!

……びゅぶ……っ……!じゅぶっ……びゅくっ……!!

「あはっ……出ちゃいましたね♡
 女の子を助けた王子様なのに、
 その助けたお金で娼婦を買って射精しちゃいましたね…♡♡」

さっきまで僕の頭を撫でていた手が、
いまは後頭部をぎゅっと抱きしめてた。
気づかないうちに目を閉じてて、
まぶたの裏にまで乳肉がたぷり…たぷり…と押しつけられる。
ペニスがまた一際強く跳ねる……っ……。

……どぷっ……びゅるっ……!じゅぷっ……どくっ……!

「女の子はきっと、かっこいい勇者様を夢見てるのに、
 本当の勇者様は……やらしいこと、大好きなんですよね。
 おっぱいだって、いっぱい触ったり揉んだりしたいんですよね。
 だから……私のなら、いくらでもどうぞ♪
 誰にも言ったりしませんから……♡」

「……ぁ……ああ……ぁ……っ……!!」

女の人の乳房をまさぐりながら、
腰がいつのまにか、かくかくとみっともなく動いてた。
すべすべの手のひらにペニスを擦りつける。
まだ律動が続く。

……どくっ……びゅ…る……っ……とぷっ………。

何度もこまかな律動を繰り返し、
その間隔がだんだんゆっくりになり、
やがて……長い射精が終わる……。

「……はい、そろそろいいでしょうか♪」

最初にそうされたように、肩に手を置かれる。
今度は、身体は動いた。
女の人の手からゆっくりとペニスが抜けて、
胸元からも顔が離れる。

「お疲れ様でした……♡
 ご満足、いただけたでしょうか?」

こくん…と、うなずく。
女の人が嬉しそうに微笑む。

「では、お代を頂戴しますね…♪」

懐から財布を取り出し、金貨を数える。
女の人は、手慣れた動作でそれを受け取った。
と同時に……その雰囲気が、少しだけ変わる。
出会ったときと同じ、どこか気怠げな空気。

「ん……ありがとう……ございます……♪」

甘く淀んだ空気を漂わせながら、
女の人が僕に笑いかける。

「ああ……それと……♪
 私は……夕方は……大体ここに……いますから。
 なにかあれば……また……いつでも…どうぞ……♡」

END