調理の時間

トントンと野菜を包丁で切る音や、
スープを煮るぐつぐつ音があちこちから聞こえる。
今日の調理実習の課題はポトフ作りだった。
二人一組で料理して、最後はそのまま試食の予定。

教室の中央あたりを見やると、ちょうど利奈と目が合った。
同級生で、僕の恋人でもある女の子。

その利奈が僕に向けて、パタパタと楽しそうに手を振ってる。
残念ながら今日は一緒のペアにはなれなかったけど、
でも同じ授業を受けてるだけでなんだか嬉しい。

僕も小さく手を振り返して、
それからあらためて調理台に向き直る。

「……えっと」

慣れない手つきで包丁を持ち、人参にあてがう。
少し力を込めると、ストン、と切れる。
これを繰り返して、野菜を一口サイズに切り分けて。

「にゃー」

背後…というより耳元で、不意に囁かれる。
いつのまにか上野さんが僕に寄り添うように立っていた。
たまたま今日の実習で、僕のペアに当たった女の子。

「ふふ……驚かしてごめんね?
 でも危ないよ、早川くん。
 ほら、ちゃんと猫の手にしておかないと」

人参に添えられたまま伸びきっていた僕の指に、
上野さんのほそくて長い指がするっと絡んでくる。
かすかにひんやりとした、吸いつくような肌だった。
そのまま、そうっと僕の指が内側に丸められる。

「ん……これで大丈夫。
 気をつけないとだめなんだからね」

「あ……うん、えと……ありがとう」

「ふふっ、どういたしまして。
 あ、それと……私と付き合ってほしいって話のお返事、
 どうなってるかな?」

思わず、肩がびくっと震えた。
それから慌てて周囲を見渡し、
誰にも聞かれていなかったことを確かめてしまう。

「なんでこんな、とこ、で…っ…。
 それに……断ったはず、だよ…!
 僕には利奈がいて」

「うん、もちろん知ってるよ。
 だからちゃんとこないだ言ったよね。
 あの子と別れて、私と付き合ってほしいなって」

上野さんの平然とした様子に
背筋がぞくり、と震えてしまう。
彼女の考えていることがまるで分からない。

告白されたのは、数日前だった。
もちろん断った。僕には恋人がいるって。
いや……本当はそれを言う必要さえないはずだった。
だって上野さんは利奈の友達なんだから。
僕と付き合ってるって知ってたはずなんだから。

僕がはっきり断ったとき、
上野さんは、くすっと微笑んだだけだった。
訳が分からなかったけど、
でも納得してくれたんだろうと思ってた。
思ってた…のに……。

「私、お返事ずっと待ってるんだけど、
 早く聞かせてほしいな…♪」

上野さんが僕に身体を密着させる。
僕の二の腕に、彼女の胸のふくらみが当たる。
エプロンと制服越しでも、
むにっとしたやわらかさが伝わってくる……。

「あ、わかっちゃうかな。
 今日はね、ブラもつけてないんだよ?」

僕の腕の上を、布越しの乳房が這いずり回る。
むにゅ…っ…むにゅ…っ…と、
甘くて優しい感触がたえまなく続く。
やらかい……あ…ぁ………。

「ふふっ……早川くん、おっぱい気持ちいいの?
 そんなに腕をぐいぐい押しつけちゃって」

「………!」

さっと血の気が引く。
僕は……なにをしてるんだ…。
いつのまにか肘を上野さんの胸に押しつけて
おっぱいの感触をむさぼってた……?
しかも、周りには同級生がいっぱいいるのに……。

「あんまりキョロキョロしちゃだめだよ?
 大人しく、なんでもないふりをしてればいいの。
 そしたら調理の仕方を教えてもらってるだけに見えるから、ね?」

視線だけで、周囲の様子を探る。
たしかに僕たちがいるのは家庭科室の一番隅で、
それにみんな料理に夢中で気づいてない……。

「うんうん、そうだよ。
 しずかにしてれば、ばれないからね。
 だから……こんなことをしてもきっと大丈夫」

上野さんがいっそう僕に身体を押しつける。
おっぱいがやらしく変形していくのがありありと分かる。
彼女のさらさらの髪の毛が首筋をくすぐる。
女の子の良い匂いがひろがる。

それから、不意に彼女の手が
僕がつけてるエプロンの裏側に入り込んでくる…!
ズボンの膨らみを、まるで小さな子供の頭を撫でるように
優しく優しくさすってくる……。

「………ぁ…っ……」

「こーら、声出しちゃだめだよ?
 みんなにばれちゃうよ?
 おちんちんさすられてるの、ばれていいのかな?」

上野さんの唇がさらに吊り上がる。
とてもとても楽しそうな笑みを浮かべたまま、
ズボンの膨らみを念入りに撫でまわす。
ペニスにどんどん血が流れ込んで、
これ以上ないくらいに大きくなっていく。

「すごくびくびくしてるね。
 気持ちよくて、我慢できなくなってきたんでしょ?
 白いのいっぱいだしたくなったんだよね」

「ち、がっ……」

「違わないよねー、ほら…♪」

ズボンの膨らみの先端を、上野さんが人差し指と親指で器用につまむ。
そのまま布地ごと、くいくいっ…と何度も上下に動かす。
快感がとろり…と腰の奥から流れ出す。
…ぁ……気持ち…い…い……。

「あはっ……情けなくて、でもとっても可愛い顔だね。
 そんな顔見たら、もっとしてあげたくなっちゃう」

上野さんの指が、もぞもぞと何かをまさぐるように動いて
ついでジッパーをゆっくり引き下ろしはじめる。
思わず声を上げそうになって、
でもそれより早く上野さんが僕の耳元にささやく。

「だから、声を出したらだめだよ。
 なんでもないふりをしてようね。
 そしたら、すごーく気持ちよくなれるんだから」

ジッパーが下りていくジジッ…という音が、
異様なほどに大きく聞こえる。
誰かにそれを聞かれてしまうんじゃないかって怖くなる。
心臓が痛いぐらいに鼓動を打つ。

なのに、そんなに怖いのに
まるでペニスが小さくなってくれない。
上野さんのほっそりとしたあの指の感触を直接味わいたいって
身体が勝手に快楽を求めてしまう。

彼女の指がズボンと下着の隙間に入り込む。
すべすべの肌が、亀頭にぬるっ…と触れる。
それではじめて、いつのまにか下着の中がカウパーで
どろどろになってしまってるのに気づく。

「ん……とってもぬるぬるだね。
 そんなに期待してくれてたのかな?
 心配しなくても、おちんちんをさすってあげるぐらいはね
 私はいつだってしてあげるのに」

くすくすと笑いながら、指が竿に絡む。
そのまま扱かれるのだと、そう思った。
だけど上野さんはあの妖しい笑みを崩さないまま、
ペニスがズボンの外へと引っ張り出してく…!

「や、やめ…っ……」

「そんなに心配しないの。
 ほら、いまはちゃんとエプロンつけてるんだから。
 前から見たら、ほとんど分からないよ」

たしかにエプロンで隠れてはいる。
でも、それだって少しめくれたらたちまち見えてしまう。
それに、それに……。

「ふふっ、透明なのがいっぱいこぼれてるね。
 さっそくエプロンの裏にもついちゃってるよ?
 いいのかな、これは利奈からの借り物なんだよね?」

そうだ。エプロンを忘れて、利奈に予備を貸してもらったのに。
そのエプロンにカウパーがべとべとに付着してく。
恋人の持ち物を、あさましい欲望で汚してしまってる。
それも、他の女の子の手で興奮した挙句に…っ……。

「あ、だめだよ、逃げたりしたら。
 なにかしたら、エプロンめくって大声あげちゃうから。
 それにだいいち、おちんちんを触られて
 気持ちよさそうにしてたのはどこの誰だったかな?」

上野さんは余裕たっぷりの表情のまま、
ペニスに絡めた指をそっと動かしはじめる。
ねちゃ…ぬちゅ…っ…と淫らな水音が響く。
だけど……だけどこんなので気持ちよくなっちゃいけない。
こんなの、少しも気持ちよく…なん……か……。

「くちゅくちゅ、にゅるにゅる…っと♪
 早川くんがぬるぬるをいっぱい出してくれるからね、
 とってもさすってあげやすいよ」

エプロンの裏側で、ペニスが白くてほっそりした指に
ぬちゅぬちゅと扱かれつづける。
感じちゃいけないと頭では考えているのに、
粘液まみれの指の腹で擦られるたびに
ペニスの根元が何度もひくついてしまう。

カウパーが鈴口から溢れだして垂れ落ちる。
それがまた長い指でからめとられて
裏筋やカリ首にぬるぬると塗りこめられていく。
ペニス全体がむずむずとするような、
甘い陶酔感が押し寄せてくる。

「私の指、とってもいいでしょ?
 恋人になってくれたらね、いつだってこうしてあげる。
 毎朝一緒に電車に乗って、それでしたくなったら
 鞄で隠してびゅーって射精させてあげる。
 ふふっ、とっても良い彼女さんでしょう、私」

いつでもしたくなったら射精できる。
その言葉がとても魅力的に聞こえる。
やらかい指がペニスを丹念に撫でるたびに、
射精感がじわじわとこみ上げる……。

「もし学校でしたくなったらね、
 ちょっと私の手を引いてくれればいいの。
 そしたらね、トイレでも屋上でもどこかに行って
 すぐに扱いて、出させてあげる。
 あ、それともお口でしてあげる方がいいのかな?」

もうペニスはどこもかしこも粘液まみれだった。
上野さんの指が動くたびに、
ペニスの表面にとろけるような快感が走る。

しかも指で激しく扱かれるたびに、
鈴口がエプロンの裏地にざらり…とこすれる。
そのひりつくような刺激のあとで
また粘ついた快楽に埋もれて、
それからまた不意に布地がざらざらと当たる…っ…。

そのたびにカウパーが異常なくらいに溢れだして、
エプロンの裏地を汚していく。
正面からでも染みが分かるんじゃないかっていうぐらいに
エプロンがぐっしょりと濡れていく。

だけど、それでも射精だけは我慢する。
出したら、そしたらもう言い訳なんて絶対できない。
利奈のエプロンに射精なんて、そんなの、そんなの……。

「まだ出さずに耐えられるんだね……すごいすごい♪
 でも、どれだけ持つかなー?
 えっと……そうそうお話の続きだったよね。
 私が恋人になったらどうなるかっていうお話」

上野さんがまた楽しそうに喋りはじめる。

「もし授業中に射精したくなったら、
 気分が悪いですって先生に言えばいいからね。
 ほら、私って保健委員だから。
 それで一緒に教室を抜け出して、
 そのままどこかで……しちゃおうね。
 みんなが真面目に授業受けてるのに、
 早川くんだけは私とぬちょぬちょ…ってやらしいことするんだよ?
 ね、すごく素敵でしょ?」

囁きつづけられる言葉のせいで、
半ば強制的にイメージが引きずり出される。
ペニスが疼いた途端に上野さんを呼び出し、身体をまさぐり、
そのままどくどくと射精する。
そんな薄暗くて、でも甘やかな想像が広がってしまう。

「学校からの帰り道はどうしよっか。
 もちろん私の部屋に二人で閉じこもって、
 よだれや精液でべたべたになるまで
 ずうっとやらしいことするのもいいよね…♪
 だけど、そこまで早川くんが我慢できるかな?
 帰宅途中にも射精したくなっちゃうかな。
 それでもいいよ。
 そのときはコンビニでもファーストフードでも
 どこでもこっそりしてあげる。
 早川くんはなんにもしなくていいの。
 ただ気持ちいいのに身を任せればいいだけ」

吐息が耳たぶをくすぐる。
全身の力が一瞬、ふっと抜けてしまう。
射精感がいきなり破裂する…っ…。
押しとどめようとしたけれど、できない。
精液が上ってくる…出ちゃう…っ…!

「ひ…ぁ……っ…!」

どくどく…っ…!と精液が大量に溢れ出す。
ペニスが馬鹿みたいに跳ね回る。
精液がエプロンの裏地のあちこちに飛び散る。
これは利奈のものなのに。返さなきゃいけないのに。
そう思ってるのに、でも思えば思うほど
精液が後から後から噴き出してくる。

「ん……いっぱい出てるね。
 でもだめだよ、あんまり暴れたら。
 ほら……誰かさんがこっちを気にしてるみたいだよ?」

上野さんの視線につられるように部屋の前方を見る。
利奈がこっちを見てる。僕らを見てる。
僕が射精してるところを…っ…。

「大丈夫、なんでもないふりしてればいいの。
 あ、でもおちんちんがびくびくしてると怪しまれるから
 ちょっとじっとしてようね?」

上野さんが僕のエプロンに手を伸ばす。
そのまま表側から押しつけるみたいに、
ぎゅうっと手のひらで射精途中の圧迫する。

「…………ぁ…っ……」

小さく開けた唇から、息が漏れる。
それでもなんとか顔は笑顔を無理矢理に形作って、
こっちを不思議そうに眺める利奈に笑いかける。
利奈が嬉しそうに手を振る。
それを見ながら、彼女のエプロンの裏地に
びゅくびゅくと精液を吐き出しつづける……。
 
 
 
 
     * * *
 
 
 
「どう? おいしい?」

僕の目の前にはスプーンを持った利奈がいて
調理台の上には彼女が作ったポトフが置いてある。

「うん……すごくおいしい」

「へへー、よかったー♪
 あ、じゃあもう一口どうぞ」

じゃがいもとベーコンをすくって、
ふぅふぅと軽く息を吹きかけてから
また利奈が僕にスプーンを差し出す。
促されるままに口を開いて、それを食べさせてもらう。

そんな僕らを見ながら、一緒にいた上野さんが微笑む。

「ね、利奈。私も一口もらっていい?」

「もちろんいいよー。
 でも残念だったね、お料理だめになっちゃって」

「うん……早川くん、ごめんね。
 私がスープを全部こぼしちゃったから……。
 それに……利奈のあのエプロンも」

僕がつけていたエプロンは、いまは部屋の隅に干してある。
上野さんがスープを盛大にこぼして、
それが僕のエプロンにも大量にかかってしまった。
だから水洗いしたのだと、そういうことに……なっていた。

「いいよー、そんなの気にしなくて。
 エプロンなんて汚れるためにあるものだし。
 それに二人とも火傷とかがなくてほんとによかった」

利奈の言葉を聞くたびに、
罪悪感で心がざくり…と切り裂かれる。
自分がしていたことのおぞましさに吐き気が止まらない。
僕はいったい……なんで…あんなこと………。

こみ上げる吐き気をこらえながら、
利奈が作ってくれた料理をゆっくりと食べる。
そんな食事が終わる頃になって、上野さんが口を開く。

「さて、と。じゃあ利奈は先に教室に戻ってて。
 私たち、料理が完成できなかった罰で
 家庭科室の掃除しろって言われてるの」

そんなこと言われてない。
とっさにそう口にしようとして、
でも……上野さんの表情を見た途端、なにも言えなくなる。
「そんなことしたら全部ばらしちゃうよ」と
彼女の目がそう言ってた。

「あ、そうなんだ。じゃあ、また後でね♪」

手早く自分の周囲だけ片づけて、
利奈は家庭科室から出ていってしまう。
それから上野さんが僕に向き直る。

「なーに、そんな怖い顔して。私に怒ってるの?
 ……早川くんが自分で勝手に気持ちよさによがって
 びゅーびゅーしちゃっただけなのに」

「………っ…」 

そう言われると、言い返せない。
だけど、だけど……!

「そうやって誰かのせいにしようとするの、良くないんだよ?
 でも、安心していいよ。私はそんなことじゃ怒らないもの。
 私はもうあなたの恋人さんなんだから」

「……いつ、そんなこと…!」

「あれ……まだそんなこと言うんだ?
 さっきみっともなく射精しちゃった時点で、
 私を選んだくれたんだと思ったのに。
 あんなにたっぷり気持ちよくしてあげられる私を」

「それは、そっちが……勝手に………」

勝手にやったことじゃないか、と言いたくて
でも言葉が続いてくれない。

「私が勝手に……なにかな? 私がしたから悪いのかな。
 でもね、じゃあ早川くんはいったいどんなつもりで、
 あんなふうにだらしなく白いの垂れ流してたのかな?
 恋人でも何でもない女の子が、都合よく自分のおちんちんを扱いて
 射精させてくれて嬉しい、なんて思ってたのかな?」

上野さんが立ち上がり、僕に近づく。
椅子に座った僕の膝の上に、両脚を大きく広げて座る
弾力感のあるお尻の感触が、僕の太ももにあたる。
スカートの裾が、僕の股間のあたりにふわっと広がる。

「そんな夢みたいなお話、あるわけないよね。
 あれは恋人になってくれると思ったから、してあげたんだよ。
 ね……さっきのこと思い出してごらん?
 すごくすごーく、気持ちよかったでしょう?」

上野さんはスカートの裾を指でつまんで、
僕のペニスがあるあたりの膨らみをひらひらと撫でる。
スカートが上下に動くたびに、
ショーツがいまにも見えそうで、でもどうしても見えない。

「ん……私のパンツ、見たいの?
 いいよ。一言、私の聞きたい返事をくれたらね、
 いくらでも見せてあげるよ?」

「…………」

上野さんの指がズボンのジッパーに伸びて、
また手際よくペニスを取り出していく。
露出したペニスの先端が、スカートの裾でこすられる。
ぞくぞくとした、たまらない快感がたまってくる。
同時に……ある想像が浮かび上がってしまう。

もし……もしも上野さんと付き合ったら、どうなるんだろう。
利奈は、きっと悲しむ。
だけど、カップルが別れるなんてよくあることで。
僕たちだって結婚まで考えてるわけじゃない。
だったら………。

僕の脚の上にのせられた上野さんの太ももに、
視線が吸いついてしまう。
すべすべの白い肌を思いきり撫でまわしたい……。
ブラウス越しに主張してる大きな胸も気になってしまう。
そのボタンを外して、手を差し入れて、鷲掴みにして
それから顔をうずめて、やわらかさと匂いを味わいたい。
この子なら、きっとそんなことをしても許してくれる……。

「ね、早川くん。その気になってくれたかな?
 私を……恋人にしちゃおうよ。
 いまあなたが思ってることを全部、
 ううん……その何倍も素敵なことをいっぱいしてあげるから」

さっきの射精の感覚が蘇る。
利奈との行為ではけっして味わったことのない、
身体の隅々まで気持ちよさに震えるようなあの感覚。
あれを……何度でも………どこでだって………。

「一言でいいんだよ。彼女になってくださいって言えば。
 ただそれだけで、最高の快楽に浸れるの。
 びゅーって…♪ びゅーびゅーって、いくらでも…♪」

「………彼女……に……」

その瞬間……利奈の顔を思い出した。
さっき僕に料理を食べさせて、はにかんでいた表情。
そのとき自分が味わっていた、耐えがたい後ろめたさ。

「……やっぱ…り………だめ……だよ…っ…」

言えた。はっきり断れた。
僕は、快楽に流されずにすんで。

「どうしてそういうこと言うのかな」

上野さんが僕を見つめてる。
怒りや悲しみではなく、ただ理解不能なものを見る目で。

「おちんちん、こんなにびくびくさせてるのに
 どうして早川くんは我慢するのかな。
 私と一緒になる方が、ずっとずっと気持ちいいのに。
 脳みそ溶けちゃうぐらい、どろどろにしてあげるのに」

「……恋人って…そういうことするだけじゃ、ないよ……。
 もっと違う……純粋な気持ちで……」

必死に彼女を説得する言葉を探す。
だけど、上野さんは無表情のままに
自分のスカートをするっとめくり上げる。
ピンク色の小さなショーツが脚のあいだからのぞく。
それを見た途端、ペニスが勝手に跳ねてしまう。

「おちんちんをね、こんなにさせながら言っても
 なんの説得力もないよ?
 ……それともあれかな、本当に純粋な気持ちしかいらないなら
 こんなびくびく跳ね回るものなんて、邪魔だよね。
 いらないんだったら……取っちゃおうか」

上野さんが調理台に手を伸ばして、なにかを掴む。
包丁だった。
その切っ先をペニスの先端に向ける。

「すぱって、このまま切っちゃおうか。
 いらないおちんちんが取れたら、利奈とももっと仲良くできるね。
 うん、そこまでしてくれるんだったら、私も諦めてもいいよ」

「やめっ…!」

「あはっ……どうして怖がるのかな?
 おちんちん、いらないんじゃないのかな」

くすくすと笑いながら、上野さんが包丁の背の部分で
ペニスの竿をとんとん、と軽く叩く。

「…ひ…っ……」

「ふふっ、すごく不思議だねー♪
 おちんちんいらないはずなのに、切られそうになると
 女の子みたいな悲鳴あげちゃうなんて。
 ほら、小さくしてごらん。そしたら少しは安全だよ?」

恐怖で性器が萎えそうになる。
だけど、縮こまろうとするペニスを上野さんの指がつかんで
カウパーを絡めながら上下に扱いていく。
ぬるぬるした感触に、また血が竿に流れ込む…っ…。

「あ、だめじゃない…♪
 こんなに大きくしてたら、人参みたいにすぱって切れちゃうよ?
 切ってほしいなら話は別だけど」

「やめて…やめて……お願い…っ…!」

「早川くんの頼みごとだったら聞いてあげたいけど、
 どうしようかなー……♪」

楽しげに笑いながら、上野さんが僕の膝の上で身をよじる。
彼女のお尻が僕の脚の上を這い上り、
ピンク色のショーツがペニスの裏筋にぴったりと当たる。
つるつるとした生地の感触に、またペニスが膨れ上がる。

「それじゃあね、このままお昼休みが終わるまで
 射精せずに我慢できたら許してあげる。
 それは早川くんが、おちんちん気持ちよくなりたいよーって
 そんな欲望には流されない男の子だって証拠だもんね。
 だけど……出しちゃったらだめだよ。
 早川くんにとって不要なこれは、綺麗に切り取っちゃうから」

僕の両脚の上で、上野さんが身体を揺らしはじめる。
すべすべのショーツが、ペニスの裏筋を優しくこする。
腰の奥からむずむずした快感が湧いてくる……。

頬の内側を強く噛んで、その快感を打ち消そうとする。
だけどそれより早く、ひらひらと揺れるスカートの裾が
不規則にカリ首や亀頭を撫でていく。
ざらざらとした強い刺激に、またペニスがひくつく。

「ふふ……大丈夫かな、そんなにぴくぴくさせて♪
 まるですぐに出ちゃいそうに見えるけど。
 これのこと、忘れちゃだめだよ?」

上野さんが包丁を小さく掲げる。
蛍光灯の光が、刃の側面に反射して光る。
そうだ。出しちゃだめだ。感じちゃだめだ。
気持ちよくなんて、なったら……だめ……なのに…っ…。

カウパーがとめどなく溢れ出す。
ショーツがいつのまにかそれを吸ってぐっしょりと濡れる。
ぬるぬるとすべすべが、性器の裏側を這い回る。

「ん……すごいどろどろだね…♪
 学校で女の子に抱きつかれて、パンツごしごし擦りつけられて
 すごく気持ちいいのかな?」

上野さんがくすっと笑う。
あらためて、その顔を見て……すごく綺麗な子だと思ってしまう。
肌もきめ細かくて、胸も大きくて、お尻もやらかくて……。
利奈と付き合う前は……いや本当は付き合った後も、
目の前のこの女の子を想像上の相手にして何度も自慰行為に耽った。
その女の子が僕にまたがって、下着をこすりつけてる。

「………ぁ…っ……」

意識してしまった途端、射精感が一気にこみ上げる。
ペニスが何度も震える。
唇を噛んで、目を見開いて、それに耐えようとする。
包丁がぴかぴか光ってる。だめだ。出しちゃだめだ…っ…!

「うんうん。我慢してるね。
 出しちゃったら大切なおちんちん、なくなっちゃうもんね。
 そんなことになったら辛いもんね。我慢しないとね」

含み笑いをしながら、上野さんが腰を動かす。
ピンクのショーツがぐいぐいと裏筋に押しつけられる。
つるつるとした生地に粘液がまみれて、ぬるぬるで。
それにあったかくて、やらかくて。

「このまま出しちゃったら、
 私のパンツに精液がべっとりついちゃうね。
 私、午後からもこの下着を穿いたまま授業受けるんだよ?
 それが分かってるのに、精液どくどく出しちゃうんだ?」

上野さんの吐息が頬や耳にかかる。
囁かれつづけるあいだに、肌のそこだけがじっとり湿ってく。
我慢しようとする気持ちが溶けそうになる。
だめだ……だめ……だ……め………。

「ね、出しちゃおうよ、このまま。
 女の子の目の前で、パンツにおちんちん擦りつけて
 頭の中をぬるぬるした気持ちよさでいっぱいにして、
 そのまま思いっきり精子出していいんだよ?」

「……ぁ……ぅ…ぁ…っ…!」

叫び声を上げて抵抗しようとする。
目の前の、綺麗でやらしい女の子の声を聞かないようにしようとする。
だけど現実の喉からは、よがり声にも似たみっともない声が漏れるだけ。
むしろ身体をよじったせいで、またペニスが布地にこすれて。

「ふふっ……ねえ、自分から押しつけちゃってるよ?
 もう精液どくどくしたくて、たまらなくなっちゃったのかな?
 おちんちんが気持ちよくって、頭が真っ白になる、
 あの素敵な瞬間を味わいたくなっちゃったのかな。
 ふふっ……もちろん私はそれでかまわないんだよ?」

上野さんの左手が僕の股間に伸びる。
スカートの裏生地でペニスの亀頭を包むようにしながら、
彼女の下着へとぎゅっと押しつける。
指の感触と、ざらざらしたスカートと、
下着の濡れたあたたかさと、布地のぬるぬる感触とで…っ…。
ひ…ぁ……気持ちいい…っ……きもちいい…ぃ…っ…!

「あはっ……そろそろ出ちゃうかな?
 おちんちん、なくなっちゃうのにね」

分かってる。出しちゃだめなんだ。
だけど、気持ちいい。気持ちよすぎる…っ……。
視界が霞んで、かわりに上野さんの匂いが強くなる。
精液がペニスの根元からせり上がりかけてるのが分かる。
逃げないと、もう……出ちゃう…っ……。

「……ぁ……や…め………」

上野さんの肩をつかんで、彼女を押しのけようとして。
でも、かわりに彼女に抱きつかれる。

「ん……無駄だよ?」

上野さんが僕の背中に手を回す。
両腕で僕の身体をかき抱くようにして、ぎゅっと抱きしめる。
ペニスが彼女の下着にこれ以上ないくらい押しつけられる。
精液がこみ上げてくる…!
彼女をどかそうとして差し出した僕の手が、
なぜか彼女の胸をぐにぐにと揉みしだいてる。
ブラウスのボタンを無理矢理に引きちぎって、
その中のブラもしてない乳房の感触を手のひらいっぱいに感じて。
柔らかい乳肉を手のひらの中で変形させながら。

「…う…ぁ…あぁぁぁあぁぁっ…!」

ショーツに密着したまま、ペニスから大量の精液があふれ出る。
ペニスが跳ねるたびにピンクの布地がぬるり…と裏筋にこすれて
その心地よさがまた精液を引きずり出す。
どぷ…どぷ…っ…と濃厚な精液の塊が吐き出されつづける。

律動がやっと収まる頃になって、
上野さんが嬉しそうに目をほそめる。

「あは……とってもたくさん出たね。
 やっぱり、おちんちんが気持ちいいの、無視できないんだ。
 じゃあ邪魔になるから、取っちゃおうね」

包丁を少し萎えたペニスの間近に構える。
それから勢いをつけるように、かすかに手前に引いて。

「やめて…!お願い、お願い…!」

懇願してた。上野さんの肩に抱きついて叫んでた。
涙がうっすらにじんでるのが分かる。
でも、そんなことかまってられなかった。

「そんなこといっても約束破ったのは早川くんなのに。
 私は我慢できたら許してあげるっていったのに」

「ごめんなさい。ごめんなさ…い…ぃ……でも…っ…」

「じゃあ、逆に聞くけどね」

不意にとても優しげな顔つきになって
まるで囁くように上野さんが言う。

「おちんちんなくなったら、なにが困るのかな?」

「そんなの……」

困る。困るに決まってる。
ペニスがなくなったら、もう性行為も自慰もできない。
こんな、いまさっきみたいな気持ちいいことが二度とできない。
まだまだしたりないのに…っ…。
この先、何百回だって、何千回だってやらしいことして
精液びゅーびゅー出したいのに…!

「もう気持ちよく射精できなくなっちゃうからだよね。
 顔見れば分かるよ、はっきりそう書いてあるもの」

上野さんが僕の顔をじっと見つめてる。

「でもね、それってやっぱり早川くんは快楽がほしいってことでしょう。
 だったら……私が恋人でいいよね?」

「………ぁ…」

そうなのかも……しれない……。
僕は結局、自分が気持ちよくなることだけしか考えてない…?
だったら……だったら……。
目の前のこの女の子とずっと一緒にやらしいことをして、
ずっとずっと楽しく暮らしても……いいんのかな……。

「私と……付き合ってくれる?」

「……………うん……」

上野さんが包丁を机の上に戻す。
それはもう必要ない、と言うみたいに。

彼女の長い指が、ペニスの上をそっと一撫でする。
それだけで簡単に性器がまた膨らむ。
いまからしてもらえることに期待してしまう。

彼女が腰を上げて、ショーツをずらして
その隙間にゆっくりとペニスを飲み込んでいく。
腰から先が、柔らかくてあたたかい感触に包まれる。
あぁ……気持ちい…い……。

僕にまた抱きついて、彼女が僕の髪の毛を
優しく何度もかき回してくれる。
なんだか嬉しくてたまらない。

彼女のほそい腰を抱いて、ペニスを突き上げる。
粘液にまみれたひだが、カリ首や裏筋に擦れる。
背筋が震える。よだれが湧いてくる。

彼女がボタンの取れたブラウスをはだけさせる。
くっきりとした深い谷間が見える。
僕の唾液がそこにぽたぽたと落ちていく。
それを彼女が指ですくって口に含む。

膣内がきゅうきゅうと嬉しそうに締めつけられる。
入れたばかりなのに、あっというまに精液が上ってくる。
出していいよ、と彼女が言う。
僕はだらしなく口元をゆるめながら、
彼女の中に精液を思いきり注ぎ込む。

出しても出しても、まるで性欲が消えない。
彼女の首筋に鼻をこすりつけ、胸をまさぐり、
太ももを手のひらで撫でまわしながら射精する。
いくらでも出せる気がする。

目の前で僕の彼女が、とても幸せそうに笑う。
僕も笑う。彼女が喜んでくれてとても嬉しい。
他のことはもうなにも考えられない。
誰かが家庭科室のドアを開ける音がする。
視界の片隅に、誰かが置き忘れた筆箱が目に入る。
でも……もうどうだってよかった。
僕は気持ちいいことしか考えられない屑で、
そんな僕に最高の彼女ができたんだから……。

END