ひかえめなアクマ(後編)

「あ……お目覚めですか、お兄さん」

気がつくと、目の前に女の子の顔があった。
ついで、自分がベッドに横たわっていることに気づき、
それからさきほど意識を失ったことを思い出す。

僕の顔を覗き込んでいた少女が、
少し申し訳なさそうにはにかんで、小さく頭を下げた。

「ごめんなさい、ちょっとやりすぎちゃいましたね」

「……ぁ……えと……謝らなくても…いい……けど…」

返事がどうしても、たどたどしくなってしまう。
状況が飲み込めなかった。

……結局、僕は助かったんだろうか?
少なくとも、まだ死んではいないのは確かだった。
でも、もし助かったのだとしたら
どうしてこの子は……まだここにいるんだろう?

「お兄さんの疑問、分かってますよ」

また僕の頭のなかを読み取ったように、少女が口を開く。

「大丈夫。私が必要とするぶんの精液は頂きました。
 お兄さんが起きるまで待ってたのは、
 お礼を言っておこうと思って」

僕の顔に吐息がかかるほどの距離まで近づいて、
女の子が「ごちそうさまでした…♪」と囁く。

吹きかかった吐息が首筋を撫でる。
こそばゆいような心地よさに、
さっきまでの淫らな行為と快楽を思い出してしまう。

(…………ぁ…)

いまだに露出したままの下半身で、
ペニスがひくっ…と、ほんのわずかに跳ねた。
それから少女の肢体に目をやってしまう。
肩紐がずり落ちたまま、はだけた胸元。
薄い布地越しにも形のわかる、すらりとした太もも。

そんな僕の視線にはまるで気づかないかのように、
女の子は僕の顔だけを見つめたまま囁く。

「約束ですから、これ以上の精はいただきません。
 どうか安心してくださいね」

その言葉を聞いて、本当なら安堵するはずなのに。
なのに……なぜか心臓がずきりと痛む。

(これで……ぜんぶ……終わり…?)

女の子が「それじゃ、さよならです」と呟いて
それから立ち上がろうとして、
でもそれより早く……僕は彼女の手首を掴んでた。

「くすっ……どうしたんですか、お兄さん?
 これじゃあ私、どこにも行けないです。
 ちゃんとお別れしようと思ったのに」

女の子の口元はほころんでた。
あのなにもかも見透かすような瞳で、
とても楽しそうに僕のことを見ていた。

「また気持ちいいこと、したいんですか?
 それがどういう意味か分かってるのに、
 でも我慢できないんですね?」

少女の空いた手が、僕の下半身に伸びていく。
絹のようになめらかな指先が、
ペニスの上をじゃれつくように這い回る。
たちまち、ペニスががちがちに固くなってく。

もう一度、あの気持ちよさを味わいたい。
それしかもう考えられなかった。
このまま終わったら、たとえ生きていても、
快楽をさまよい求めて気が狂うかもしれない……。

「じゃあ、またやらしい遊びをしましょうか…♪」

女の子がベッドに倒れ込んでくる。
その拍子に太ももがペニスの先端にこすれて、
それだけで全身がぞくっと震える。

「あ、目がとろん…ってしましたよ?
 こうやって、太ももでさわさわされるの、
 好きなんですか?」

僕の身体に寄り添ったまま、
少女が片脚を持ち上げてペニスに押しつける。
太ももの内側が、亀頭にすりすりと擦りつけられる。
あっというまにカウパーが溢れだして、
柔らかい内ももに、ぬるぬると塗り広げられてく。

「さっきまでお触りできなかったかわりに、
 たっぷり擦ってあげますね」

女の子が足をゆったりと動かすたびに、
ぬるぬるした感触がどんどん広がってく。
最初はペニスの裏筋だけで感じていた気持ちよさが、
竿や陰嚢の方にまで広がってく。

「………ぅ……ぁ…っ……」

快感でペニスが跳ね回ろうとして、
でもそれを押さえつけるように太ももが
にゅるっ…と優しく押し当てられる。

「ん……あんまり焦っちゃだめですよ。
 ゆっくり楽しみましょうね、お兄さん」

いたずらっぽく笑いながら、
女の子がいっそうゆったりと足を動かす。
そのたびに、少女の白い肌に透明な液体が塗り広がってく。

「ふふっ……ぬるぬる、いくらでも溢れてきます。
 年下の女の子の太ももに犯されるのが、
 とっても大好きなんですね……悪いお兄さん♪」
 
囁かれるたびに、吐息が首筋を撫でる。
それだけでまたペニスがひくついて
少女の内ももに、にゅむっ…♪と一際つよく押しつけられる。

「……あ………ぁぁ…っ…!」

逃げ場のない快感に、身体が反り返る。
それでも女の子は脚をぴったりと密着させて離さない。
あたたかく濡れた柔らかさがペニスを包んでる。
こんな……の……頭が……おかしく…な…る…っ…。

「お兄さんの目、とろとろですよ?
 でも、しょうがないですよね。
 自分でおちんちんを扱いてるときだって、
 私の足を食い入るように見てましたから」

女の子は自分の太ももを手のひらで撫でさすりながら、
僕に向かって楽しげに囁きつづける。

「本当はずっと、こうしてほしかったんですよね。
 自分の手でおちんちんを扱きながら、
 本当は私の太ももに擦りつけたくて、
 もうどうしようもなかったんですよね」

そこで不意に言葉を切って、
それから女の子の声色がいっそう楽しげなものに変わる。

「ああ、それから他にも興味津々でしたよね?
 たとえば、この下とかも…♪」

太ももを滑っていた手が、
すうっと上に移動して……スカートの裾をつまむ。
そのまま薄布がふわりと持ち上げられる。
水色のリボンのついた白いショーツが見える。

「あ……おちんちん、すごく震えてます。
 慌てなくていいんですよ、お兄さん。
 ちゃんと分かってますから」

女の子が上体を起こす。
僕の腰にまたがるように姿勢を変える。
一瞬、少女の太ももからペニスが解放され、
だけどすぐに下着ごと秘部に優しく押さえつけられる。

「ほら……私のパンツとお兄さんのおちんちんが
 キスしちゃってますよ…♪
 先っぽから出る透明なのが、
 私の下着にどんどん染み込んじゃいますね」

僕の腰の上で、少女が身体を揺する。
つるつるとした布地のショーツが前後に動いて、
竿や裏筋をしゅるしゅると擦ってく。

「……ぁ……ひ……ぁ…っ……」

女の子がわずかに体重をかけるたびに、
ペニスがやわらかく圧迫される。
カウパーがさらに溢れ出し、
ショーツがさらにぐしょぐしょに濡れていく。

「お兄さんのぬるぬる、
 もうパンツの内側まで染み込んできましたよ?
 女の子のパンツでおちんちんを撫でてもらうの、
 よっぽど気持ちいいんですね」

少女の下半身がペニスにすりすりと、
まるで精液をねだるようにやらしく擦りつけられる。
じわっ…と、射精感が腰の奥で膨れはじめる……。

「射精、したいですか…♪」

僕の心を見通してるような甘い囁き。
頭がひとりでに、こくこくと頷きを返してしまう。

「はい、とっても良いお返事です。
 それじゃあ、このまま女の子の下着に射精して
 精液でどろどろに汚しちゃいましょうね…♪
 普段は間近で見ることもできない年下の女の子の、
 それもスカートの下に隠れてる小さなパンツに、
 どぷどぷっ…って、思いっきり出しちゃいましょう」

女の子の腰の動きが速くなる。
ペニスがさらに小刻みにずりずりと擦られてく。
絶え間ない快感に、射精感がたちまち膨れ上がってく…っ…。
……ぁ……気持ち……い…ぃ…………。

「さっきと違って、もうお兄さんには我慢する理由なんて
 なんにも、なーんにもないんですから。
 だから、頭の中を真っ白にして、
 おちんちんびゅーびゅー気持ちよくなりましょうね。
 私の下着も、お洋服も、身体も、
 なにもかも精液まみれにしてくださっていいんです…♪」

「………ぁ………ぁ……も…う……っ……」

精液がペニスの中に流れ込むのが分かる。
女の子を乗せたまま、なお腰がわずかに浮いてしまう。
射精に向けて、全身がこわばる。

「さ、またお兄さんの精液ください…♪」

「…ぁ……あぁぁぁああぁぁっ……!」

精液がびゅくびゅくと吐き出される。
少女の白いショーツに撫でさすられながら、
信じられない量の精液が噴き出す。

「たくさん射精できてますね、お兄さん。
 うん、よくできました…♪」

少女が嬉しそうに微笑みながら、
まだ射精しているペニスの先端に、スカートの裾をかぶせる。
その薄布の向こう側から、
指の腹で亀頭や鈴口がざらざらと擦ら…れ……っ…。

「……ひ…ぁ……あ…ぁ……あぁあああぁ…っ!」

強烈な快感にペニスが痙攣する。
どくどくどくどくどくどく…っ…!と、
身体がおかしくなりそうな勢いでペニスが何度もひくつく。

「ん……またたくさん出てきました。
 もしかして、もっと褒めてほしいんですか?
 ねえ、欲張りなお兄さん…♪」

女の子がさらにスカート越しにペニスの先端を撫で回す。
かすかにざらついたスカートの布地の摩擦と、
竿を撫でるショーツのつるつるとした感触が混ざり合う。
半ば強制的に精液が引きずり出されてく…っ……。

(………ぁ……あ………ぁ……ぁ……………)

意識がまた、薄らいでく。
また気を失いかけているのだと、自分でわかる。
そのまま、少しずつ…気持ちよささえも遠のきはじめて……。
 
 
 
「もう、お兄さん……まだ寝ちゃだめですよ?」

……ほんの数秒、たしかに意識が飛んでた。
だけど、たちまち少女の声で現実に引き戻される。

「やらしいお遊び、まだ始めたばっかりなのに……。
 どうして寝ちゃうんですか…♪」

少女の腰はいまだに前後に動きつづけてる。
一瞬忘れていた、射精の感覚がまた戻ってくる。
さっきよりは弱いけれど、とくとく…と、精液がこぼれてる。

「いや、いまはもう……十分………だから…っ…」

とっさに、そう答えてた。
半分は嘘だった。
身体はまだ快楽を求めてた。
だけど、もっと違うなにかを本能的に恐れてた。

――精を吸い尽くされて、殺される。

不意に、言い伝えを思い出す。
目の前で、あどけない悪魔が微笑む。

「いまさら怖くなったんですか?
 ふふっ、ほんとうに馬鹿なお兄さん…♪」

女の子が前のめりになって、僕の両脇に手をつく。
僕の顔を見下ろしながら、優しく囁く。

「お兄さんは、引き返せないんですよ?
 残りの人生すべてを、快楽と引き換えにしたんですから。
 だけど、気にすることなんてないんです。
 本当は……そんなもの、最初からいらなかったんでしょう?
 まっとうで輝かしい、でも作りものみたいな人生なんて
 べつに欲しくなかったんでしょう?
 お兄さんが望んでいたのは、ただ気持ちよくなることだけ。
 そうですよね…♪」

その言葉に合わせたみたいに、
ドレスの肩紐が、するり…と二の腕を滑り落ちる。
片側に大きくはだけた胸元から、
少女のゆるやかな膨らみや乳首が見えてしまう。

「…………ぁ……」

わずかに圧迫から解放されていたペニスが、
またぴくりと跳ねて、少女の身体に触れる。
それだけで……たまらなく気持ちいい………。

「ほら、もう射精したくてたまらないですよね…♪
 今度は女の子のおっぱいに、
 精液をぶちまけたくて、我慢できないんですよね。
 ふふっ……そうしてくださって、いいんですよ」

僕の上に女の子が倒れ込んでくる。
そのまま僕の身体を這い下りるように後ろへと下がってく。

「……う……ぁ……っ…あ……ぁ…っ……」

少女の下腹部やお腹が、ずりずりとペニスを擦る。
それだけで、もう射精しそうになってしまうほど。
だけど、絶頂に達してしまう前にその動きが止まる。
ちょうど女の子の胸元が、僕の下半身にくっつく位置。

「お兄さんのを挟んであげたりなんて
 私の胸ではできませんけど、
 でも、こういうのはどうですか…♪」
 
女の子の右腕がするりと動いて、
サマードレスの肩紐からたやすく抜け出してしまう。
まだ幼さの残る乳房がさらけ出される。
ペニスがびくびくと跳ねてしまう…っ…。

「くすっ……お兄さんのおちんちんが、
 私のおっぱいを、とんとん、とんとん…♪って、
 下からノックしてるみたいです」

腰から先が別の生き物になったみたいに、
ペニスがひくつき続ける。
そのたびに亀頭がやわらかな感触にわずかに埋もれる。
脳みそがどろどろに溶けてしまいそうな心地良さ。

「おちんちんから溢れてきたぬるぬるも、
 小さな女の子のおっぱいに全部こすりつけてください。
 そうすると、すべすべ、とろとろになって、
 もっと気持ちよくなれちゃいますよ?」

カウパーがだらだらと流れっぱなしで止まらない。
粘液にまみれた乳房の表面を鈴口が擦るたび、
言葉にならない声がこぼれてしまう。

「これがお兄さんが望んだものですよ。
 とっても幸せな気分ですよね?」

(……ぁ……僕……は…………)

身体がただ快楽を求めてるのがわかる。
だけど……自分の肉体がそうやって変質していくことが、
そのこと自体が、なぜかどうしようもなく怖い……。
もしかしたら、こんなこと、僕は望んで…なんて………。

「ね……お兄さんたら、もしかして気づいてないんですか?
 自分で腰をへこへこ動かして、
 おちんちんを私のおっぱいに擦り付けてることに…♪」

(……………え……)

言われてはじめて、気づく。
いつのまにか、僕は腰を浮かせて
必死に少女の乳房にペニスをなすりつけてた。
カウパーにまみれてぬるぬるになった肌の上を、
裏筋でそこらじゅう撫で回す感触がたまらない……。

「やっぱりお兄さんはこういうことしか、
 頭にない人なんですよ…♪
 ほら、おっぱいの感触たまらないでしょう?
 頭の中がふわふわで、幸せで、
 また精液どぷどぷしたくなっちゃいますよね」

射精したいと身体が疼く。
ペニスの根元が痛いぐらいに緊張する。
精液がペニスの中までぱんぱんに詰まっているような、
射精寸前のあの感覚。

でも今度出してしまったら、本当の本当に戻れない。
なぜか分からないけれど、そんな気がする。
なのに腰が止まらない。
年下の少女の胸をペニスで撫でまわすのがやめられない。
気持ちよすぎる。このまま精液を吐き出したい…っ……。

「さ、射精の準備をしましょうね。
 ここに、私のおっぱいの先っぽに、
 思いっきりびゅーびゅー…♪って出してください」
 
僕の下半身に胸をすり寄せた体勢のまま、
女の子がペニスに指を伸ばしてくる。
ほそい指が竿に巻きつき、少女の身体に引き寄せる。
ペニスの先端が、乳首に押しつけられる。

「ふふっ、なんだかお兄さんのおちんちんに、
 おっぱいあげてるみたいです…♪」

裏筋の部分が、乳首でくすぐるようにつつかれる。
いままでとまるで違う、くすぐったい快感が走って。

「…ぁ……で…ちゃ……ぁ…あああぁぁぁああぁっ!」

小さな女の子の乳首に、精液が大量にこぼれ出る。
まるでポンプで押し出すみたいに、
精液がどぷり…どぷりっ…と溢れては落ちていく。

「お兄さんの精液、あったかい……。
 ね、心行くまで、我慢せずに出しちゃいましょうね。
 それこそ最後の一滴まで…♪」

少女の指がペニスの上を撫でさすりながら、
さらに胸に密着させる。
むにむに、ふにふに、とした感触がペニスに絡みつき
また精液がペニスの中を駆け上ってくる…っ……。

「……ひ…ぁ……ま…た……あぁあぁぁああっ…!」

びゅく…びゅくっ…と断続的に精液が迸る。
耳の奥で、血がごうっと流れている音がする。
全身が火照って、でももっとペニスが熱くて。
目まいのように意識がふらついて。

「……お兄さ……また……眠っちゃ……め…です…」

女の子が僕に語りかけてる。
だけど、今度はそれでももう意識がはっきりしない。
身体はあたたかいに沈み込んだように心地良く、
かわりに意識が暗闇へ落ちていく。

まぶたを閉じてしまう直前、女の子の顔が見えた。
悪魔の少女は、とても満足そうに微笑んでた。
あの、なにもかも、見透かしたよう…な……目…で………。
 
 
 
 
 
 
――ねえ、お兄さん、聞こえてますか?
ふふっ……なんて、聞こえてるわけないですよね。

だって、お兄さんは……ぐっすり眠ってるんですから。
起きたらまた、私とやらしい遊びをいっぱいしましょうね。

……そういえば、知ってますか?
悪魔にも色んな子がいるって話、あれは本当なんですよ。
ほとんどの悪魔は、本能のままに男の人を襲って、
そして欲望のままに吸い尽くして殺してしまうんです。

でも、私は多くを望まない悪魔ですから。
だから、お兄さんのことを吸い尽くしたりはしないんです。
ただ、お兄さんの身体が精を産み出すかぎり、
そのたびに吸いつづけるだけ。

それは……くすっ、もしかするとただ吸い尽くすよりも、
ずっとずっと残酷かもしれないですけれど。
でも、かまわないですよね?
だって、それがお兄さんの望みでもあるんですから。

お兄さんの身体が朽ち果てて、
ううん、魂がすり減って消えてしまうまで、
いつまでも二人で楽しく遊びましょう…♪

END