彼女の部屋で(後編)

「ほんとにいっぱい出たねー」

千里さんが僕の股間からショーツを取り上げ、
その重さをたしかめるように指で吊り下げる。
下着の隙間から粘ついた精液がこぼれて、絨毯にぼとりと落ちる。

「千里さん……どうして……こんな…こと……」

やっと、そう問いかけることができた。
千里さんがなにを考えてるのか、まるで分からなかった。

「ふふっ、ごめんね。そうだよね、まだ理由を言ってなかった。
 混乱しちゃうのも無理ないよね。
 あのね」

そこでいったん言葉を切って、千里さんが僕を見つめる。
優しげだった笑みが、暗く甘やかな微笑みに変わる。

「美里と別れてほしいなって思って」

「…………え?」

意味が理解できずに、数秒固まってしまう。
口も呆けたようにぽかんと開いていたのかもしれない。
僕を見つめて、少しだけ千里さんが吹き出す。

「あはっ、僕は混乱してますって顔だね。
 ね、ほんとにわからないのかな。
 どうして私がそんなことを言うのか」

千里さんが僕に身体をまた寄せる。
触れあった二の腕からじんわりと体温が伝わってくる。
もしかして、と思ってしまう。
僕に恋人がいるって知ってて、
それなのに別れてくれってお願いされてる。

「千里さんは……僕の……ことを………?」

「ざんねん。不正解」

千里さんの目がすうっとわずかに細くなる。
笑みは崩していないけれど、なにか…ぞっとするものを感じる。

「よく考えてみてほしいな…♪
 恋人さんの部屋に入るなり、下着におちんちん擦りつけて
 オナニーに耽っちゃうようなお猿さんのこと、
 好きになる人なんているのかなー」

「…………っ……」

そう言われてしまうと、なにも言い返せなかった。
後ろめたさと、それに自分がいま口にしてしまったことへの恥ずかしさで
身体中が、かっと熱くなるのが分かる。

「――くんをはじめに見たときからね、
 そういう最低な男の子じゃないかなってなんとなく分かったの。
 ちゃんと確信できたのはついさっきだけど。
 そんな人に大切な妹を渡したくないなって思うのは当然だよね?
 だから、美里と別れてほしいな…♪」

声音だけはどこまでも軽快だった。
でも拒むことは許されない空気があった。
けどそれでも、そんなこと素直にうなずけるわけなかった。

「だ…だったら……そう言ってくれ…ればっ……。
 なんで……あんな…こと………まで……」

「くすっ……あれはね、お駄賃みたいなものだよ?
 私は――くんに、美里と別れてほしいって思ってる。
 でも、なにかお願いを聞いてもらうには
 ちゃんとかわりになにかを支払わないとだめだよね。
 だから、一番欲しがってるものをあげたんだよ?
 とーっても気持ちよく射精するっていうご褒美」

千里さんは精液にまみれたショーツをもういちど僕に見せつけ、
それから無造作に床に落としてしまう。

「そんな…こと……僕は、頼んでな」
「それとも、ご褒美が足りなかったのかな?」

反論を言い切る前に、押し倒されていた。
ベッドの上に上半身がぼふっと沈み込む。
気がつくと視線は天井を向いていて、
その視界に千里さんの身体が滑り込んでくる。

彼女は床に膝立ちになり、
ベッドに手だけをついた状態で僕を眺めて微笑んでる。
いまの拍子にはだけたのか、サマーブラウスが着崩れて
胸の谷間が今まで以上にくっきりのぞいてる。

「どこ見てるか丸分かりだよー♪」

くすくすと笑いながら、千里さんがブラウスの襟首に指をかけ、
くいくいっと小さく引っぱる。
ブラもつけてないみたいで、
服からこぼれ落ちそうなほどに胸元が露わになる。

「んふふー、すごい目つきだねー♪
 そんなにお姉さんのおっぱい見たいんだ?
 目に焼き付けて、家に帰ってまたオナニーするのかな。
 私のおっぱいを触ったり、吸いついたり、
 もしかしたら顔を埋めることとか想像したりしながら
 びゅーびゅーっていっぱい射精しちゃうつもりかな…♪」

千里さんの指がゆっくりとブラウスのボタンを一つ外す。
胸元の布地がはらりと垂れる。
白い谷間がさらに深く深くのぞいて、
でも乳首だけはどうしても見えない。

「――くんがその気になれば、
 おっぱいでもっと気持ちよくしてあげてもいいんだよ?
 美里と別れる、って言ってくれればそれだけで。
 おちんちんをここに挟み込んでぐちゅぐちゅしたり、
 乳首に擦りつけながらどぷどぷ射精したり。
 そんなことだってさせてあげるよ…♪」

千里さんの言葉に反応するように、
ペニスにゆっくりと血が流れ込む。
さっきあんなに大量に射精したはずなのに、
また精液を吐き出すあの感覚を味わいたくなってしまう。

千里さんがベッドの上に這い上がってくる。
僕の腰をまたぐように膝立ちになる。
短いスカートの下から、レースのついた白い下着が見える。
ペニスがいまにもその布地に触れそうなぐらいに張り詰めて、
でもぎりぎりのところで触れない。
ペニスがもどかしげに何度も何度もひくつく…っ…。

「またすごい目つきになってるよー。
 動物さんみたいに鼻息荒くしてるの、自分で分かってる?
 おっぱいの次は、パンツが気になってしょうがない?
 さっき、さんざん恋人の下着におちんちんを擦りつけて、
 白いのをどぷどぷ出させてもらったのに。
 今度はそのお姉さんのパンツが気になってしょうがないんだねー」

その言葉にとっさに目を伏せてしまう。
恥ずかしさと悔しさで、耳が熱くなるのが分かる。

「ふふっ、ちょっと意地悪な言い方だったかな?
 でも、べつに気にしなくていいんだよ。
 ――くんが変態さんであればあるほど、私は嬉しいんだから。
 だってなんの躊躇もなく、美里と別れてって言えるもの。
 ほら、気にせずいっぱい見ていいよー♪
 せっかくのご褒美、目でもいっぱい味わっておこうね」

千里さんがスカートの裾を指でつまんで、ひらひらと揺らす。
僕からは見上げる格好になってるせいで、
それだけで千里さんのショーツがほとんど丸見えになる。
さっき射精したときのことをどうしても思い出してしまう。
あの快楽を思い出して、脳みそがじんじんと痺れる。
さっきみたいに女の子の下着にペニスを擦りつけて射精して、
あの布地をべったりと汚したい。
そんな欲望がじわじわと湧いてくるのを感じてしまう……。

「なに想像してるか、よーく分かる顔だ…♪
 じゃあ、その想像をちょっとだけ現実にしちゃおうか」

千里さんが腰をゆっくりと落とす。
さっきまでひらひらと揺れていた薄いスカートの裾が、
まず亀頭にふわりと触れる。
カウパーと精液で濡れた亀頭にぴったりと一度貼りついて、
それから、ぞぞぞっ…♪とペニスの表面を撫で上げる。

「……ひ……ぁ……っ…」

「喘いじゃうのはまだ早いよ?
 スカートでちょっと、なでなでしただけなんだから。
 お楽しみはこれからだよー」

さらに深く千里さんが腰を下ろしていく。
スカートの裏側に亀頭が隠れていって、
やがてペニスの裏筋になめらかで、
でも少しだけざらついた布地の感触が擦れる…っ…。

「あはっ、お姉さんのパンツにおちんちんでキスしてる…♪」

んふふふー、と笑いながら、千里さんが腰を揺らす。
そのたびにカリ首の上をスカートが撫で回り、
裏筋に下着が擦れて、ざらついた快感が走る。
かと思えば、千里さんのすべすべとした太ももに鈴口が当たって、
その柔らかさだけで射精しそうなぐらいだった。

「………ぁ……ぁ………あ、あ…ぁ…ぁ…っ…」

背筋がぞくぞくと震える。
腰から先が精液を吐き出そうって突っ張ってくのが分かる。
あとちょっとで射精でき…っ…。

「はい、先払いのご褒美はまだここまでだよー」

千里さんが腰を浮かせてしまう。
とたんにペニスにまとわりついてた気持ちよさげ逃げていく。

(……ぁ……そん……な………っ……)

思わず、千里さんの顔を見上げてしまう。
そんな僕を見て、彼女はとても楽しそうだった。

「どうしたのかなー。
 どうして私のことをそんな恨めしそうに見つめるのかな?
 私に射精させてほしいっていう、おねだりしてるのかな?
 でもね、ここから先はちゃんと約束を守るのが先だよ。
 美里と別れるって言ってくれたらいいの。
 心の底からたった一言、呟いてくれればそれで。
 最高のご褒美を私があげる…♪」

「………ぅ………ぁ……」

唇が勝手に動いてしまいそうで、必死に奥歯を噛みしめる。
だけどペニスがひくつくのが止められない。
千里さんがスカートの裾やブラウスの襟首を指で弾いて
ショーツや谷間を見せつけてくる。
射精したい…射精したい……ぁ……で…も…っ……。

不意に、壁にかけてあった学校の制服が目にとまる。
美里とのこれまでが急に鮮やかに思い出される。

はじめてお弁当を作ってきてくれた日のこと。
はじめて手を繋いで駅まで帰った日のこと。
明るくて快活な恋人が見せる、はにかんだ表情。
そうだ……僕は美里のことが好きで、大切で。
だから……っ……。

「あれれ……急に凛々しい顔つきになっちゃった。
 まだ拒めるんだ?
 ――くん、すごいねー、えらいねー♪
 でもね…♪」

また千里さんが腰を下ろしてくる。
スカートのひだがペニスを幾重にも撫でさすってく。
途端に、美里の顔が頭のなかから消えてしまう。
千里さんの身体に視線が奪われてしまう。

「おちんちん触られてない隙に
 睨み返してもなんの意味もないんだよ?
 そういうのはたんなる立派なふりって言うの。
 僕はちゃんと抵抗はしたんですーってあとで言い訳できるように、
 自分の罪悪感を少しでも減らせるようにっていう、
 最低の行為なんだよ?」

喋りながら、千里さんがさらに腰を落としきて
そのまま……ペニスの上にまたがられてしまう。
竿の裏側はもうカウパーと精液にまみれてぬるぬるで、
その上をショーツがかすかにざらついた感触とともに擦ってく。

「………ぁ……く…っ…」

奥歯をさらに噛みしめ、その快感に耐えようとする。
どんな侮蔑の言葉を投げつけられたって、
一方的に別れろだなんてこと聞けるわけない…っ…。

「ふふっ……まだ我慢するつもりなんだ。
 でもね、我慢してるだけじゃどうにもならないよ?
 本当に嫌なら、私を突き飛ばしてでも逃げないと」

千里さんが小さく身体を揺らす。
たったそれだけのことで、ショーツの感触と
その布の向こう側にある秘所の感触が
はっきりペニスに伝わってくる。
射精感がじわっ…と腰の奥から染み出してきてしまう。

(……出した…い………だめ……がまん……しなきゃ……)

だけど少しでも気を抜くと、やらしいイメージで頭が満たされてく。
美里の下着で扱かれたときの脳みそが溶けてしまうような快楽。
あれをまた……今度は千里さんのパンツに思いっきり……
どくどくって……出して……射精してるあいだも……
思いっきりペニスの先端を……擦りつけて………。

(……違う……そうじゃない…っ…。
 …出したら…だめ…なんだ……だめ…っ…)

「くすっ……ねえ、――くん。
 一生懸命がんばって我慢してるところに悪いんだけど、
 お姉さんがさっきから言ってること伝わってるかな?
 逃げないと意味がないよって言ってるんだよー。
 もしかして理由まで言わないと分からないのかな。
 早くしないと……美里が帰ってきちゃうよ?」

「…………!」

そうだ。どうして忘れてたんだろう。
ここは美里の家だった。彼女の部屋だった。
もうすぐ美里が帰って来ちゃう。
そしたら……そしたら………。

背中に汗が噴き出したのが自分で分かる。
半ば無我夢中で、千里さんの両脚に手を伸ばす。
そのまま彼女を押しのけるつもりだった。
だけど。

「ん、どうしたの?
 お姉さんの太もも触りたかったのかなー♪」

気づいたら、千里さんの太ももを撫でてしまってた。

「パンツにおっぱいに、今度は太もも?
 女の子の身体で興味あるところがいっぱいあって大変だね…♪
 でも気になるところをおさわりばっかりしてたら、
 ちっとも逃げられないけどいいの?
 それとも……もう逃げるのは諦めちゃったのかな?」

千里さんが腰をくねらせる。
カウパーを吸って濡れたショーツの感触が、
にゅるにちゃ…とペニスの上を這いずり回る。
その感触がたまらない。

手のひらで太ももを撫でまわしながら、
ペニスを女の子の下着で優しく擦られてる。
そんな自分を意識するだけで射精感が膨れ上がる。
このまま…出したい……射精したい……。
理性を無視して、身体が精液を吐き出したいと訴える。

「ね、射精しちゃおうよ…♪」

甘い囁きが聞こえてくる。
とても優しく、とても淫らな声で千里さんが呟く。

「どっちみち、もう逃げられないよ…♪
 だったら中途半端に我慢して、それで美里に見つかって
 軽蔑されながら別れちゃうなんて損じゃないかな?
 それよりもお姉さんのお願いを素直に聞いて、
 かわりにたーっぷり射精する方がお得なんじゃないかな。
 一回出したら終わり、なんて意地悪も言わないよ。
 今日一日、何回でも気持ちよくしてあげる…♪」

「……ぁ……僕…は………僕……は…っ……」

そんなことより美里が大切だと、
そう口にすることすらもうできなかった。
もしそう言って千里さんの機嫌を損ねてしまったら。
このまま射精させてもらえなかったらと思うと、
もう拒否する言葉さえ出せなかった。
自分が惨めで惨めで、吐き気さえする。
だけどこのまま出せないなんて、本当に気が狂いそうだった。

「さあ、聞かせてほしいな…♪
 美里と恋人ごっこをすることなんかより
 このままお姉さんのパンツにおちんちんをぎゅーってくっつけたまま
 どくどくーって精液出す方が大切なことなんだって」
 
「…ぁ……僕は…っ……」
 
 
――バタン、と小さな音が聞こえた。
 
 
遠く、いや下の階で響いたであろう物音だった。
それから「ただいまー」という声がかすかに届く。

「あらら大変。美里、帰って来ちゃった…♪」

美里が帰ってきた。ここに来る。来ちゃう。
ばれてしまう。彼女の下着を汚したことも、
千里さんとしている行為もなにもかも。
だめだ……そんなの……だめだ…だめだ……!

「千里さっ……どいて…どいて…っ…」

だけど、千里さんは少しも動じる様子がない。
それどころか、自分のブラウスに指をかける。
さっき外したボタンの、もうひとつ下のボタンを
ゆっくりと一つ外してしまう。

布地がはだけて……白くて大きな乳房がこぼれる。
やらしい曲線も、小さく尖った乳首も、
おっぱいが全部、丸見えになる。
目が離せない。ペニスが根元から何度も脈打つ。
違う。こんなこと、してる場合じゃ、ないのに。
美里が来るのに。ばれちゃうのに。

「おっぱい、触ってもいいよ…♪」

千里さんが前のめりになる。
大きな胸が僕に向かってこぼれてくる。
千里さんが僕の片手をとって、
その真っ白な膨らみに触れさせてくれる。

階段を上ってくる足音が聞こえる。
手に力を込めてみると、乳肉が指の形に沿うように沈む。
ほんの少し前まで、目の端で眺めるしかなかった胸を
自由にしてることがたまらない快感だった。
千里さんが前のめりになったせいで、
ショーツがぴったりとペニスに密着してる。
こまかなレースの刺繍が竿をざらりと撫でる。

千里さんはもうなにも言わずに微笑むだけ。
ペニスの根元がひくひくひくっ…!と蠢く。
射精感がぱんぱんに膨らんでく。
出ちゃう……出ちゃう…っ……で…も…っ…!
 
 
部屋のドアがコンコン、とノックされる。
 
 
「お姉ちゃん、ただいまー。
 ――くんって、まだ来てないのかなー?」

(…………?)

美里は部屋に入ってこない。
なにか違和感がある。でもそれがなにか分からない。
千里さんが返事をする。

「うん。まだ来てないよー♪
 ちょっと遅れてるんじゃないかな。
 まあ慌てずに、自分の部屋で待ってたら?」

「そっか……うん、分かった。
 じゃあもう少し待ってみる。ありがと♪」

足音がすたすたと遠ざかって、
やがて隣の部屋のドアが閉まる音が聞こえる。
それでやっと……理解する。

「ふふっ……さすがにもう分かっちゃったかな?
 つまり、そういうことでした。
 ここはね、美里じゃなくて私の部屋なの。
 だましててごめんね」

千里さんは続けて、僕の靴は隠しておいただとか
そんなことを幾つか説明してくれる。
だけど話の内容がほとんど頭に入ってこない。

「あはっ、――くん、間抜けな顔してる…♪
 まあ、こまかい説明なんてどうでもいいよね。
 そんなことより、もっといいことを教えてあげようか。
 あのね、ここが私の部屋だってことは
 もう美里にばれちゃう心配はなんにもないんだよ?
 思いっきりどぷどぷ射精しても大丈夫なの」

千里さんが淫らで優しい笑みを浮かべる。
僕の頭のなかで、とろり…となにかが溶ける。
あぁ……そっか……じゃあ出しちゃって…いいんだ…。
このままどくどく射精しても……いいんだ…ぁ…。

「さあ出しちゃおうね…♪
 もう我慢なんて少しもしなくていいんだよ?」

僕の手のなかで、千里さんのおっぱいが
柔らかくたわんで、いとも簡単に形を変えていく。
同時にペニスが千里さんの下着で擦られる。
忘れかけていた射精感が一気に戻ってくる…っ…。

「じゃあ、射精しようねー。
 さっきからずーっとのぞいてたおっぱいまさぐりながら、
 お姉さんのパンツにおちんちんをすりすりー♪って押しつけながら
 精液いっぱい出しちゃおうね。
 臭いが二度ととれなくなるぐらいに、びゅーびゅーって…♪
 いっぱい、いーっぱい出しちゃえ……ほらっ♪」

「……ぁ…ぁ……ああぁぁぁああぁぁっ…!」

ショーツでペニスの先端を優しく押さえつけられたまま、
精液がその下でびゅくびゅくと吐き出される…っ…。
気持ちいい……きもちい…い…ぃ…っ……。
精液が流れ出ていく感覚と、手のひらのなかのおっぱいの感触と、
そんなもので頭がいっぱいになる。

「んふふー、いっぱい出てる…♪
 でも遠慮なんてしなくていいからね。
 お姉さんの下着をどろどろに汚しちゃっていいよ。
 心配しなくても、また新しいのでもしこしこー♪って
 後で何回でもしてあげるから」

まだ射精している最中なのに、
その言葉で次の行為を想像してしまって身体が震える。
このお姉さんに一日中よがらせてもらう幸福を想像するだけで
精液がまたどぷり、どぷり…と吐き出されてく。

「まだ出てる…♪ うんうん、いっぱい出そうねー。
 だってこの気持ちよさのために、
 ――くんは他の全部を投げ捨てちゃったんだから。
 たった一日の、たった何回かの射精のために
 恋人さんもなにもかも裏切っちゃったんだから。
 だからせめて、満足するまで射精させてあげる」

千里さんがなにかを呟いてる。
だけど、もうなにも頭に入ってこない。
いま吐き出したばかりの大量の精液にまみれて
ペニスがにゅるにゅると甘く押しつぶされる。
その感覚が心地良くて、他にはもう……なにも………。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「それじゃあ約束どおり、美里とは別れてね」

射精もすっかり終わってしまったあとで、
相変わらず僕の腰にまたがったまま、
ほんとうに嬉しそうに千里さんが微笑む。

「ああ、もし自分から言い出しにくかったら
 私から伝えておいてあげるからそれでもいいからね。
 そのかわり、もう二度と美里には近づかないこと」

「………ぁ……そ……れ…………は……」

言い返せなかった。
僕はたしかに欲望に負けてしまったから。
でも、それでも……。

「んー、なにかなー?
 まさか、やっぱり嫌だ、なんて言わないよね。
 あんなのは不可抗力だ、とか」

「………っ…」

考えていたことを見透かされて、言葉に詰まる。
千里さんは、まるで子供をあやすみたいにゆっくり喋る。

「もしそんな勘違いをしてるなら、ちゃんと教えておいてあげる。
 本当はね、射精しちゃうかどうかなんて、
 そこまで大きな問題じゃないんだよ。
 だって男の子だもの。
 おちんちんを刺激されたら、精液出るのを我慢できなくても
 それは生き物としてしょうがないよね。
 でも」

口元に手を当てて、くすくすくすっ、と
思い出し笑いをするように千里さんが目を細める。

「――くんは、ここが私の部屋だって分かった途端に、
 美里にばれないんだって分かった途端に、
 だらしなくどぷどぷ精液漏らしちゃったんだよ?
 あのときのだらしない顔、鏡に映して見せたかったぐらい。
 誰にもばれずに快楽に浸れることが嬉しくてたまらない、
 最低の表情だったよ?
 あなたは恋人のために我慢してたんじゃない。
 最初からぜーんぶ自分のため。
 自分はいつも安全で傷つかずにいたくて、
 そのくせ気持ちよくなることだけむさぼろうとする
 どうしようもない屑なの。
 ね……よく分かった?」

なにも言葉が出てこない。
千里さんの言うとおり……なのかもしれない。
そう思いかけている自分がいる。
僕は……本当に………最低な…奴……だった…?

「……ん、これでもまだ悩んでるんだ?
 それだったら」

千里さんがベッドからゆっくりと降りる。
それといっしょに僕の手が引かれて、
ベッドの縁に腰かけたまま、上半身だけが引き起こされる。
そのまま千里さんがペニスに胸元を近づけてく。
それだけで、このあとどうされるかを想像してしまう。
期待で勝手にペニスが膨らんでしまう。
抵抗しようとしていた気持ちが消えていく……。

「もっと思い知らせてあげる…♪
 あなたは射精することしか頭にない屑なんだってことを、
 何度でも心に刻みつけてあげる」

千里さんの右胸がペニスに振れる。
その柔らかさを味わわせるみたいにペニスに優しく押しつけてくる。
乳肉の感触にペニスがまたひくひくと震える。

「あはっ…♪ まだおっぱいに触っただけだよー?
 ――くんは、えっちなことに弱すぎるね。
 ほんとに気持ち良くなるのはこれからなのに…♪」

ペニスがゆっくりと胸の谷間に飲み込まれてく。
ふにふにとした柔らかさが両側からペニスに当たり、
ついでカリ首まで、むにゅっ…♪と押し包まれる。
恋人の……恋人だった女の子のお姉さんの胸に、
自分の汚い性器を挟んでもらってる。
そう考えるだけで、背筋がぞくぞくと震えて止まらない。

「じゃあ動かしちゃうけど、先に言っておくね。
 あんまり大きな声出したらだめだよ?
 隣の部屋の美里に聞こえちゃうから。
 さっきの射精の時のみっともない声だって
 隣に聞こえなかったのが不思議なぐらいなんだから…♪」

千里さんがにったりと笑いながら、
乳房を左右からぎゅっと寄せる。
ぬるぬるのペニスが谷間から押し出されかけて、
でもあっというまに胸にまた埋もれる。
粘液にまみれたペニスが乳肉のあいだで
揉みくちゃにされる…っ…。

「………ぅ……ぁ…っ……」

先に注意されてなかったら、
みっともなく大声を上げてたかもしれない。
腰から先が溶けてなくなりそうな、
甘くてどろどろした快感が何度も走る。

ぽたり…と自分のお腹になにか滴が落ちて、
それで自分がよだれをこぼしてしまってることに気づく。
唇の端からこぼれた唾液が、顎からしたたり落ちてた。

「ふふっ、よだれこぼしちゃった?
 じゃあ私もこぼしちゃおうかな…♪」
 
千里さんの唇のあいだから唾液が溢れて、
透明な糸を引いてこぼれてく。
それが胸のあいだからのぞいていたペニスの先端、
ちょうど鈴口のところに溜まるように落ちる。
胸でペニスを扱かれるたびに、
カウパーと精液と、さらに滴った唾液がペニスに絡みつき
小さな泡といっしょに、ぐちゅぐちゅと淫らな音を立てる。

「そろそろ。また出したくなってきた?
 今度はお姉さんのおっぱいのなかに、
 おちんちんをずっぽり埋めたまま、どくどく…♪って出せるね。
 きっとすごく気持ちいいよー」

(……ぁ……早く……はやく…っ……)

ねだるように腰を動かす。
だけど、それとは反対に千里さんが動きを止めてしまう。

「じゃあ、今度はちゃんと自分で言おうね。
 美里と……別れてくれる?」

ペニスがおかしくなったみたいに小刻みに脈打つ。
出したい……出したい…っ…!

「……ぁ……別れ…ます…っ…!
 だから……だから……っ…」

千里さんが幸せそうにわらう。

「うん、よく言えました…♪
 それじゃあ頭からっぽにして気持ちよくなろうねー。
 おちんちんから精液びゅーびゅーってする幸せに浸ろうね」
 
千里さんが再び胸を動かしてくれる。
体液でぬとぬとになった乳肉が、
ペニスの隅々まで絡みついてくる。
魂ごと溶けてしまいそうな気持ちよさ。
よだれが、ぼとぼと…と自分の下腹部にこぼれてく。
気持ちいい……きもち…い…ぃ……。

思考がどんどん薄れてく。
かわりにペニスの快感だけが膨れ上がる。
腰の奥が蠢く。
もうすぐ射精できる。
また精液をどくどく出せる。
そのことしか考えられなくなる。

「それじゃあ出しちゃおっか。
 お姉さんのおっぱいの隙間を、
 白くてどろどろの精液でぜんぶ埋めちゃおうね…♪」
 
これまでにない深いストロークで、
やわらかな谷間が上下にゆったりと動かされる。
ペニスが根元から先端まで、
ぬるるっ…♪と乳肉の感触に包まれて、それで。

「……ひ……ぁ……ぁぁぁ…あ…っ!」

どくどくどくっ…!と尋常なない勢いで精液が吐き出される。
谷間の上から精液が溢れだし、同時に下乳のあいだからも
白く濁った粘液がどくどくと垂れ落ちてく。

「お姉さんのおっぱい、ほんとにどろどろ…♪
 ――くんは、最低の変態さんだけど、
 精液びゅーびゅーすることにかけては天才さんだねー」

千里さんがなおも谷間をずりずりと動かす。
乳肉で扱かれる感触に、また精液が搾り出される。
止まらない。何度も何度も精液が溢れてくる。
精液が吐き出されるたびに、意識が白くかすむ。
美里さんのやらしくて優しい声が遠くなる。
幸せな心地のまま、なにもかもが遠くなっていく……。
 
 
 
     * * *
 
 
 
……鈍く小刻みな音で、気がつく。
たぶん意識がなかったのは、ほんのわずかな時間だと思う。
僕は相変わらずベッドの上で、
千里さんは僕のペニスを胸に抱え込んだままだった。

ただ、千里さんが拾い上げたんだろうか、
いつのまにか僕の携帯がベッドの上に転がっていた。
マナーモードになっていたその携帯が、
バイブの振動で美里からの着信を告げていた。

「電話、出たらだめだよ?」

射精してもなお半勃ちのペニスを、
胸で優しく愛撫しながら千里さんが呟く。

「分かってるよね。
 ――くんはもう、美里の彼氏でもなんでもないんだから」

ベッドの上で携帯が何度も震える。
壁一枚隔てた隣の部屋で、美里が僕を呼んでる。
なかなか家に来ないと思って心配してくれてる。

「後ろめたい? でも、いいじゃない。
 こんなに素敵なことがお姉さんとできたんだから…♪」

自分の谷間にべっとりとこびりついたペニスを
千里さんが指ですくいあげる。
その粘液をまたペニスに塗り込むようにしながら淫らに微笑む。

「それに……ご褒美はまだ終わりじゃないよ?
 私はね、約束はちゃんと守るから。
 今日はずうっとこのお部屋で、あなたを気持ちよくしてあげる。
 またおっぱいで挟んであげてもいいし、
 もう一回私のパンツで扱いてあげてもいいし。
 なんだったら私の枕におちんちんこすりつけたって、
 私の制服のスカートに精液をかけたって。
 この部屋でできることなら、どんなことだってさせてあげる。
 ……ね、こんな幸せな思いができるのは、どうしてか分かる?
 恋人さんも簡単に裏切っちゃうあさましい人間だからなんだよ。
 だからこんなに気持ちよくなれるの」

携帯の着信が切れる。
急に静かになった部屋のなかで、千里さんが囁く。

「最低な屑で良かったね、――くん…♪」

END