メイドの注文

「お帰りなさいませ、ご主人様」

教室のドアを開けた途端、
紺色のメイド服を着た女の子が僕に深々とお辞儀をする。
足首あたりまである長いスカートがわずかに揺れる。
メイドさんがゆっくりと顔を上げて、
そこではじめてクラスメイトの川上さんだと気づいた。

「ふふっ……どう、びっくりした?」

いたずらっぽい笑みをかすかに浮かべながら、
川上さんが僕に一歩近づく。
呆気にとられたままの僕の頬を、人差し指でつんつん、とつつく。

「あれ、ちょっと反応薄いかなー?
 ほら、忘れちゃったのかな。
 今日この教室に来る人はみーんなご主人様なんだよ?」

もちろん僕だって覚えてた。
文化祭でメイド喫茶の出し物をすることになって、
当日早番で準備をすることに決まったのが僕と川上さんだった。

「あ、いや……なんでもうメイド服着てるのかなって。
 それでちょっと、びっくりしただけだよ」

苦笑しながら、半歩ほど身体を後ろに引く。
僕の頬をつついていた川上さんの指が少し遠のく。
正直に言って……僕は彼女が少し苦手だった。
こんなふうに無防備に近づいてくるから。
しかも、僕に恋人がいることを知ってるはずなのに。

僕が身体を離すと、川上さんは小さく微笑んで、
でもそれ以上近づいてこようとはしなかった。

「うん、せっかくだから準備もこの格好でした方が
 ちゃんと気分が出るかなって思って。
 今年って最後の文化祭になるでしょ。
 だから私としては、じつは気合い入れてるんだよー」

ふふー♪と川上さんは楽しげに笑う。
だけど、そんな茶目っ気のある仕草のなかにも、
どこか上品な気配が漂ってる。
本来のしとやかな空気を、無邪気さで無理に上書きしてるような、
そんな感じがする女の子だった。

「じゃあ準備始めましょうか。ね、ご主人様♪」
 
 
 
     * * *
 
 
 
「よっと……これで大丈夫、かな」

店名を書いた模造紙を教室のドアの窓に貼りつけ、一息つく。
振り返ってみると、もうかなりの準備が整っていた。
机や椅子はカフェのように組み合わせて配置され、
上には白いテーブルクロスが綺麗にかけてある。

「あ、看板終わった? はい、ご主人様、お疲れ様でした。
 ふふー、この言い方、意外とやみつきになっちゃうね。
 そうだ、肩でもお揉みしましょうか、ご主人様ー♪」

相変わらずメイド服を着たままの川上さんが、
するりと僕の背中に寄り添ってくる。

そのまま肩を揉む……というより、
手のひらで撫でるように優しく擦ってくる。
やわらかい指先がときおり首筋にあたって、
くすぐったくも心地いい。
それに、背中に弾力のある感触がたまに当たる。
川上さんのスタイルの良さを、つい意識してしまう。

「っと……だ、大丈夫だから。そんなに疲れてないし。
 それより、次なに手伝おうか?」

はっとして、慌てて川上さんの手から抜け出す。

「じゃあ、飾り付け手伝ってもらおうかなー♪
 ほら、みんなで作ったやつあるよね」

彼女が言ってるのは、折り紙とかを切って輪つなぎにした紙鎖のことだ。
教室の隅のダンボール箱に山と積まれた鎖を取り出して、
川上さんが窓際に近づく。
手近な椅子を引き寄せて、靴を脱いでその上に乗る。

「じゃあご主人様、椅子を押さえてもらってもいいですか?」

半ば促されるようにして椅子の脚を押さえる。
椅子の上で、白いストッキングを履いた足先が左右に小刻みに動く。

「ご主人様、スカートの中のぞいたりしたらだめですよ?
 なんて……ふふっ、ロングスカートだからしたくても無理ですよねー。
 残念でし……ぁ…!」

声につられて顔を上げると、ちょうど紙の鎖が
川上さんの手元から滑り落ちるところだった。
それを空中で拾い上げようとして、そのまま彼女の態勢が崩れる。
足がもつれて、倒れ込んでくる…っ…。

「……ぁ……ご、ごめんね……大丈夫?」

「う……うん…」

とっさに受け止めたおかげで、川上さんには怪我はないみたいだった。
僕自身も、どこかを強打したというほどの痛みはない。

「ほんとにごめんね……頭打ったりしてない?」

床に倒れ込み、僕にほとんど覆いかぶさったような恰好のままで
川上さんが僕の頭に手を伸ばしてくる。
しっとりとした指先が、耳たぶをそっとこすっていく。
僕のお腹の上で、あたたかく柔らかな重量感が這いずり回る。
ペニスがひくっ…と反応する。

一度意識してしまうとだめだった。
考えないようにしていたのに。
目の前にいるのがとても綺麗な女の子で、
しかもやらしい身体をしてるんだって、考えないようにしてたのに……。

ペニスが膨らんでいくのを止められない。
幾重にも重なった布地越しにでも女の子の柔らかさが伝わってくる。
川上さんの身体の下でペニスががちがちに固くなり、
彼女の肢体を感じようと何度も蠢く。

「大丈夫、だから……だから、早くどいて……」

ほとんど喘ぐようにして訴える。
このままだと、どんどんおかしな気分になっちゃいそうだった。

「それが……そうしたいんだけど……」

川上さんが上半身を起こそうとした途端、
びりっ…と紙の裂ける音が響く。
それでやっと気づく。
さっき倒れ込んだ際に、僕らの周囲に飾りの鎖が絡みついていた。
完全に絡まってしまってるのか、川上さんがもぞもぞと身体を動かすだけで
いまにも紙が破けそうな音がする。

「えと……全然ほどけそうにないみたい。
 どうしよう……」

「どうしようって……」

問いかけられてもなにも答えが出てこない。
メイド服を着たクラスメイトに勃起したペニスを押しつけてしまってる。
そのことが恥ずかしくて、気持ちよくて、でも気づかれないか怖くて。
頭の中でそんなことばかりがぐるぐる回って、まともな思考が働かない。

「ね、どうしたらいいかな…ご主人様…♪」

「…………!」

ぞくっ、と背筋が震える。
さっきまでの彼女とはまるで違う、しずかで淫らな声音。

「ほら、教えてほしいな……。
 私、どうしたらいいのかな……ご主人様のここ♪」

川上さんの指が、いつのまにか僕の股間に伸びてた。
ズボン越しに膨らんだペニスの周りを、
まるでその形をたしかめるみたいに人差し指で何度もなぞる。

「川上さっ……なに…して………」

「くすっ……私はメイドさんだから、ご主人様のために尽くすだけだよ。
 あんまりにもここが苦しそうだから、楽にしてあげた方がいいのかなって」

ペニスの周囲をなぞるのが終わったかと思うと、
今度は裏筋のところを的確に人差し指でとんとん…♪と叩く。
リズミカルに、それでいて指の腹でときおり擦るように。

「ご主人様が望むなら、とってもとっても気持ちよくしちゃうよ?
 頭のなか、真っ白になっちゃうくらいに…♪」

「冗談、やめっ……こんなとこ、で……」

口走りながら、誰かに見られていたらどうしよう、と恐怖を覚える。
でも床に倒れ込んでいるから、二階の僕らが外から見えることはない。
廊下側のドアの覗き窓も、店の張り紙が目隠しになってる。

「あれれ、こんなとこじゃなかったら、いいのかな?
 メイドさんのおててで、気持ちよーくなりたいのかな?
 ふふっ、悪いご主人様だね」

ペニスの根元から先端に向けて、つーっ…と指で撫で上げられる。
ゆったり…ねっとり……少しずつ快感が送り込まれる。
ペニスの根元がひくひくと蠢く。
いまにも腰を持ち上げて快楽をねだってしまいそうになる。
だけど腹筋に力を込めて必死にそれを抑え込む。

「でも私は今、ご主人様の口から答えを聞きたいな。
 ご主人様……射精したくないですか?
 びゅびゅーって精液を思いっきり出したくないですか?」

川上さんの小さな唇から、やらしい言葉が吐き出される。
その言葉に身をゆだねてしまいたくなる。
このまま奉仕されながら、精液を漏らしてしまいたくなる。

「……ぅ………」

なんとか態勢を変えて逃れようと身じろぎする。
けど、やっぱり紙の鎖が裂けそうな音がする。
これはクラスのみんなで作った大切な飾りだから。
だから破っちゃいけない。
だから……動けない。逃げられない。
べつに……誰も……見てない……。
それ……なら………。

「ふふっ……ご主人様、静かになっちゃった。
 誰にもばれないって分かった途端、こうなっちゃうんだ。
 いけないんだよー、そういうの」

川上さんがにったりと笑う。
制服のズボンのジッパーがあっというまに引き下ろされ、
ペニスが取り出される。
亀頭が外気に触れるひんやりとした感触で、
自分がすでにカウパーを大量に垂れ流していたんだと気づく。

「やっぱり、もうぬるぬるになってる…♪
 口では拒むふりをしておいて、
 こっそり気持ちよくなる準備してたんだ?」

川上さんの指が尿道口を、ちょん、とつつく。
反応を確かめるみたいに僕の顔を見つめながら、
何度も小さくつつかれる。
優しく、でも物足りない快感だけが続いてく。

「………ぁ……も…っ……」

もっと、と呟きそうになって、慌てて口をつぐむ。
自分が置かれてる状況の異様さを不意に意識する。
僕には恋人だっているのに。
なのに、別の女の子に抱きつかれて欲情してしまって。
……しかも、それがとっても綺麗な女の子で。
メイド姿の女の子に密着されて、性器をつつかれて、
ひょっとすると……このまま……このまま……。

「くすっ…♪ おちんちん、すごい跳ねてるよ?
 なにか想像しちゃったのかな?
 もうすぐいっぱいびゅーびゅーできるぞって思って
 嬉しくなっちゃったのかな?」

相変わらず、焦らすように小さくペニスをつつきながら
川上さんが僕の目を見つめて囁く。

「でもさっきも言ったよね。
 私はメイドさんだから、
 ご主人様が言ってくれないとなんにもできないんだよ?
 ほら、教えてほしいな……もっと気持ちよくなりたい?
 口で言えなかったら、うなずくだけでもいいよ。
 こくん、って小さく頭を振ってくれたら、それだけでいいの。
 ね……♪」

そんなの……いけない。
いくら誰も見てないからって……。
メイド姿のクラスメイトに射精させてもうなんて……。
そんな……の…………。

「はい、よくできました…♪
 とっても素直で良いご主人様だね」

川上さんが満面の笑顔を浮かべて、それで気づいてしまう。
いつのまにか、僕は小さくうなずいてしまってた。
目の前のメイドさんに射精をねだってしまってた……。

「ちが…っ………ひ…ぁ…っ…」

否定するより早く、川上さんの指がペニスに絡みつく。
竿にまで垂れていたカウパーを指ですくい取りながら、
くちゅくちゅ…♪とペニスを扱きはじめる。
川上さんの指がペニスの表面を往復するたびに、
頭の芯がどろどろに溶けていく。
カウパーまみれの指先が裏筋を擦るたびに、
みっともなく声を出しながら身体をよじってしまう。

僕の身体の周りで、輪になった紙が潰れてく音がする。
みんなと一緒に、彼女とも隣り合って談笑しながら
この飾りを作った光景を思い出してしまう。
なのに、それがくしゃくしゃに潰れていくことにさえ、
いまは歪んだ快感を覚えてしまう。

「メイドさんにご奉仕される気分はどうかな?
 ぬるぬるの指で、ねちゃねちゃ…♪っていっぱい扱いてもらって
 おちんちん、おかしくなっちゃいそうなぐらい気持ちいい?
 もしそうだとしたら、私はとっても嬉しいな。
 私はね、ご主人様が私で気持ちよくなってくれたら幸せなの」

甘い言葉が耳の中を滑りおちてく。
いけないことをしているんだってことを一瞬忘れそうになる。
それで必死に、恋人の……陽子の顔を思い出そうとする。
幼馴染で可愛らしい僕の彼女。
なのに思い出そうとするたびに、ペニスの上を指が這いずり回る。
あたたかくぬるんだ粘液と、女の子のほっそりした指の感触。
カチューシャをつけて微笑んでる川上さんの顔が、
記憶の中の陽子の顔に置き換わってく。

「まだ難しいこと考えてるのかな?
 いいんだよ、いまはそんなことなにも考えなくて。
 これは、しょうがないことなの。
 偶然、二人してくっついたまま身動きできなくて。
 それで女の子の身体がむにむに押しつけられたら、
 男の子なら誰だって、おちんちん大きくなっちゃうもんね。
 そう、これは仕方がないことなの。
 だから早く楽になっちゃお…♪
 たっぷりと……どくどくって一滴残らず精液吐き出して
 そしたらすっきりして、またいつもの関係に戻れるはずだから。
 だから、気持ちよさに浸っていいんだよ」

ペニスになにかがかぶせられる。
メイド服の白いエプロンの部分だった。
ぬるぬるとした甘い感覚に慣れきっていたペニスに、
布地のざらりとした強い刺激が与えられる。
ひくっ…と喉を引き攣らせながら、腰が浮いてしまう。
川上さんはそんな僕にお構いなしに、
エプロンでぐちゅぐちゅと激しくペニスを扱く…っ…。

「あはっ……すごい顔してる♪
 ご主人様、とっても苦しそう。
 でも大丈夫。私はちゃーんと分かってるから安心して。
 苦しいけど……でも気持ちいいんだよね。
 おちんちん、ごしごし…♪って激しくされると、
 気が狂いそうなほど気持ちいいんだよね」

「ひ…ぁ………ぁ…っ………あ…っ…」

脳の神経が焼ききれそうな快感が何度も走る。
カリ首が擦られるたびに、射精したみたいにペニスが痙攣する。
すでに持ち上がっていた腰がさらに突き上がり、
射精にどんどん近づいてく。

「ほーら、もうすぐ精液いっぱい出せちゃうよ?
 メイドさんのエプロンドレスにどくどくって…♪
 汚れたってどうせジュースでもこぼせば
 みんなには分からなくなるから心配いらないよ。
 思いっきりびゅーってしていいの」

エプロンにカウパーが染み込んで、
ざらついた摩擦の刺激が、
ねっとりとぬるんだ快感と入り混じってく。
ふっと一瞬、身体の緊張がゆるんでしまう。
腰の奥で精液がとぷっ…と流れ出す。

「……ぁ……ぁ……っ…」

止められない。
精液がどんどんペニスの根元に流れ込んでくる。
強烈な快楽を期待して背筋が震える。

「私のエプロンはご主人様の精液で汚してもらう、
 そのためだけにあるんだよ。
 さあ、ご主人様……せーえき、いっぱい出して…♪」

「…ぁ……あぁぁぁあぁぁ…っ…!」

どくどくどくどくっ…!と精液が噴出する。
分厚いエプロンの布地の中で精液が跳ね返り回り、
亀頭や竿がどろどろに濡れていくのが分かる。

「わ……いっぱい出てるね…。
 メイドさんのエプロンオナホに射精しちゃってるんだ…♪」

くすくすと笑いながら、川上さんがエプロンを動かす。
ペニスの根元から上へ向かって、
精液を搾るような淫らな手つきで扱かれる…っ…。

「……ぁ………きも…ち…い…ぃ………」

「ふふっ、やっと気持ちいいって言ってくれた。
 そうだよ、私といたらね、とーっても気持ちよくなれるんだよ。
 ご主人様は幸せいっぱいになれるの。
 だから、もっともっと出していいんだよ」

ペニスの律動はほとんど収まっているのに、
それでも執拗に扱かれつづける。
最後の一滴まで愛情をもって搾りつくすように、
優しくゆったりとした動きでいつまでも………。

 
 
 
     * * *
 
 
  
「いっぱい出たねー、ご主人様…♪」

川上さんがエプロンをペニスから外して、
僕に見える位置に持ってくる。
真っ白な布地の上に、かすかに黄ばんだ精液が
どっぷりとこびりついていた。

「…………う…ん……」

だけど、その行為の跡からすぐに目を逸らしてしまう。
性欲の収まった身体に、罪悪感がのしかかる。
浮気、不倫……そんな言葉が幾つか思い浮かんだあとに、
裏切り、という言葉を最後に思い出してしまう。
僕は……陽子のことを裏切ったんだ……。

「ご主人様が考えてること、当ててみようか?」

いまも僕に半ば覆いかぶさった姿勢のまま、
川上さんがうっすらと微笑む。

「自分がいけないことをしたって後悔してるんだよね。
 彼女さんを裏切っちゃった。どうしようって。
 でもね、なんにも心配いらないよ。
 それにはとっても簡単な解決策があるの。
 彼女さんなんて、恋人さんなんて、
 最初からいなかったことにしちゃえばいいの」

「…………! な、なに言って……!」

思わず川上さんの身体を跳ねのけかけて、
そこでまた紙鎖がびりっ…と音を立てて小さく裂ける。
動きが止まってしまう。
川上さんの微笑みは消えない。

「簡単なことなんだよ。だって結婚してるわけじゃないもの。
 書類も、指輪も、証明なんてなにもない。
 なんの拘束力もない、ただ二人で交わした口約束。
 ううん……本当は約束とすら呼べないぐらい。
 愛してるだなんて、好きだなんて、
 一時の感情に任せて言ってしまった、適当な台詞だもの」

「そんな軽いものじゃ……!」

「こんなに簡単に裏切っちゃうのに?」

エプロンがまた見せつけられる。
ある程度は布地にも染み込んだはずなのに、
それでもまだたっぷりと、ゼリーのようにこびりついた濃い精液。

「それ……は………」

「だから忘れちゃおうよ、ご主人様。
 それで……かわりに私を恋人さんにしちゃおうよ。
 そうしたら、毎日気持ちいいことしてあげるから」

川上さんの指がまたペニスに伸びる。
まるで蔦が絡みつくみたいに、指が竿の周囲をやらしく撫でていく。
またゆっくりと性器に血が流れ込むのを感じる……。

「そんな……できる…わけ………。
 それに…………恋人なんて意味がないって、
 そう言ったのは川上さん、なのに」

「くすっ……意味がないとは言ってないよ。
 私が嬉しいもの。それだけで大切な意味があるもの。
 ……でも安心して。
 私は口約束なんかでごまかしたりしないから。
 私はご主人様のことを、ちゃんと繋ぎ止めてあげる。
 気持ちよすぎて離ればなれになれないようにしてあげる」

川上さんが自分の胸元に手を伸ばす。
彼女が着てるメイド服は腰から下だけにエプロンが付いていて、
上半身は白いブラウスが表に出てる。
そのブラウスの第二ボタンが、ゆっくりと外される。
布地の隙間から、くっきりとした谷間がのぞく。

さらに一つ下のボタンに指が伸び……また外れる。
ブラウスの隙間が広がって、胸元がさらに露わになる。
その谷間から視線が外せなくなってしまう。

「今度はここに入れちゃおうか…♪
 ご主人様のを、この隙間からにゅるっ…って押し込んで、
 おっぱいの感触を味わいながら精液どくどくするの。
 ね、とっても気持ちよさそうだよね」

囁かれる吐息が僕の首筋にかかる。
まるで透明なヴェールで撫でられてるみたいに、
ぞくり…と甘い快感が湧き起こる。

「ご主人様……さっきのこと思い出してほしいな。
 精液どぷどぷって吐き出すの、すごく良かったよね。
 あれよりも、もっとすごいことになっちゃうんだよ?
 おっぱいで両側からむにゅむにゅーって揉みくちゃにされて、
 おちんちん気持ちよくなって、それでそのまま我慢しないで
 びゅーっびゅーって出しちゃっていいんだよ。
 この谷間をご主人様の精液でどろどろに汚していいの…♪」

エプロンにこびりついたままの精液を、
川上さんの人差し指がすくい取る。
そのまま指を自分の谷間にゆっくりと差し込み……また抜き取る。
指が往復するたびに、谷間に精液が塗りたくられてく。
乳房の濡れた表面がてかてかと光ってる。
そこにペニスを挿入することしか考えられなくなってく……。
入れたい。出したい。あの谷間に射精したい…!
そんな言葉たちが勝手に頭の中で喚きはじめる。

「恋人になってくれたら、ここにおちんちん入れられるんだよ?
 ご主人様が望むなら、いつだって、どこでだって。
 メイド服でも、裸でも、制服でも、どんな格好でだって。
 ご主人様が満足するまで、出していいんだよ」

ペニスはもうぎちぎちと音を立てそうなくらいに固くなってる。
出したい。出したい。出したい。射精したい。
だけどだけどだけど…っ…!

こんなの良くないことだ。いけないことだ。
射精したいからって、いまの彼女を捨てるなんて。
そんなの許されない。許しちゃだめなんだ。
だめ…なんだ……!

「……僕…は……っ……」

拒否を示そうとしたその瞬間、なにかが聞こえた。
廊下を歩く足音。ついで、それがこの教室のドアの前で止まる。

「あ、誰か来ちゃったみたいだね。
 じゃあご主人様、もうやめておこっか。
 このお話はなかったことにしようね。
 もうおしまい」

川上さんが妙に明るく笑う。
もうおしまい、という言葉が耳の奥で何度も響く。
おしまい……おしまい……これで…おしまい……?
その言葉だけがループしたまま、思考が止まって、そして。
 
 
教室のドアが開か――ない。
 
 
ドアが何度かガチャガチャと音を立てる。
だけど、ドアは開かない。
やがて廊下の向こうの誰かはぶつぶつ言いながら立ち去ってしまう。

「ふふっ、良かったね。こんな姿を見られなくて。
 ちゃーんと鍵はかけておいたんだから。
 じゃあ……鍵をもらって戻ってくるまで時間かかるだろうから、
 いまのうちに汚れたの片づけちゃおうか」

まるで本当に何事もなかったかのように
川上さんが身体を起こそうとする。
ブラウスのボタンを閉めようとする。

「……ぁ……ちがっ……」

「違う? なにが違うのかな、ご主人様?」

ボタンにかかった指が離れる。
また布地がはらりと開いて、乳房の谷間が見える。
いま……言わないと。
言わないと……あの胸にもう触れなくなる。
あのおっぱいに挟んでもらって、扱いてもらって
それで射精させてもらえなくなる。
そんなの……そんなの………。

「……ぁ……あ……」

無意識に腕が持ち上がり、メイド服のブラウス部分に伸びる。
腕に絡みついていた紙切れがびりびりと音を立てて破けるけれど、
もうそんなのどうだっていい。

両手で左右の胸に手のひらを当て、感触を確かめる。
柔らかい……やらかい……気持ち…いい……。
指に力を込める。
乳肉に指が埋もれていく感触がたまらない。
こんなの……諦められるわけ…ない……。

「あはっ……やっぱり悪いご主人様だ。
 まだ私にお返事もしてないのに勝手に触るなんて
 ルール違反なんだよ?
 でも……ふふっ、そうだよねー。
 こうやって、おっぱいにしがみついてるのがお返事なんだよね」

川上さんが僕の右手の甲に手のひらを重ねる。
そのまま、自分の胸に強く押し当ててくれる。
ブラはしてないみたいだった。
乳肉がたわみ、変形するむにゅっという感触がダイレクトに伝わる。

「だけど、やっぱりちゃんと言葉にしてほしいな。
 ね、ご主人様……教えてほしいな。
 私の恋人に……なってくれる?」

「なるっ……! なるから……だから…っ…!」

張り詰めていたなにかが溶ける。
気持ちよくなりたい。
このメイドさんの胸にペニスを埋めて精液を吐き出したい。
他のことなんてどうでもいい…っ…!

「うん……とっても素直で良いご主人様になったね。
 安心していいよ。私はちゃんとご褒美あげるから。
 最高に気持ちよい射精をさせてあげる。
 私の側からずっと離れられなくなるように…♪」

川上さんが身体を起こして、僕の脚のあいだへ移動する。
引きちぎられた色とりどりの紙の鎖が床に散らばる。
それからペニスに下乳の谷間が押し当てられる。

「メイドさんのおっぱいに入れちゃおうね…♪
 むにむにのおっぱいの中で、
 いっぱいいーっぱい気持ちよくなろうね」

ぴっちりとしたブラウスで固定された下乳の隙間に、
まず亀頭の部分がにゅるっ…♪と入り込む。
ペニスにまとわりついたままの粘液と、
さっき胸のあいだに塗りつけられてた精液のおかげで
ぬるるっ…と、いともたやすく挿入されてく。

「はぁい、入っちゃいましたよ♪
 ご主人様、私の谷間の居心地はどうかなー?」

川上さんが身体を小刻みに揺らすたびに、
乳肉がたぷっ…たぷっ…♪と竿に密着する。
幸せそのものみたいな柔らかい感触。

「だらしない顔になってるよ、ご主人様…♪
 お口が半開きになって、よだれもこぼれて。
 ふふっ……それからこっちも」

彼女の指が胸の谷間に伸びる。
乳房をかき分けて突き出ていたペニスの先端、
鈴口のところを、ちょんっ…と指でつつく。

「……ん……ぁ…っ…」

尿道口を指で擦られただけなのに、
全身に信じられない快感が走る。
漏らししたみたいにカウパーが溢れ出て、
それがまた指ですくい取られる。

「もう……ご主人様ったら。
 おちんちんのよだれ、拭いてあげてるだけなのに…♪
 こんなのでも、どうしようもなく気持ちいいんだ?」

指の動きが変わる。
指の腹でカウパーをすくい取るかわりに、
裏筋のところに何度も擦りつけてくる…っ…。
……ぁ……あ…ぁ……っ……。

「ぬるぬる、止まらないね……。
 おっぱいの中まで垂れてきて、もうべとべとだよ?」

谷間の中はもうぐちょぐちょだった。
粘液まみれの乳房の表面をペニスが這いずり回る。
ともすれば、ペニスが胸の隙間からこぼれ出そうになる。

「ん……暴れちゃだめだよ」

川上さんが両肘で胸の谷間を寄せる。
ブラウスの中に乳肉がぎゅうぎゅうに押し込められて、
むにゅっ…むにゅぅ…っ♪とおっぱいがペニスに押しつけられる。

「これでもう逃げられないよ?
 と言っても……くすっ、もともとご主人様は
 逃げられない方が嬉しいよね」

胸を寄せたまま、川上さんがペニスを扱く。
カウパーと精液が入り混じってかき混ぜられて、
それが細かい泡を立てながら乳房の隙間から垂れ落ちる。
亀頭をくまなく乳肉が覆いつくす心地良さ。
おっぱいで竿が揉みくちゃにされる快感。
下乳がペニスの根元に当たる、たぷたぷとした甘い感触。
それらすべてで、射精感がずるずると引きずり出される…っ…。

「ん、そろそろ出ちゃうのかな?」

なにもかも分かっているように川上さんが微笑む。
胸の動きがゆっくりと、でもより甘やかに、
射精を促す淫らな動きに変わっていく。

「うん、いいよ……出しちゃおうね、ご主人様。
 遠慮することなんて、なんにもないんだよ?
 いまの気持ちいいのが終わっても、
 また何度だって気持ちよくしてあげるから。
 安心して、だらしなく射精しちゃっていいんだよ…♪」

谷間の動きがさらにゆるやかに、
ねっとりとペニスを搾り上げるような優しい動きになる。
カリ首を左右の乳房が柔らかく擦る。
鈴口に乳肉がぴったりと密着する。
腰の奥が、どくん、と跳ねて。それで。

……びゅぶる…っ…!びゅぶっ……じゅぶ…っ…!

おっぱいにペニスの先端を押しつけたまま、
精液がどくどくと吐き出される。
メイドさんの乳房に精液が大量にこぼれてく。
ペニスが震えるたびに尿道口と裏筋に乳肉が擦れて、
そのむにむにとした感触で、また精液が上ってきて。
……ぁ……あぁ…ぁ…っ…!

……どぷっ……どぽっ……びゅぶっ……!

「いっぱい、いーっぱい出していいよ、ご主人様…♪
 メイドさんのおっぱいをオナホがわりにして、
 精液ぜーんぶ出しちゃおうね…♪」

ゆるやかに、でも深いストロークでペニスがさらに扱かれる。
どぷっ……どぷんっ……と塊のような濃い精液が尿道を駆け上り、
川上さんの胸の中にこぼれてく……。

「ん……すごいたくさん出たね。
 ご主人様、満足できた?
 ………そっか、満足できたんだ。
 ふふっ、よかった…♪
 あ、でもきっとご主人様のことだから、
 またすぐに出しちゃくなっちゃうんだよねー。
 うん、でもね……それでいいんだよ」

僕の目を見つめて、とても幸せそうな表情で、
そして透き通った声で彼女が言う。

「だって私たちは恋人同士になったんだから。
 ご主人様が望むなら、明日だって明後日だって。
 ううん……望むなら、今日のお昼にも夕方にも夜にも。
 何度だって私の身体で射精していいの」

そこでいちど言葉を切って、またしずかに囁く。

「そのかわり、ご主人様はずっと私のもの。
 私だけの恋人で、私だけのご主人様になるの。
 それが私からの唯一の注文。
 他にはなんにもいらないから。
 だからご主人様、ずっとずっと離さないからね」

それから不意に、いたずらっぽく彼女が笑う。

「ふふっ、でも心配無用だよ。
 逃げようなんて、離ればなれになろうだなんて、
 そんなこと想像もできなくなるぐらいに
 これからずーっと気持ちよくしてあげるから。
 ね、私のご主人様…♪」

END