万引き少女のおままごと(後編)

「どう? 仕事には慣れてきた?」

レジにいる女の子、川村伊織ちゃんに声をかける。
彼女はにっこりと笑ってうなずく。

「はい、大丈夫です。
 店長教え方上手いし、それにすずちゃんにも
 色々教えてもらってますから」

そっか、と僕は曖昧にうなずく。
伊織ちゃんの万引き事件があってから、
もう一ヶ月以上が過ぎていた。

結局、伊織ちゃんの万引きはいじめが原因だったらしい。
同級生の一グループから、万引きしてこいと脅されて、
それで犯行に及んだ……そういうことらしい。

でも、もういじめ問題はなくなった。
……鈴音が解決したから。
どうやったのか詳しくは知らない。
けど鈴音なら、なにができても不思議じゃない。
そう思って納得してしまう自分がいる。

そしてお礼がしたいという伊織ちゃんに対して、
人手が足りないからアルバイトを手伝ってとお願いした。
以来、彼女はここで働いてる。

なにもかも……鈴音が言ったとおりになっていた。
あの日、「川村先輩はここで働くことになりますから」と
鈴音に告げられたとおりだった。

「あ、そうだ……店長、すずちゃんが呼んでましたよ?
 商品のことで質問があるって。
 私は大丈夫ですから、行ってきてください」

思わず唾を飲み込む。

「……そう? じゃあちょっと行ってこようか」

「はい、レジは任せといてください」

伊織ちゃんが自分の胸を叩くと、
やわらかそうな巨乳がわずかに揺れる。
ペニスに血がゆっくり流れ込んでくる……。

膨らみかけた股間を隠すように背を向け、
休憩室にもなっているバックヤードに向かう。
 
 
 
バックヤードには、商品がごちゃごちゃと散乱してる。
でも奥の方は少しだけスペースが開けて、椅子が何脚か置いてある。
そこに……鈴音がいた。

「お疲れさまです、お兄さん」

伊織ちゃんとはまったく違う種類の笑みを彼女は浮かべる。
僕をいたぶることに幸せを見出す、嗜虐の微笑み。

「あ……また勃起してますね。
 これから私にされることを期待してます?
 それとも川村先輩を視姦でもしてきましたか?」

椅子に腰掛けながら、頭を左右に振る。

「そんなこと……してない」

「嘘つかないでくださいよ、お兄さん。
 あんな可愛い女の子が近くで働いていて、
 それでお兄さんみたいな人がなにもしないわけないですよね?
 妄想のなかでは、もう犯しつくしたんでしょう?
 川村先輩の大きな胸を揉んだり、吸ったり、
 それからお兄さんの貧相なものを挟んだり……。
 そんなことを想像して、家でオナニーばっかりしてる。
 ……そうですよね?」

鈴音の腕が、僕の首に回される。
すべすべの肌が首筋を撫でる感触に、
全身がぞくりと震える。

「………してない…よ…」

「強情ですね……お兄さん。
 でも、無理して嘘をつかなくていいじゃないですか。
 どうせ、もっとひどいことをしてるんですから。
 違いますか?
 ほら、昨日だって……」

ズボンのなかでペニスがいきなり跳ね上がる。
股間が大きく膨らんだのを見て、
鈴音がくすくすと笑いをこぼす。

「あはっ……思い出して興奮しちゃったんですか?
 ふふ……そうですよねぇ。
 あんな可愛い女の子の体操服でおちんちんしごくなんて、
 まるで夢みたいなオナニーですから。
 思い出すだけで、何度だって射精できちゃいますよね」

思い出しちゃいけない…いけない……。
なのにそう思うほど、昨日の光景がありありと思い出される。
僕は、あの伊織ちゃんの体操服にペニスをくるんで……。

「昨日のお兄さん、はぁはぁ言って、とってもみじめでしたよ。
 一生懸命におっぱいの辺りに先っぽこすりつけて、
 ふふっ……私も何度でも思い出し笑いができそうです」

「あれは……鈴音が…しろって………」

「私のせいだって言いたいんですか?
 たしかに先輩の鞄から体操服を抜き取ってきたのは私ですけど。
 でも、目をらんらんと輝かせてたのはお兄さんじゃないですか。
 私がしてくださいって言った途端、
 必死に匂いを嗅いだり舐めたりしてたのは誰でしたっけ?
 それになにも考えずに精液もぶちまけて。
 先輩にばれないようにするのは大変だったんですよ?」

なにも……言い返せなかった。
昨日の自分を思い出して、吐き気がする。

自分がまっとうな人間だなんてそもそも思ってない。
だけど、あんなのは……どうしようもなく下劣だ……。
僕は……どうしてしまったんだろう……。
このまま鈴音に従ってたら………いったい……。

「……それにしてもお兄さん、さっきの口答えはだめですよ。
 お人形さんは、ご主人様には素直に従わないと。
 だから今日は……自分がお人形さんだってこと、
 ちゃんと思い出してもらいましょうか」

勃起したペニスが指で押さえつけられ、
もう片方の手でジッパーが下ろされる。
いともたやすく性器が取り出される。

「なに……するの…?」

「お人形さんを使ってする遊びといったら、決まってるじゃないですか。
 おままごとですよ、おままごと。
 お人形さん同士で色んな遊びをするんですよ」

笑いながら、鈴音は床に積み上げられていた箱を開封する。
箱に入っていたのは、高さ20cmほどのフィギュアだった。
いま放映中の、そこそこ人気の学園アニメのキャラクター。
最近はコンビニでもこうしたフィギュアを取り扱うことが多くて、
それで搬入されたものの一つだった。

「ほら、良かったですね。
 この可愛いお人形さんが、お兄さんの相手をしてくれますよ。
 お人形同士……仲良くしましょうね」

フィギュアの造形はとてもよくできていた。
制服越しに大きな胸のふくらみが強調され、
少しはだけた胸元からは谷間がくっきりとのぞいてる。

「おちんちんが少しひくついてますね……。
 やっぱりこんなお人形さんにでも欲情できちゃうんですね。
 さすがですよ……だめなお兄さん。
 じゃあ最初は、こんなのはどうですか?」

鈴音がフィギュアを操りはじめる。
フィギュアの髪の毛先が尿道口にこすりつけられる。

「ほら……髪の毛で触られるのはどうですか?
 こういうの髪コキっていって変態さんは好きなんですよね?
 やわらかくって、シャンプーの香りなんかして。
 女の子の大切な髪を汚すのが、征服感を満たすんでしょう。
 ああ、でも……これはたんなる粘土なんですけれど」

鈴音の言うとおり、こんなのただの粘土のはずだった。
なのに……なのに先端をなぞられるたびに、ペニスが跳ねてしまう。
鈴音に弄ばれているという事実に、
身体が条件反射で気持ちよさを感じてしまう……。

「あはっ……なんですか、これは。
 お兄さん、作り物の女の子の髪でなぶられて、
 それでこんなにカウパーをだらだら流してしまうんですか?
 ほら、カウパーがつくと光って綺麗ですね……」

フィギュアの黒髪の一部が、カウパーにべったり汚されてる。
そこだけ光沢があって、艶々と光っていた。

「今度はおてても汚してみますか?」

フィギュアの小さな手が、ペニスの裏筋に近づけられる。
裏筋の溝にほそくちいさな指が入り込み、
汚れをかきだすようになぞる。

「……う…ぁ………」

「ふふ、やっぱりお人形さん同士は相性がいいんですね。
 お兄さん、もしかして現実の女の子よりも、
 こういうアニメの女の子が好きなんじゃないですか?
 ……そうだ、あとで川村先輩にも教えてあげようかな?
 きっとショック受けますよ……あはっ」

楽しそうに話すあいだも、フィギュアを操る手は止まらない。
裏筋をなぞるのを止めたかと思うと、
フィギュアの唇でまた尿道口のあたりをさする。
それから鈴音が意地悪く笑って……唐突に声音を変えた。

「お兄ちゃんのおちんちん、美味しいよぉ」

この美少女キャラに瓜二つの声だった。
ぞくっとした震えが身体を走る。

「ね……どうですか?
 私もちょっと見たことあるんですよ、このアニメ。
 こうやってお兄ちゃんを可愛く慕う子なんですよね。
 声真似も似てるでしょう?」

フィギュアの唇が、亀頭の表面を這い回る。
溢れだしたカウパーが今度は人形の頬や唇、
眼球までをもべたべたと汚していく。
人形の髪や腕にねばねばした糸がいくつもかかる。

「お兄ちゃんの、ぬるぬるするよぉ……。
 でもぬるぬる、気持ちいいの……ねえ、もっとちょうだい。
 お兄ちゃんのあったかくて白いのもほしいの」

鈴音に軽蔑されると分かっているのに、
ペニスが反応するのを抑えられない。
肉棒がひときわ強く跳ねて、
先っぽが人形の足元から顔までを撫で挙げる。

「あはっ、すごい興奮具合ですね。
 なんですか今の勢い。
 おちんちんでこの子のスカートめくれるとでも思ったんですか?
 こっちも触りたいなら、言ってくれれば良かったのに」

スカートの中を見せつけるようにしながら、
股間部分やお尻部分をペニスに交互に押しつける。
先走り汁が糸を引いて、やがて床に垂れ落ちる。

「あそこからとろぉっ…て糸引いちゃいましたよ。
 まるで膣出しして、膣からこぼれてるみたいですよ。
 良かったですね……二次元の女の子とセックスできて。
 ぜんぶ私のおかげなんですから……感謝してくださいね」

鈴音はくすくす笑いながら、さらに人形をペニスに押しつける。
スカートの裾でカリ首をこすったかと思うと、
手のひら部分で根元をさすってくる。

やわらかくもあたたかくもない人形に触られているのに
少しずつ射精感が湧き起こってくる。
あぁ……こんな………う……ぁ……。

「みじめですねぇ、お兄さん。
 わかってますよ……もう出そうなんでしょう?
 お人形さんを押しつけられてるだけなのに、
 出ちゃいそうなんでしょう?」

「だって…こんなの……」

「こんなの、なんですか?
 少しも言い訳になっていませんよ?
 こんなのってお人形をぐにぐに押しつけてるだけですよ?
 たんなる粘土の塊におちんちんこすりつけて、
 それで出すなんておかしいですよ。
 お兄さん、もしかして部屋の壁にこすりつけてでも
 射精できちゃうんじゃないですか?」

「ちが…う………これは…鈴音が、してくれる……から……」

「ええ、ええ。そう言うと思ってましたよ。
 そうやって私への愛情を示すふりをして
 自分をごまかしているんでしょう?
 ね……本当は大好きなんですよね?
 アニメキャラにおちんちん押しつけてオナニーするのが、
 とーっても気持ちいいんですよね」

口を開いたら射精してしまいそうだった。
ただ黙って首をぶんぶんと振る。

「違うんですか?
 じゃあ……我慢してみてください。
 そしたら、お兄さんのことを見直してあげます。
 ほら、お兄さんが大好きな私は、
 お兄さんが射精しないことを望んでるんですよ。
 私が好きなら、我慢してみせてください」

唇を目いっぱいに広げて笑いながら、
鈴音が人形を押し付ける。
ちょうどフィギュアの胸の先、
乳首の形にぷっくりと膨れあがったところが、
裏筋をくりくりっとこすって、それで。

……びゅぶっ……じゅぱっ………びゅびゅるっ…!

精液が馬鹿みたいに飛び出していく。
フィギュアの胸が見えなくなるぐらいに精液がたまって、
やがて胸の隙間からどろどろとこぼれ落ちていく。
もちろん胸だけじゃなくて、頬も唇も、髪の毛もスカートも、
どこもかしこも白く濁った粘液にまみれていた。

「はい……出しちゃいましたね。
 やっぱりお兄さんは人間以下でしたね。
 まったく、こんなに飛ばして……」

精液の一部は鈴音の手にもかかっていた。
けれど、ポケットから取り出したウェットティッシュで
手早く汚れは拭き取られる。

「ほら、床にもこんなにこぼれてますよ。
 お兄さん、ちゃんと掃除しておいてください。
 でないと……先輩にばれますよ?」

ウェットティッシュが僕の前に放りなげられる。
それを取って床を拭き、次にフィギュアを拭きはじめる。

精液を拭きながら…………不意に悲しくなる。
どうしようもなく惨めな気分だった。

僕は……なにをしてるんだろう。
鈴音になにもかも支配されて……。
これでいいのかな……こんなのって……。

さっき僕を休憩室に送り出した、
伊織ちゃんの屈託のない笑顔が思い出される。
僕だけのことじゃない。
あの子のことまで人知れず汚して……。

「……お兄さん、どうしたんですか?」

「……なんでもない…よ……」

涙ぐみそうなのをこらえる。
顔を下に向けて、丁寧に人形を掃除していく。
人形にこびりついた精液の臭いは、
いくら拭いても取れなかった。
 
 
 
     * * *
 
 
 
休憩が終わって、僕と鈴音は仕事に戻った。
鈴音はてきぱきと仕事をこなしていた。
ときおり伊織ちゃんと楽しそうに喋っていた。

新製品のジュースの味がどうだとか、
そんな他愛のない話が聞こえる。
だけど、その会話の輪に入り込む気にはなれない。

惨めな気持ちが、ずっと続いていた。
まともに鈴音と言葉を交わす自信がなかった。

僕は……なにをしてるんだろう。
気持ちよければなんでもいいのか……僕は。

これじゃ……人形以下だ。
気持ちよくなるボタンを押されたら射精するロボットだ。
ボタンを押してもらうためなら、なんでもする。
どんな行為であっても、ボタンが押されたら射精する。

こんなの…………最低だ……。
 
 
 
「店長、それじゃ私たち先に上がりますね」

伊織ちゃんの声で我に返る。
さすがに疲れたのか、彼女の笑顔には少し力がなかった。
あわてて返事をすると、彼女は奥へと消えていく。
そのあとに鈴音が続きかけて……立ち止まる。
僕を見た。視線がぶつかる。

「鈴音……話があるんだ」

気づいたらそう言っていた。
一度口にしてしまうと、奇妙な決意ができた。

……もう終わらそう。
この子がなにもかもばらすっていうなら、それでもいい。
こんな最低な自分でいるのには……もう耐えられない。

だけど僕が口を開くより先に……目の前の少女は微笑んだ。

「そう言うかなって、思ってました」

しずかな足取りで僕に近づいてくる。
甘い匂いがふわりと漂ってくる。
僕の目の前で止まると、こちらを見上げてまた笑う。

「店長、そのお話……そうですね、十五分ほどしてからでいいですか?
 十五分経ったら、休憩室に来てください」

くるりと背を向けて、軽やかな足取りで奥へ消えていく。
僕はあっけにとられたまま……少女の後ろ髪が揺れるのを見ていた。
 
 
 
十五分後、次のシフトの子に店内を任せて、休憩室に向かう。
鈴音は休憩室の壁に背を預けていた。

「鈴音、僕は」
「焦らないでください、お兄さん」

笑みを浮かべた鈴音が、僕を手で制止する。

「ゆっくりお話したいですから……こっちへ来てください」

手招きしながら、さらに廊下の奥へと誘う。
なぜか逆らうこともできず、ふらふらと付いていく。
廊下を歩いた先は……更衣室だった。

「さ……どうぞ」

扉を開けると、椅子に座っている伊織ちゃんの後ろ姿が見えた。
思わず声をあげかけて、でもそれより早く鈴音に手をつかまれて、
室内に引きずり込まれる。

「……あ……いや………鈴音…?」

伊織ちゃんに対する言い訳がいくつも浮かんで、
でもどれも選べず……すがるように鈴音を見てしまう。

「くすっ……そんなに慌てないでください、お兄さん。
 大丈夫、先輩はぐっすり寝てますよ」

手を引かれて……伊織ちゃんの前に回る。
たしかに彼女は眠っていた。
椅子に腰掛けたまま、首が力なく垂れていた。
髪が横に流れて、白いうなじがのぞいてる。

「で、お兄さん……お話ってなんですか?
 ひょっとすると、もう終わりにしようとか、
 そういう安っぽいドラマみたいな台詞ですか?」

僕の背中に抱きついて、
耳たぶを指で優しく触りながら、鈴音が囁く。

「なにも答えないのは……正解ってことでいいですか?
 本当は……お兄さんがそう言うの、ちゃんと分かってたんです。
 昨日言うかな、今日言うかなって、待ってたんです。
 私は知ってますよ……。
 お兄さん、自分のあさましさに嫌気がさしたんでしょう?
 自分がみじめで、みっともなくて、あまりに情けなくて、
 そんな自分が嫌になってしまったんでしょう?」

「…………わかってるなら……もう………」

「そうですね……もう終わりにしましょうか。
 こんな状態、お兄さんも苦しいですものね。
 だから早く……考えることをやめちゃいましょうね」

どういう意味か、わからなかった。
振り向いて、鈴音の顔を見たかった。
彼女がなにを言おうとしているのか、知りたかった。
だけど抱きつかれているせいで、できない。
それに……伊織ちゃんから目が離せなかった。

どうして眠っているんだろう…?
こんなに無防備に眠りこけて……。
あ……足がだらしなく開いてる……。
パンツも見えそうで……あぁ……そうじゃない……。

「お兄さん……まさかとは思いますけど、
 川村先輩の寝てる姿に興奮してるんですか?
 みっともない自分が嫌で、私から逃げたくて。
 そんなことを言う癖に、やっぱりここを膨らませてるんですか?」

鈴音の手が服の上から股間をさする。
数時間前に大量に射精したはずなのに、
そんなこと忘れたみたいに勃起してしまう。

「ね……教えてあげましょうか?
 これが……お兄さんの本性なんですよ。
 お兄さんはきっと、こう思っていたんでしょう?
 私に遊ばれて、自分が堕落していく気がして、
 ただ気持ちいいことを求めるだけのデク人形になるのが怖い。
 でも……違うんですよ。
 お兄さんは最初からどうしようもない人なんです。
 品性とか倫理観のかけらもない、最低の屑」

鈴音の言葉が頭のなかで反響する。
身体がじわりと温かくなってくる。

「だから自己嫌悪する必要なんてないんですよ。
 自分に絶望して、なにもかも諦めて、私の言うことだけを聞いて。
 なにも難しいことを考えない、
 本当のお人形さんになりましょう……」

いつのまにかペニスが取り出されていた。
鈴音の指先がやんわりと竿を撫でる。
全身が痙攣したように震える。
一撫でされるたびに、脳が少しずつとろけていく。

僕は……僕は………ぁ……なんだ…った……?
あぁ……鈴音の指がすべすべで…気持ちいぃ……。
眠ってる伊織ちゃん……手足がだらんってなって……。
あの手や足にこすりつけたら……気持ち良さそう…。

「そう、いい子ですね……お兄さん。
 お兄さんみたいな人は、なにも考えちゃだめなんです。
 自分が嫌になって、最後には死んでしまうだけ。
 だから……考えることをやめましょう。
 私が永遠にお兄さんを愛でてあげますから」

その言葉を聞くと同時に……射精していた。
糸を引きながら精液が飛び、
眠っている伊織ちゃんの頬や髪にかかる。
射精しながら、腰ががくがくと震えつづける。

「ん……出しちゃいましたね。
 いいですよ、怯えなくても。怒ったりしませんから。
 今日はたっぷり先輩を汚していいんですよ。
 さっきジュースに薬を入れておいたから、
 しばらくはまず起きません。
 ああ、といっても……挿入したりしたら起きますよ?
 なにをしても起きない、なんて都合のいい薬じゃないですから。
 でも……」

手についた僕の精液を舐めながら、
鈴音が伊織ちゃんに近づく。
ブラウスのボタンに手をかけ、一つずつ外していく……。
胸の谷間が見えて……やがて白いブラがのぞく。

「こうやって脱がせても、触っても……起きませんよ。
 お兄さんなら、それでいくらでも射精できるでしょう?
 さ、こっちに来てください」

下半身を露出させたまま、伊織ちゃんに近づく。
出したばかりなのに、またペニスは固さを取り戻してた。

「先輩も、今日はお兄さんと同じお人形さん役です。
 それもお兄さんを気持ちよくしてあげるためだけの、
 やわらかくて、やらしいお人形。
 ……ほら、こんなこともできますよ」

鈴音は伊織ちゃんの髪の毛をすくいとり、
ペニスにゆっくりと巻きつける。
さわさわとした感触が、肉棒全体を包む。
こぼれた毛先が陰嚢のしわをなぞる。
かすかにシャンプーの香りがする。

「数時間前に、こうやって髪でされるのを想像しましたよね?
 さらさらの髪の毛でしごかれるの……いいですか?
 お兄さんの夢を、私がなんでも叶えてあげますよ……」

細い髪の毛が裏筋に入り込む。
ちくちくするようなかすかな痛みと、
それを上回るぞくぞくとした快感。

鈴音がすこし髪を乱暴に扱っても、
伊織ちゃんは少しも起きる気配を見せない。
幸せそのもののような安らかな寝顔と、
その髪にペニスを巻きつけている自分。
そして楽しそうに笑っている少女。

「透明なの、いっぱい出てきましたね。
 ふふ……これが髪にくっついちゃうところまで、
 さっきとおんなじですね。
 きっと先輩、家にかえって不思議に思うんでしょうね。
 変な匂いがするなぁ…って。
 もしかしたらアルバイトで疲れてるから、
 髪を洗わずに眠っちゃうかもしれませんね。
 そしたらお兄さんのがほっぺたや唇についちゃいますね。
 ……それとも」

髪の毛がペニスから離れる。
かわりに……ゆっくりと僕の手が引かれる。
腰が少しずつ、伊織ちゃんの顔に近づいていく。

「それとも、いま直接くっつけたいですか?」

ペニスの先端が、色白な頬に当たる。
んっ…と少しだけ彼女が身をよじる。
カウパーが頬に透明のきらきらした線を引いていく。
ふにふにとした感触がたまらない。

「……ぁ……ごめ……」

謝りながら、でも我慢なんてもうできなかった。
頬の上にペニスの先端を押しつけたまま、
円を描くようにして必死に肌の感触を味わう。
ぬるぬるが頬に広がっていく。

「だから謝らなくていいんですよ、お兄さん。
 罪悪感とか、後ろめたさとかはぜんぶ捨てて。
 気持ちよさだけ感じて……なにもかも忘れちゃいましょう。」

鈴音が、伊織ちゃんの力なく垂れ下がった右手を持ち上げる。
指先で撫で上げるように亀頭の裏をさする。
快感に耐え切れなくてペニスが揺れる。
頬からずれた先端が唇に当たって。

「……ぁ…ぁ………あ…っ…!」

一瞬亀頭が膨れ上がり、破裂するように射精する。
唇にくっついたままの尿道口から、
行き場をなくした精液がぶちゅっ…びちゅっ…と
濁った音を立てながら溢れ出す。

「ん……っ……」

伊織ちゃんが、眠ったまま顔をしかめた。
心臓が跳ねる。

だけど彼女は起きることなく……かわりに精液を飲み込む。
眉をひそめたまま、それでも喉がかすかに動くのがわかった。

「飲まれてますね……お兄さんの精液。
 昨日は体操服にびゅーびゅー出してましたけど、
 今日はちゃんと飲んでもらえてよかったですね」

唇からこぼれた精液が、あごを伝ってぽたぽたと落ちる。
鎖骨に落ちて、それから谷間へすべり落ちていく。

「せっかくだから……こっちも使いましょうか」

手を引かれて、スカートのなかにペニスが導かれる。
伊織ちゃんの両脚に腰かけるようにして、
ペニスをスカートの奥に差し込んでいく。
スカートとショーツのあいだに肉棒が半ばまで隠れる。
先端にかすかにざらついた布地が当たる。

「入れるのはだめですよ。
 けど……くっつけて出すぐらいは大丈夫」

そうしなさい、と言われているようだった。
腰を動かすと、あっというまにまた射精感が駆け上ってくる。
舌の根がひくつく。

鈴音がくすくす笑いながらスカートをときどきめくる。
精液にまみれたペニス越しに、ちらりと白い下着が見える。

それだけで……射精してしまう。
スカートの布地が裏側から噴出した精液に押されて、小さく揺れる。
それから布地にじんわりと染みが広がっていく。

もちろん下着にもたっぷりと精液がこびりついてる。
そのあたたかい粘液がパンツに吸収されていくのが、
ペニスの裏筋でじんわり感じられる……。

「もう何度目の射精か、分からなくなってきましたね。
 でも……せっかくですからね。
 先輩ならではのここも使ってみましょうか」

すでにはだけていたブラウスを、鈴音がさらに左右に開く。
ブラに包まれた大きな胸が露わになる。
さっき顔にこぼした精液が、谷間をゆっくり落ちていく。
やがて両胸の隙間から薄まった精液が流れ出て、
おへそに溜まっていく……。

「ほら……使ってください」

鈴音が伊織ちゃんの胸の下に手を入れて、
その巨乳を持ち上げる。
乳肉がたわんでブラからこぼれ落ちそうになる。

「最初見た日から、ずうっと気になってたんですよね?
 おちんちんをこすりつけたくて、こすりつけたくて。
 頭のなかで何度でもおっぱいを犯したんですよね。
 いいんですよ……お兄さんはそういう人なんですから。
 私は軽蔑したりなんてしませんよ……
 お兄さんが素晴らしい人だなんて最初から思っていませんから。
 いまさら軽蔑しようがないんです……分かります?
 ようするに、お兄さんがやりたいように、自由にすればいいんです」

僕は……もうなにも言わなかった。なにも考えなかった。
催眠術にかかったように、ペニスを突き出す。
またすっかり勃起したそれを乳肉に押し当てる。

亀頭の形におっぱいがへこんでいく。
むにむにとした感触が先端を包む。
自分の身体が溶けて床にくずれていく気がする。
頭の中がやわらかさでいっぱいになる。

「そう、もっとぐちゅぐちゅにしちゃいましょう。
 ほら、先輩も喜んでるみたいですよ?」

伊織ちゃんは楽しい夢でも見てるのか、
少し微笑んだまま眠ってる。

巨乳にさらにペニスをこすりつける。
カウパーと精液の入り混じった液体が、
おっぱいのあちこちをべとべとに汚す。

ブラが亀頭でめくれて乳首が露出する。
裏筋に乳首を押し当てるようにして腰を動かす。
ブラが竿に優しくこすれる。射精する。

かすかに固くなった乳首が裏筋をこするたびに、
スイッチを押されたみたいに精液が噴出する。
あったかくてやらかい乳肉に精液が吐き出される。

こぼれた精液が、ブラのなかに溜まっていく。
そこからも垂れ落ちた白濁液が、
さらに紺のスカートにぽたぽたとこぼれる。

精液のむせ返るような匂いが鼻をつく。
自分の呼吸音がひどくうるさい。
だけど、とても満ち足りた気持ちだった。
 
 
 
やがて……射精がすっかり終わるころには、
部屋の中はとても静かになっていた。
伊織ちゃんの寝息だけが、すぅ…すぅ…と響く。

僕は床にくずれるように座り込み、
快感の余韻に浸りながら放心していた。
なにも考えられなかった。
なにも考えたくなかった。
これでいい……と感じていた。

鈴音が立ち上がり、近づいてくる。
小さな手のひらで僕の頭が撫でられる。
形の良い唇が耳元に近づく。
……優しい囁きが聞こえる。

「そう……これでいいんです。
 なにもかも捨てて。忘れて。
 そうやって私のおもちゃ箱の中に入りましょう。
 私の言うことだけを聞いてくれる人形になりましょう。
 私がずうっと欲しかったお人形さんになってください。
 言うことを聞いてくれたら、これからも遊んであげます。
 おもちゃ箱のなかに、ほかのお人形をたくさん入れてあげます。
 たくさんの可愛いお人形さんと、色んなことができますよ。
 私のお人形さんでいるかぎり…………」

END