奉仕のお値段

「射精一回につき一万円。
 それでどうでしょう――ご主人様」

あの日、そう提案してきたのは、怜奈(れいな)の方からだった。
僕のメイドとして……いや、奴隷として買われた女の子。
親の借金のせいで、誰かに仕えることを強制された十代の少女。
そして、僕が一目惚れしてしまった女の子。
 
自分よりずっと年下の少女からの提案に、あのとき僕はうなずいた。
うなずいて、しまった。
快楽をもらうかわりに報酬を支払う、と契約を結んでしまった。
それがもう……半年前のことだ。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「おはようございます、ご主人様。
 ……ん、なにか夢でも見てましたか?
 まだ寝ぼすけさんの目をしてますよ、ふふっ…♪」

怜奈が優しく笑う。
……僕のペニスを撫でながら。

彼女はベッドの縁に腰かけてた。すでに学校の制服に着替えてる。
一方で、僕はまだベッドに横になったまま。
だけど布団はめくられ、寝巻きと下着は膝までずり下ろされてた。

すっかり慣れた手つきで、怜奈がペニスをさする。
手がゆったりと動くたびに、セミロングの黒髪がさらさら揺れる。
セーラー服の胸元で、赤いスカーフも小さくゆらめく。

「今日もおちんちん、すごく元気ですね。
 もちろん、私にとっても嬉しいことですけど…♪」

ペニスの硬さを確かめるみたいに、
怜奈が指先で亀頭をそうっと押す。
途端、鈴口からカウパーがとろり…と溢れる。
たちまち、ほっそりした人差し指ですくい取られる。

「見てください。今日も透明なの、こんなにたっぷり……。
 これを、私の指にもたっぷりと絡ませて」

さらにカウパーをすくい取りながら、怜奈が指同士を擦り合わせる。
ついで、僕に見せつけるように手を開く。
白くて長い指のあいだに、ねちょり……と糸が引く。

「ご主人様のおちんちんを気持ち良くするためだけの、
 奴隷のおててになっちゃいましたよ?
 さっそく使ってみましょうか…♡」

ためらいひとつ見せずに、怜奈がペニスに触れる。
扱くというよりも、なぞるような優しい動き。
女の子の指のやわらかさをペニスに覚えさせるみたいに、
ゆっくりと何度も撫でられる……。

(……………ぅ……)

ペニスの根元に、とろり…とした快感が溜まる。
射精したい……このまま怜奈の指にどろどろを吐き出したい。
頭を真っ白にしながら射精したい……。
その気持ちがどんどん強くなる……。

「ん、ご主人様……射精したくなっちゃいましたか?
 無駄ですよ、隠そうとしたって。
 お顔の表情でも、おちんちんの動きでも丸分かりです。
 いつでも、びゅーってしていいですからね♪」

「……ぅ………で、でも………」

ほとんど反射的に、彼女の甘い誘いを断ろうとしてた。
まだ頭は半ば寝ぼけてるのに、口が勝手に動いてた。
この数ヶ月で身についてしまった反応。

「……我慢するなんてだめですよ?
 朝ご飯だって冷めちゃいますし、私も学校に遅刻しちゃいますから。
 ご主人様と違って、私は忙しい身なんですから。
 だから……素直になってくださいね?」

怜奈が微笑むと同時に、その指が裏筋に触れる。
びくっ…!と身体ごと跳ねた。ベッドがぎしりと鳴る。

「ふふっ、いまのは素直な反応でした。
 とっても、えらいえらーい、ですよ…♪
 ご褒美に、いっぱい撫でてあげます」
 
怜奈の手が、するり…と亀頭に移動する。
ぬるぬるにまみれた五本の指で、カリ首の縁を撫でる。
まるで子供の頭を撫でるような優しい手つきなのに、
背筋がぞくぞくと震えて止まらない…っ。

「いい子、いい子…♪
 どぷどぷーってお漏らししたら、もっといい子ですよー。
 ほら、おちんちんの先っぽから、びゅーってするんですよ。
 ここからですよ、ここから……♡」

ふーっ、と怜奈が息を吐く。
鈴口に吐息が吹きかかる。
ほんの一瞬、ひやりとして。
それから女の子の吐息で、あたたかく湿ってく。

「……ひ……ぅ……っ………」

「で、びゅーびゅーするのが溜まってるのはこっち…♡」

ふーっ…♪と、今度は陰嚢に息が吹きかけられる。
くすぐったさに身体の力が抜けていく。

「眠ってるあいだに、たっぷり溜めてくださったんですよね。
 奴隷の手に、どぷどぷ吐き出すための精液…♪
 いっぱい出してすっきりしましょうね。
 おちんちんの中を通って、どくどくーって出すんですよ。
 こんなふうに……♡♡」

また、怜奈がふーっと息を吐く。
小さな唇からこぼれた吐息が、竿を下から上へとなぞってく。
まるで……精液の通り道を示すみたいに。

「…………っ……」

ペニスが一際強く跳ねる。
射精感が一気に膨らむ。
このまま、たっぷりと精を吐き出す気持ち良さを、身体が想像してしまう。
でも……そしたら僕はまた怜奈に………。

「いま射精したら、すごーく気持ちいいですよ。
 年下の女子高生のおててに、びゅーって…♡
 このチャンスを逃したら、学校から私が帰るまでお預けですよ。
 そんなの……辛いですよね?
 だから、いまのうちに一回射精しちゃいましょう?」

怜奈が続けて「一回ぐらい構わないじゃないですか」と囁く。
それは……嘘じゃない。
一回ぐらい、構わないはずだ。
だけど、そう自分に言い訳して、僕は昨日も、一昨日も、その前も……。

「…………♡」

怜奈が僕を見つめたまま、黙って……胸元のスカーフをほどく。
セーラー服の胸元がゆるむ。胸当ては外されてる。
乳房の膨らみがはっきりと見える。
巨乳というわけじゃないけど、しっかりと大きさはあって。

「くすっ……もう、見すぎですよ、ご主人様。
 あ、でも見ちゃだめと言ってるわけじゃないですよ?
 むしろ、こんなこともしちゃいますけど…♪」

セーラー服の襟首に、怜奈が指を引っかける。
僕の考えがぜんぶ分かっているかのように、
ゆっくりと胸元を広げてく。

ブラはつけていなかった。
真っ白で張りのある乳房がどんどん露わになる。
怜奈が少し頭を落とす。
僕を見上げて、楽しそうに微笑む。
乳首まで、いまにも見えそうで。

「私にはちゃーんと分かってますよ?
 もうここまで来たら引き返せませんよね……♡」

やわらかい指先が、カリ首を丹念に擦りつづける。
亀頭全体が、じんじんと熱く痺れる。
それを冷ますみたいに、裏筋に、ふーっ…と息が吹きつけられる。
快感が波のように一気に広がる。
射精感がぱんぱんに跳ね上がる……っ…。

「ご主人様、出しちゃっていいんですよ。
 だって私は……ご主人様の奴隷なんですから。
 この手も、この足も……ぜんぶ、ご主人様のものです。
 ああ、それからもちろん……このおっぱいも♡♡」

怜奈が襟首をさらに引き下ろす。
白くて綺麗なおっぱいと、その先っぽまで見えて。
ペニスの根元がきゅっ…!と収縮する。
精液が尿道に流れ込んでくる……っ…。
ふわり…と、気持ちいい感触がペニスに触れる。
赤いスカーフが亀頭を包んでて。それで。

……びゅくっ……! びゅぶ……びゅるっ………どぷ…っ……!

赤く透けたスカーフの中に、精液が迸る。
薄い布地越しに、白く粘ついた液が溢れてるのが見える。

「ふふっ……ごめんなさい、ご主人様。
 さすがにそのままだと、制服にまで飛びそうだったので、
 スカーフで蓋しちゃいました。
 あ、でも……こういうのもお好きですよね♡」

亀頭をくるんだスカーフを怜奈がそっと動かす。
どぷ……どぷりっ……と、精液の塊が吐き出される。
布地がたちまち濡れてじっとり重くなる。
さらさらだったスカーフが、うなだれるように垂れていく。
自分がどんなに大量に射精したか、思い知らされる……。

「………はい、これで全部ですね♪
 お疲れ様でした、ご主人様」

ペニスの律動がすっかり収まるまで待ってから、
怜奈がスカーフを外す。
まだ汚れていない部分を使って、
ペニスについた精液の汚れを拭きとってく……。

「スカーフのことはご心配なく。
 予備がちゃんとありますから。
 それよりも――」

怜奈がベッド脇にあった手帳を拾う。
ふんわりと微笑んだまま、僕に差し出す。

「ちゃんと一回分、付けておいてくださいね。
 忘れちゃだめですよ、ご主人様…♪」
 
 
 
     * * *
 
 
 
一年ほど前――僕は小金持ちになった。
気まぐれに作ったアプリが偶然にもヒットし、
大きな企業が買収まで持ちかけてきた。
トントン拍子に話が進んで、かなりの額を手に入れた。

だけど根が小市民なのか、豪遊する気にはなれなかった。
残業続きだった会社を辞めはしたけど、それぐらい。
しばらく、のんびり暮らそう、なんて思ってた。

ただ……妙な誘いがしょっちゅう来るようにはなった。
怪しげな投資や不動産事業など、大半は詐欺の臭いのするものだ。
とにかく面倒で、話が来るそばから全部断った。
……一件だけを除いて。

その誘いを一言で表せば、現代風の奴隷売買だった。
ある少女の親の借金を肩代わりするかわりに、その子を自由にできる。

胡散臭い、と思った。当然だ。
でも……その説明をされている途中で、僕は写真を見てしまった。
怜奈の写真。一目惚れだった。
気づけば、僕は書類にサインしていた。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「…………ん……」

ソファから身体を起こす。
一人で昼食をとったあと、少し眠ってしまったみたいだ。
時計を見ると、もう夕方近かった。
普段なら怜奈が帰ってくる頃だけど、今日は少し遅くなると聞いていた。

洗い物でもしようか、と思って
僕がすると怜奈が怒るんだったと思い出す。
最近の彼女の口癖は「私の仕事を取らないでください」だった。

たしかに僕は、怜奈にそういう仕事も与えてた。
というか、それがもともとの約束だった。
一通りの家事をお願いしたい、と。
小市民な僕に言えた、精一杯の命令だった。
大金を払ったから、奴隷だから、と無茶なことは言えなかった。

「………………」

立ち上がり、なんとはなしに廊下に出る。
怜奈の部屋のドアはわずかに開いてた。
窓からの光で、部屋は薄明るい。

室内に足を踏み入れる。
いけないことをしている、とは思わない。
入っていい、と怜奈から許可をもらっていたから。
いや、というよりもむしろ……。

部屋はほぼ綺麗に片付けられてる。
だけど……ベッドの上には予備のセーラー服とスカートが広げてある。
タンスは少し開いていて、折り畳まれたショーツやブラが見える。
青やピンク、緑や白などの色とりどりの下着。

まるで、僕が入ってくることを予想……期待していたような空間。
女の子の匂い、としか表現できない、
ほのかに甘い匂いも充満してる。
見えない怜奈に抱きつかれてる気分になる。

――怜奈は、いつも僕にこう言っていた。

「私の部屋にあるものは、自由に使ってくださいね。
 だって、奴隷のものはご主人様のもの、なんですから。
 ……あ、でも♪
 射精したらお支払いはしてくださいね?」

射精したら報酬を支払う。
……それは、彼女から僕に持ちかけてきた追加契約だった。

彼女に気持ち良くしてもらえる。
だけど、そのたびに彼女を一万円ずつ自由にする。
僕が怜奈を手に入れるのに使った金額に達したら、
彼女は完全に自由になる。
つまり……僕の元からいなくなってしまう。

(だから……)

欲望に溺れちゃいけない、と自分に言い聞かせる。
たとえそれが、何百回も、何千回も先のことだとしても
毎日馬鹿みたいに射精を繰り返していたら、
すぐに終わりが来てしまう。

昨日も、一昨日も、いったい何回出してしまっただろう。
今朝だって、また一回求められるままに射精してしまった。
もっと自分を抑えないと……。

(………けど)

視界の隅で、下着がちらつく。
怜奈が穿いているショーツや、胸に密着させてるブラ。
良い匂いがすることも、すべすべで肌触りが良いことも、よく知ってた。
もう何度も使ってしまったから……。

ペニスが疼く。
大好きな女の子の服や下着でオナニーするのが、
どんなに気持ち良いか分かってる。
怜奈自身にしてもらうのともまた違う、
背徳的な……自分のみっともなさをさらけ出すような快感。

かくん、と足の力が抜ける。
タンスの前に膝をついてしまう。
手が伸びてしまう。
引き出しから少しはみ出している、ピンクのショーツを撫でてしまう。
つるり…とした繊維を感じた途端、背筋が震える。
ズボンの中でペニスが跳ねる……っ…。

(この………まま……っ……)

怜奈のショーツでまた射精してしまいたい。
すべすべの下着に、どっぷりと精液を吐き出したい。
その思いで、頭がいっぱいになっていく。
……ぅ……で……も………っ……。

怜奈が一歩、僕から遠ざかるイメージが浮かぶ。
主従関係がなければ、彼女が僕のそばにいる理由なんてない。
彼女が自由になったら、いなくなってしまう。
それは……それだけは…………。

「…………っ……!」

唇を強く噛みしめて、痛みで理性を引き戻す。
タンスの引き出しを閉める。
立ち上がる。
怜奈の部屋を出て、前かがみのまま自室に転がり込む。

つけっぱなしだったパソコンの前に座る。
机の引き出しから、オナホールとローションを取り出す。
先日、こっそり買ったものだった。
これなら……怜奈で射精したことには、ならない。
いまは、そうするぐらい、しか……。

ズボンを引き下ろしながら、パソコン上でゲームを立ち上げる。
可愛い声がして、ヒロインがタイトル画面に現れる。
どこか怜奈の面影がある女の子を見ながら、
回想メニューに入る。シーンを選ぶ。

『御主人様ったら、またですか?
 もう、しょうがないですね…♪』

画面の中で、メイド服を着た女の子が、
主人である男性のズボンに手をかけ、ペニスを取り出す。

僕はといえば、かわりにオナホにローションを注ぐ。
ぐちゅ…ぐちょ…っ……と、粘ついた水音が響く。

『でも、えっちな御主人様も大好きですよ…♪
 私の中にいっぱい出してくださいね』

ゲームの中で、怜奈に似たヒロインが主人公を押し倒す。
主人公の腰の上にまたがって、ショーツを指でずらす。
一気に挿入する。

シーンに合わせるように、オナホールにペニスを押し込む。
びちゅっ…!という水と空気が破裂する音。
ついで、ぬちゅ……ぬちゅり……と、ひだが絡みついてくる。

『んっ……あったかい……♪
 ひくひくして……私の中で喜んでくれてます……』

ローションで濡れたオナホのひだが、
カリ首や裏筋を丹念に撫でていく。
ぬるぬるの刺激に、頭の芯がじんじんと痺れる。

だけど。
無意識に、数分前に想像した気持ち良さと比べてしまう。
怜奈の下着を触ったときに思い描いた、身震いするほどの快感。
あれに比べたら、これじゃ………。

絶頂がなかなか近づかない。
必死にホールを前後に動かす。
オナホの中は、ぬかるんで熱くて、たまらないのに。
なのに、なかなか射精感が膨らまない。
ペニスは痛いほどに勃起してるのに。
なのに………っ……。
 
 
「――なーにしてるんですか、ご主人様♪」
 
 
うなじに、優しいあたたかさが触れる。
怜奈が、いた。
座っている僕に後ろから抱きついていた。

「早く終わったから帰って来てみれば……。
 えっちなゲームに……これは、オナホっていうのですね?
 いつのまにこんなの買ってたんですか♪」

怜奈の吐息が、耳に吹きかかり、首筋をつたい落ちる。
ほそく長い十本の指が、オナホールを掴む。
オナホが小さく上下に動かされる。

「………ひ……ぁ……っ……!」

強烈な快感に、腰が小さく浮いた。
がくがくと膝が震える。
さっきまでと同じ刺激のはずなのに。
怜奈に動かされるだけで、まるで違ってた。

「くす……なんですか、その声♪
 オナホでおちんちん扱くの、そんなにいいんですか?
 これなら、私に頼らなくても一人で射精できるーって、
 そう思って買っちゃったんですね。
 でも残念でした、私に見つかっちゃいましたよ…♡」

そう話しかけてくるあいだも、怜奈の手は動いてる。
オナホが興味深いのか、前後に動かすだけでなく、
全体をぐにゅっと圧迫したり、回転させ…たり……っ…。

「……く……ぅ…っ……怜奈、や……め……っ……」

「ふふっ、どうしてそんなことおっしゃるんです?
 だって、ご主人様はオナニーの途中だったんですよね。
 だったら、ちゃんと最後まですっきりしないと」

オナホを動かしながらも、怜奈が僕の横顔を見つめてる。
最初はなにかを観察するみたいに、
それから……なにかを納得したみたいに、にんまりとうなずく。

「うん、オナホの使い方、分かってきたかもです…♪
 まずは……えっと、このあたり、ですね」

オナホの上から、亀頭が押さえつけられる。
ひだが、カリ首の縁にぴったりと当たってるのが分かる。

「ほら、ぞーりぞり……♡」

怜奈の明るい声に合わせて、
ローションまみれの無数の溝がカリ首を擦ってく。

「ん……ぅ……っ……!」

いきなりの強すぎる刺激にペニスが逃げ場を探して、
でも、狭くぬるんだ穴の中にそんな場所はなくて。
それに裏筋のところも、しっかりと押さえつけられてて。

「今度はこっちも……くちゅくちゅー♡」

裏筋のところに、ゴムでできた膣壁がぎゅっと押しつけられる。
そのまま、粘液に濡れたひだが吸いついて、這い回って……っ…。

「わ、中ですごいびくびくしてます。
 オナホ使っても、ご主人様の弱いところはおんなじですねー。
 あとは……そうですね、このあたりとか♪」

オナホがぎゅっと押し潰されたかと思うと、亀頭に密着する。
ぱんぱんに膨らんだ亀頭表面を磨くみたいに、
ホールの内側がぬりゅぬりゅと擦りつけられる……!
まるで、オナホの中が透けて見えてるみたいな的確な動き。

「……ぁ……なん……で………こんな…に……っ……」

「ふふー、なんでこんなに気持ちいいのか、でしょうか。
 そんなの、当然ですよー。
 だって何回、ご主人様の性欲処理をしたと思ってるんですか。
 直接触らなくたって、見えなくたって、
 ご主人様のおちんちんの様子ぐらい、丸分かりです♪」

喋りながら、焦らすようにオナホの動きがゆっくりになる。
快感を引き延ばすみたいに、ペニス全体をねっとりと扱く。

「朝も夜も、ときにはお昼や夕方も。
 何度も何度もご主人様のおちんちんをしこしこして、
 ぺろぺろ舐めて、太ももに押しつけて…♡♡
 あんなにいっぱいしてたら、
 おちんちんの形も、大きさも、ぜんぶ覚えちゃいますよー。
 ほーら、こんなふうに…♪」

怜奈の指が、輪を作るようにぎゅっとオナホを絞り込む。
押し潰されたオナホが、これ以上ないくらいに亀頭に密着する。
怜奈の手が動く。ずりずりと擦られる……!

「う……ぁ…ぁ………っ…!」

腰の奥がどくどくと脈打つ。
精液がペニスの根元に流れ込もうとしてる。

「くすっ……ご主人様のおちんちんを知りつくしたオナホコキ、
 とってもいいですよね…♡
 これは、ご自身でなさってたら味わえない気持ち良さ、ですよ。
 だから――ちゃんと一回に数えちゃいますから」

一瞬、心臓がとくんと跳ねる。
だけど、我慢ができない……我慢しようとすることさえ、できない。
唇を噛もうとしたけれど、口元に力が入らない。
はっ…はっ……と、情けない息がこぼれるだけ。

「あ、もうおちんちんからびゅーってすることしか
 考えられなくなっちゃってますね?
 可愛い、可愛いご主人様です。
 じゃ、たっぷり射精しちゃいましょうねー」

オナホを包む怜奈の手に、そっと力が込められる。
やわらかくペニスが包み込まれ、また扱かれはじめる……。

「くちゅくちゅ、ぬちゅぬちゅ…って、えっちな音ですね。
 本当に女の子のあそこに入れてるみたいな…♪」

オナホの動きが少しずつ早くなる。
竿の根元から、精液を甘く押し出すような動き。

「出すとき、想像したら気持ちいですよ?
 女の子の中に、どくどく精液をいっぱい注いでるんだーって…♡」

髪の毛が、僕の耳や首筋をくすぐる。
怜奈の匂いがする。

「でも……くすっ、申し訳ありません…ご主人様♪
 いまのは少しだけ、言葉足らずだったかもしれません。
 ちゃんと言い直しますね」

耳元で囁かれる。

「私の中に射精する想像、しちゃっていいですよ……♥」

「……ぁ……ああぁぁあぁ…ぁ…っ……!!」

どぷり、どぷり…っ…!とオナホの中に精液が迸る。
無意識に目を閉じてた。
怜奈の匂いと体温を感じながら、ペニスが脈打つ。
怜奈の中に、大好きな女の子の中に、精を放つ。

「ふふっ……ん…………んむ……っ…♪」

耳元に心地良さが走る。
耳たぶを、甘噛みされてた。
怜奈の唇が、はむ…はむ…と、僕の耳を優しく噛む。
ペニスがまた跳ねる…っ。

「ん……ふふっ………ん……っ……♪」

オナホールがにゅこにゅこ…と動かされ続ける。
ペニスに重く粘ついた快感が絡む。
ゆっくりと性器が溶かされていくような気持ち良さ。
頭の中まで、どろどろに溶けていく。
目を閉じた暗闇のなかで、意識が、にじんで……く………。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「はいっ、ご主人様。
 また一回分、付けておいてくださいね♪」

僕の座っている椅子がくるりと回され、怜奈の方を向く。
制服姿の怜奈が、開いた手帳を差し出す。
ペンと一緒に受け取り、今日のところに書き足す。
……本日二回目の、射精の印。

手帳を返すと、にこにこと怜奈は受け取る。
行為を済ませたからといって、彼女は態度を変えたりしない。
いつだって、そうだった。
射精をねだる、甘く優しい奴隷でいつづける。

――でも。
でも……それはきっと怜奈の本心じゃない。
ただ、そういう顔を見せておいた方が、
僕からたくさん精を搾り取ることができるから。
きっと、それだけ。

だけど……もしかしたら。
もしかしたら、本当に僕のことを……。
……いや、そんなはず……ない。

何度考えたか分からない、堂々巡りのループ。
そして、いつも同じ結論に辿りつく。

あの日、うなずいていなければ。
快楽と報酬を引き換えにすると言わなければ。
本当の怜奈を、知ることができたかもしれないのに。

「ところで、ですね」

怜奈が不意に呟いた。
どこか……少しだけ面白がってるような感じの声。

「ご主人様は……私に好きって、言ってほしいんですか?」

「…………!
 な……なに、言っへ……っ……」

自分でも分かるぐらいに、声がうわずってた。
恥ずかしさで顔が熱くなる。
だけど、それ以上に困惑する。どうして急にそんなこと……。

「だって、ですよ」

怜奈が、机の上に手を伸ばす。
パソコンのスピーカーのつまみを回す。
再生したままだったゲームの音声が、室内に大きく響く。

『……好き…………御主人様、大好き……ぃ……♪』

「この女の子も……奴隷、いえメイドさん、でしょうか。
 ご主人様呼びしながら、えっちなこと、してますよねー。
 しかも、好きとか、大好きとか、愛してるとか、いっぱい叫んで…♪
 これでオナニーなさってたということは、
 そういうのがご主人様の好みだったのかな、と思いまして。
 だったら、私もそうした方が効率よく」

「い……いらない……っ……!」

とっさにそう叫んでた。
自分でもなんで叫んだのかよく分かっていなかった。
だけど、勝手に言葉が口を突いて出てくる。

「……嫌だ。そんなのは嫌だ。
 そんな……作りものの言葉なんて………。
 僕は……そうじゃ、なく……て……………ぁ………」

そこまで言って、気づく。
これじゃまるで……怜奈に告白してるようなもので。

「私、ご主人様のこと好きですよ」

「え……」

怜奈が微笑んでた。
その表情からは、やっぱり本心は窺えない。

「ふふっ、なんですか。きょとんとして♪
 いま、好きなんて言われたくないと、おっしゃったばかりですよ?
 嫌だ嫌だって、ちゃんと拒否してくださーい」

くすくすと笑いながら、怜奈が僕の両脚をまたぐ。
僕の頭を抱きしめるようしながら、太ももの上に座り込んでくる。

お尻のむにっとした感触が、僕の両腿の上に広がる。
怜奈の部屋で嗅いだ、あの甘い匂いがする。
ペニスがひくっと反応する。

「私……ご主人様のこと、ちゃんと好きですよ?
 でないと……こんなことしませんよね」

怜奈の手が、僕の股間に伸びる。
オナホは外されてたけど、まだペニスは露出したままだった。
少女の指が、陰毛を楽しそうにかき混ぜる。

「けど、怜奈は……お金のため、に……」

「ふふっ、そうですね。お金のため、でもありますね。
 自由になりたいから、とも言えますけど。
 でも、それとご主人様を好きなこと、両立できないものですか?」

僕に問いかけるみたいに、指先がペニスを優しく叩く。
血が流れ込む。あんなに出したのに、また勃起する。
射精したい、という欲求がじわっと湧いてくる……。

「じゃあ、逆に……私から質問です。
 ご主人様は……私のこと、好きなんですか?」

「………………うん」

驚くほど素直に、うなずいていた。
怜奈が、はにかむ。

「とっても嬉しいです。
 でも……追加でもうひとつ質問しちゃいます。
 ご主人様は、私にえっちなことされるの、大好きですよね?」

こくっ、とまたうなずいてしまう。
子供みたいに素直に。

「なるほど、私のことが大好きで、でもえっちなこともされたい。
 とってもワガママなご主人様ですね…♪」

僕の両脚に座り込んだまま、怜奈が身体を寄せてくる。
ペニスがスカート越しの下半身に擦れる。
プリーツスカートのひだが、竿をそっと撫でる。
腰の奥が、どんどん熱くなる……。

「じつは私も……ご主人様とおんなじ、です。
 私、とってもワガママなんです…♪
 ご主人様のことが好きだし、自由にもなりたいんです」

スカート越しに、怜奈の秘所が押しつけつられる。
幾重もの布地越しでも、ふにふにした柔らかさが分かる。
ペニスが跳ねる。少女の下腹部に、亀頭を押しつけてしまう。
むにっとした感触が強くなる。

「ご主人様なら……分かってくれますよね?」

怜奈のお尻が楽しそうに揺れる。
スカートの下のショーツが、僕の内ももに擦れる。
つるっとした繊維の感触に、怜奈の部屋で触った下着を思い出す。
スカートの向こうを味わいたくて、ペニスがひくつく。

だけど……怜奈はそれ以上はなにもしない。
ただ、僕の返答を待ちつづけてる。
もしかしたら、僕が答えを返すまで、ずっとこのまま………。

「くすっ……もう一回だけ、お聞きしますね。
 分かってくださいますよね?
 私がご主人様のこと、大好きだってこと…♥」

「……ぁ………分かる……分かる……から……っ…!
 だから……っ……!」

叫びながら、怜奈に抱きついてた。
スカートの少し荒い布地が、裏筋にざらざら擦れる。
快感で目の前がちかちかする。

「ありがとうございます…♪
 それじゃあ……大好きなご主人様のために
 いっぱいご奉仕しないとですね」

怜奈がスカートをめくる。
ピンクのショーツがちらりと見える。
タンスからはみ出ていたものとは違うけれど、
同じようにつるつると光沢を放つ、女の子のパンツ。

「まず、おちんちんはここに仕舞って、と……♥」

めくったスカートが、再び下ろされる。
スカートとショーツの隙間に、ペニスが閉じ込められる。
裏筋にすべすべが、カリ首にざらざらが当たる。
射精感が、いきなり膨らむ。

「……ぁ……ぁ…………あ……怜奈……っ……」

もう出てしまう。出ちゃう。
本能的にそう分かって、怜奈にさらに強く抱きつく。
だけど。

「ふふっ、いくらなんでも早すぎですよ、ご主人様♪
 本当は一回稼げて嬉しいとこですけど、
 大好きなご主人様が情けなさすぎるのも困っちゃうので。
 だから、あとちょっとだけ我慢しましょうねー」

「そん……な……っ……」

腰の奥がぐつぐつと沸騰してる気がする。
もう出したい、出したいのに……っ………。

「そうですね、ほんのちょっとだけ。
 あと十秒でいいから我慢しましょうね…♪
 はい、じゅーう……」

数をかぞえながら、怜奈が僕の後頭部をかき抱く。
かと思うと、頭が引き寄せられる。
怜奈の胸元に、鼻筋ごと顔を押しつける。

「きゅーう……♪
 私のおっぱいを感じて、匂いを吸い込んで。
 それでもうちょっと我慢してくださいね?
 はーち、なーな……」

セーラー服越しだけど、頬におっぱいが当たる。
やっぱりノーブラみたいで、生乳の柔らかさが当たる。
怜奈の匂いが、薄布から染み出てくる気がする。
胸元のスカーフが僕の首筋をくすぐる。

「ろーく……ごー……。
 はい、もう半分まで来ましたよー。
 ご主人様、あとちょっと頑張ってくださーい♪」

怜奈が僕の頭を撫でる。
合わせるように、スカートの上から亀頭をゆっくり撫でる。
腰が浮く。
射精のスイッチが入りそうになる……っ…。

「我慢、我慢ですよー♪
 よーん……」

カウパーがどくどくと大量に溢れ出す。
怜奈のショーツにも染み込むのが分かる。
裏筋に当たるにゅるにゅるとした感触が、どんどん強くなる。

「さーん……。
 あ……そういえば、なんですけど。
 さっき、ちらっと私の部屋を覗いて気付いたんです。
 ご主人様、今日はされなかったんですね。
 私のパンツでのオナニー……♥」

怜奈が腰を押し出してくる。
ショーツが竿全体を包み込みそうなほどに密着する。
下着についたリボンが、裏筋の少し下をくすぐる。

「にー、いーち……。
 きっと、頑張ってパンツオナニー我慢したんですね?
 じゃあかわりに、いま……たっぷり出していいですよ。
 私が穿いてるパンツに、思いっきり……♥♥」

ペニスがスカートの上から押さえられる。
腰がかくかくと動いてしまう。
怜奈のパンツに擦りつけてる……っ…。
彼女の下着を、自分の快楽のためだけに使ってる。
どうしようもなく、そう意識してしまう。
腰が突っ張る。
息が苦しい。息を吸い込む。
怜奈の匂いが、僕の全身に入り込んで。

「ぜーろ♥」

「……あぁぁああぁぁあぁぁ…っ……!!」

びゅぶっ…!どくり…!どぷり…!どぷ…っ…!と射精する。
律動が、終わらない。
どぷ……どぷり…!どくん……どくっ……!

「あはっ……出しすぎです、ご主人様…♥
 パンツにびゅーびゅーなんて、ヘンタイ行為なんですよ?
 せいぜい、いつもなさってるみたいにオナニーですることなのに。
 ゲームの中のご主人様は、女の子とえっちしてるのに。
 なのに、私の下着にどくどくーって。
 本当に嬉しそうに出しちゃうんですから……♪」

怜奈が僕の頭を撫でる。
僕の大好きな女の子が、僕を好いてくれているのだと、
いまこの瞬間だけは信じることができる。

怜奈の背中を抱きしめる。
硬さを保ったままのペニスがまた秘所に擦れる。
全身が怜奈に密着する。
二人の身体の境目が分からなくなって、溶けだしそうな感覚。
射精感がまた弾ける……っ………。
……びゅるっ……!…びゅくっ……どぷっ………とぷり………。

「ここまで出したの、はじめてじゃないですか、ふふっ。
 大好きだって言われて、嬉しかったんですか?
 それとも私に好きって言えて、嬉しかったんですか?
 なんて……気持ち良すぎて頭お馬鹿さんになってて、
 そんなこと分からないって顔ですね、ご主人様…♪」

スカートの上から、怜奈がペニスを撫でつづける。
もう布地のざらざらをほとんど感じられないほどに、
重く粘ついた精液に裏地はまみれてた。
どろどろの快感だけが、亀頭に与えられつづける……。

「こんなにたっぷり射精できたら、ご主人様にとってはお得ですね♪
 忘れないうちに、手帳に記録を……と思いましたけど、
 いまのご主人様じゃ、メモをするのも難しそうです」

怜奈が僕の耳元になにかを囁いてる。
でも……聞こえているのに、頭に入ってこない。
ただ、気持ち良くて……幸せ、で………。
 
 
 
 
 
 
――ね、ご主人様。
もし私が今日言ったことが、全部でたらめだったら。
ただ、ご主人様を利用するための嘘だったとしたら。
そんなふうには……思いませんか?

でもそれも……私もおんなじ、なんです。
ご主人様が私のことを好きだって言ってくれるの、
ただ、もっとえっちなことを私にしてほしいからかもしれません。
そうじゃないって保証、ないですよね。
誰だって嘘つけちゃいますから……それこそ、自分にだって。

……奴隷として買われたはずの私に、
ひどいことをなにも要求しなかった、あの日のご主人様の言葉だって。
ただ、私を操るための方便だったかもしれないって。
そんなふうに怖くなったり、するんですよ?

…………くすっ、やっぱり聞こえてませんね?
ご主人様は、本当に……まったく、もう…♪

END