お別れの魔女

日曜の昼下がり。
玄関の前にいたのは、ずぶ濡れの魔女だった。

「突然、ごめんね。急にどしゃ降りになっちゃって。
 少しだけ、お邪魔させてもらったら……だめかな?」

魔女――と陰で呼ばれてる、クラスメイトの墨川(すみかわ)さんは、
いかにも申し訳なさそうにそう言った。
黒髪の毛先からしずくが落ちるほどに、濡れそぼってた。
冬服のブレザーの分厚い生地さえ、傍目から分かるほどに水を吸ってる。

「だめ……かな?」

さっきよりうつ向きがちに、申し訳なさそうに彼女が呟く。
寒さに耐えかねるように、肩が少しだけ震えてた。

……本来なら、家に上げる理由なんてなかった。
同級生であること以外、彼女とは接点がない。
どうして僕の家を知ってるのかさえ、まるで分からない。

だけど、この状況で追い返すことはできなかった。
雨はますます勢いを強めてて、止む気配がない。
真冬じゃないとはいえ、このままだと風邪を引くだろう。
それは、さすがに気が咎めた……たとえ魔女相手でも。

「……分かった。入って」

玄関のドアを大きく開ける。
墨川さんがゆっくりと足を踏み入れる。
濡れた靴が、ぐしゅり、と音を立てた。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「お風呂……ほんとにいいの?」

「うん、そこまでは申し訳ないし……。
 それに、もしお家の人が帰ってきたら大変でしょ?」

たしかにそうだった。
もし親が帰ってきて、見知らぬ女の子がお風呂に入ってたりしたら、
話がややこしくなるどころじゃない。
こうして僕の部屋に入れてるだけでもどうかと思うのに。

ただ……墨川さんの話し方は、
僕が今日この家に一人だって、最初から知ってたようにも聞こえた。
魔女、という単語がまた頭の中にちらつく。

「悪いけど……これ、どこかにかけてもらっていい?」

椅子に座った墨川さんが、制服のブレザーを脱ぐ。
そのまま下に着ていたセーターも脱いでしまう。
上半身に残ってるのは、もう白のブラウスだけだった。

雨に濡れて、素肌にぐっしょり張りついてる。
白い布地が透けて、肌と……黒いブラが見えてしまってる。
スタイルが良いことは知ってたけど、想像以上だった。
いまは乳房の輪郭まで、はっきり分かる。
とても柔らかそうな巨乳。

……見つめてる自分に気づいて、慌てて目を逸らした。
ごまかすように服を壁にかけ、エアコンのスイッチを入れる。
ほどなくして、あたたかい風が流れ出す。

「これは……あはは、さすがに脱いじゃまずいよね」

冗談めかしてそう言いながら、
墨川さんが自分のブラウスを指で何度かつまむ。
巨乳と黒いブラが、隠れたり透けたりを繰り返す。

「その、このタオル……使って。
 汚れても構わないのだから」

彼女を直視しないようにしつつ、
さっき持ってきたバスタオルを差し出す。
墨川さんは「ありがと」と呟いて、素直に受け取った。
セミロングの黒髪を、タオルで拭きはじめる。

暖房で、部屋があたたまってくる。
墨川さんから蒸発した湿気が、部屋の中に充満してく。
女の子のほの甘い匂いが、どんどん強くなる。

これは……すごく、良くない。
気を抜くと、下半身が反応しそうだった。

「でも、びっくりしちゃった。
 通り雨かと思ってたら、ぜんぜん止まないし。
 ほら、スカートまでぐしょぐしょ……」

スカートの裾が指でつままれる。
水滴がぽたぽたと床に落ちる。
あのぶんだとスカートどころか、たぶん下着まで……。

髪を大きく拭くたびに、胸が小さく弾む。
スカートの端から水を絞るたび、
ショーツが見えそうなほどに太ももが露わになる。
意識して目を逸らしても、すぐにまた視線が戻ってしまう。

ペニスに、うっすら血が流れ込みはじめる。
だけど、自分が興奮してる事実を認めたくない。
目の前にいるのは、魔女と噂される相手なのに。
それに、僕には……。

「なんだか……ぜんぜん喋らないね。
 もしかして緊張してる?」

「……まあ、うん。
 女の子を部屋に上げてるわけだから、どうしても」

はぐらかすように答えた。
一応、嘘は言ってないはず。

「ふふ、そっか。
 ……でも、それだけじゃないよね?
 私が魔女って呼ばれてるの、知ってるんでしょ?」

もちろん知ってたし、その理由も耳にしてた。

墨川さんは――恋人持ちの男性にばかり言い寄る。
美人でスタイルも良いから、大抵の男はなびく。
だけど、そうして元のカップルが破局した頃になって、
墨川さんもその人を捨ててしまう。

それでついた呼び名が、魔女。
あるいは、別れの魔女。

「……聞いたことはあるよ。
 けど、噂は噂だから。
 信じてるわけじゃないから、気にしないで」

当たり障りのない言葉を投げる。
いまはとにかく、この場を穏便にすませたかった。

「噂、本当だったらどうする?」

不意に墨川さんが立ち上がり、僕に一歩近づく。
とっさに後ずさろうとしたけど、背後は壁だった。
彼女の匂いと湿気が、まとわりつく。

「私、本当に……わるーい魔女かもしれないよ♪」

墨川さんが一言喋るたび、吐息が吹きかかる。
吐息が身体をすべり落ち、ズボンの中にまで入り込んでくる。
あたたかい霧にペニスを撫で回されてる気がする。
ペニスがむずむずする……。

「勃起、してるでしょ」

してない、と言い返そうとした。
だけど先に墨川さんの手が、僕の下半身に伸びてた。

彼女の手はまだ冷たくて、
ズボン越しなのに、ほそくて長い指がよく分かる。
ペニスがびくんと跳ねる。
……完全に勃起してしまう。

「ほら、やっぱり。すごい硬い。
 もしかしてだけど……オナニーとかも、
 随分してないんじゃない?」

言われる通りだった。
もう一ヶ月近く、射精自体をしていない。
でも、なんでそんなことまで分かるんだろう。
どこまで僕のことを知って……。

「楽にしてあげようか?」

墨川さんが微笑む。
ついで、少し申し訳なさそうに笑った。

「なんて、ふふっ。
 ちょっと傲慢な言い方だったかな?
 ……言い直すね。
 えっと、すっきりするお手伝い、
 私にさせてほしいんだけど、どうかな…♪」

すりすり…とズボンの上から撫でられる。
墨川さんの優しい声のせいで、
その一撫でごとに愛情めいたものを感じそうになる。
違う、これは魔女の罠なのに……。

「やめ、て……。
 そういうこと、されたって……僕は、誰とも……」

「あ、誤解してるのかな♪
 べつに交換条件とか、そういうのじゃないよ?
 あんまり苦しそうだから、
 ちょっと助けてあげたいなっていうだけ」

ベルトのバックルに手がかかる。
振り払わないといけないのに、身体が動かない。
ジッパーが下ろされる。

ひんやりした手が、下着の中に入り込んでくる。
ペニスが取り出される。
射精しないようにしてるだけで、精一杯だった。

「わ、ほかほかしてる…♪」

ぺたぺた…と、無邪気に性器を触られる。
まだ冷たさの残る指が、
火照ったペニスを楽しげに這いまわる。
背筋がぞくぞく震えてしまう。

水分をたっぷりと含んだ指先が、
竿や亀頭にしっとり吸いついてくる。
小さく撫でられるだけで、
女の子の指のやわらかさがはっきり伝わる。
腰の奥が、ひくひく蠢く。

「私でも、ちゃーんと興奮してくれてるみたい。
 えへへ……嬉しいな」

墨川さんは少し身をかがめて、
亀頭を指先でゆったりと擦る。
つられて、彼女の胸もたぷたぷと揺れる。
黒のレースブラがどうしたって目に入る。

クラスメイトの無防備な巨乳を、
好き勝手に眺めてしまってる。
そんな自分が嫌で嫌でしょうがないのに、
視線がブラと乳房から離れない。

「ね……まだ、やめてほしい?」

人差し指が、裏筋のほんの少しだけ下に当てられる。
とんとん…すりすり…と、甘く刺激される。
だけど、裏筋にはぎりぎり届かない。
もどかしさが募ってく。

あたたまってきた部屋のせいか、
酸素が足りないみたいに息苦しい。
けど息を吸うたび、墨川さんの匂いが肺に染みつく。

「続き、してほしかったら……うなずいてね?
 こくん…って、可愛らしく♪」

ペニスを撫でる指が、だんだんぬるぬるしてくる。
カウパーが垂れてきてた。
指先が今度は、くるくる…と小さく円を描く。
でも、やっぱり裏筋には数ミリ届かない。

はぁはぁ、と息を荒げてる自分が分かる。
腰を思わず、突き出しそうになる。
それでも……うなずいてしまうのだけは拒否してた。

「お、うなずかないんだ? すごいすごい♪
 なら……私も無理強いはやめておくね。
 はい、おしまい」

指先がすっと離れる。
墨川さんが、バスタオルで自分の指をぬぐう。

あっけない幕切れに戸惑う。
まさか、ほんとにそんな簡単に?
いや、でもこれで良かっ――

「あ、でも。
 おちんちんの汚れぐらいは拭いとくね…♪」

バスタオルがペニスに押しつけられる。
じゅわっ…と、水分が布地から押し出される。
甘く瑞々しい匂いが広がる。

「……っ………」

濡れたタオル生地が、竿を優しく圧迫する。
水分がペニスに染み出してくる。
墨川さんの全身から、着ていた服から下着から、
たっぷりと吸い込まれてた水がペニスに絡みつく。
一瞬忘れかけてた射精感が、じわっとまた湧いてくる。
まずい……。

「んー、ぬるぬる、なかなか取れないね?
 なんだか拭いても拭いても、
 溢れてきてるみたいな……♪」

わざとらしく小首をかしげながら、
墨川さんがバスタオルをごしごし動かす。
カウパーが染み込んでぬるんだ生地が、
にちゅり、にちゅり…と竿の裏側を這っていく。

「あ、しまった。
 私、ちゃんと自分の身体も拭かないと…♪」

ペニスをちゅくちゅく撫で擦りながら、
墨川さんはバスタオルの反対側で
自分の太ももを拭きはじめる。
白い内ももが、とってもやわらかそうに見える。

スカートの裾が少しめくれる。
拭きながら、少しずつ太ももを上がっていってる。
気づいたときには、ショーツがちらりと見えてた。
ブラとお揃いの黒のレース。

「わ、ここもだいぶ濡れちゃってた…♪
 しっかりぎゅーっと拭き取って、と……」

タオルがぎゅっとショーツに押し当てられる。
黒い布地にしわが寄って、水気が染み出す。
部屋に充満した女の子の匂いが、
さらに強くなった気がする。

「はーい、そっちの汚れたところと交換……♡」

「なっ……」

バスタオルの両端が入れ替わる。
墨川さんの太ももとショーツでぐしょぐしょに濡れた箇所が、
今度はペニスに押しつけられる。
鈴口の上に、じゅむっ…と、水が溢れてくる。
水滴が、裏筋をくすぐるようにつたってく。
膝が、がくがく震える。

「……ぁ……くっ………」

濡れたタオル生地が、竿の上をじゅぷじゅぷ這い回る。
スカートはいまもめくれてて、黒のショーツが見えてる。
どうしたって、そこに押しつけてると錯覚しそうになる。

「おやおやー、なに必死そうな顔してるのかな?
 私はただ、ここのお掃除してあげてるだけなのに…♪
 あ、でもそれにしては……」

くすくす笑いと一緒に、タオルが小さく引っ張られる。
視線を上げると、墨川さんがタオルの反対側を掲げ持ってた。
僕のペニスを拭いてた場所に、鼻先を近づける……。

「すん……すん……♡
 えっちな匂いしちゃってるけど、なんだろうねー…♪
 私の気のせい、なのかな?」

僕がなにも言えないでいると、
墨川さんは勝手に一人で満足げにうなずく。

「うん、きっと気のせいだよね…♪
 じゃあ気にせずに、おっぱいの辺りも拭き拭き……♡」

僕のカウパーがたっぷり染みついたタオルが、
墨川さんの胸元を擦ってく。
ただでさえ濡れ透けてた白いブラウスが、
いっそう彼女の胸元に張りついてく。

黒いレースブラが、刺繍の形まで判別できそうなぐらいに
くっきりと浮かび上がる。
そのブラの内側には、乳房がぎゅうぎゅうに詰まってる。
そこに、僕のカウパーが染み込んでく。

彼女の胸にペニスを押しつけるイメージが溢れてくる。
ペニスがびくっと跳ねる。
その反応を褒めてくれるみたいに、
亀頭が濡れタオルでにちゅにちゅと撫で回される。

「あとは……おっぱいの隙間も……♪」

墨川さんの片手が、ブラウスのボタンに伸びる。
首元のボタンは残したまま、
胸元のボタンが一つ、二つ…と外される。
黒いブラに包まれた、真っ白な谷間が見える。

「しっかりと……ふき、ふき……♡」

人差し指で、タオルが谷間に押し込まれる。
差し込んだ指が、上下に妖しく動く。
魔女の白くてむっちりした谷間が、何度も指でかき回される。

ペニスがひくつく。
その乳肉の隙間に入りたい、と疼く。
墨川さんの手が、タオル越しにペニスを撫でる。
すでに精液が漏れてるんじゃないかと思うほどに、
カウパーがどくどくこぼれる。

「ふふっ。おちんちんの方のタオル、にちゃにちゃ…♪
 これじゃお掃除にならなさそうだからー、
 はーい、また交換……♡」

「…………!」

谷間から引き抜かれたタオルが、
竿全体を覆うようにそっと押しつけられる。
濡れてはいるけど……ほんのり、あたたかい。

墨川さんの、おっぱいに包まれてる。
そんなふうに、思ってしまった。
お腹の奥でこらえてたなにかが……くちゅっ、と潰れた。

「あぁぁあああぁぁ…ぁ……っ……!!」

びゅくっ……びゅくるっ……と、タオルに精液が噴き出す。
いまも目の前に見えてる、墨川さんの色白巨乳。
その胸であたたまったタオルの上に、精液をどぷどぷこぼす。

「あ、出ちゃったねー……♡」

タオルがさらに強く押しつけられる。
かと思うと、そのままもう片方の手で抱きしめられる。
墨川さんの胸元が、僕の身体に密着する。
おっぱいが、むにむにと形を変える。
ブラウスに残った雨水が、じゅわっ……と染み出る。
墨川さんの匂いが、喉に絡みつく。

「ひっ…ぁ……っ……!」

精液がまた溢れる。
どくどくした律動がなかなか止まない。
黒いブラの中で、白い乳肉が潰れてる。
谷間の溝が、右に左に何度もやらしく歪む。
見てるだけで、いくらでも性欲が疼いて。

「…う……ぁ……ぁ…っ……」

墨川さんに体重を預けながら、また精液をこぼす。
もう膝に力が入らなくて、
抱きしめてもらってなかったら間違いなく倒れてた。
墨川さんの手がゆったり動きつづける。
竿の中から、精液が搾り出される。

部屋の中は、熱気と湿度でサウナみたいで。
空気が足りなくて、頭がくらくらして。
難しいことが、なにも考えられない。
ただ、墨川さんに射精させてもらえるのが気持ちいい………。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ふふ、お疲れ様でしたー♪
 少しはすっきり、できたかな?」

かるく肩でも揉んだだけ、と言いたげな調子で
墨川さんが僕に微笑みかける。

けど、実態はまるで違ってた。
いまや蒸し暑い部屋の中に、精液の臭いが立ち込めてる。
生臭さが鼻をつく。
自分がしでかしたことの醜悪さが、はっきり分かる。

「タオルがあって良かったね♪
 なかったら……私もきっと、べとべとだったよ……♡」

バスタオルがゆっくりと外される。
黄ばんだ精液が、べちょべちょにタオルを汚してた。
ついで、精液の臭いがさらに強くなる……。

「なんで……こんなこと……」

呟く自分の声に、力がない。
もっと僕は怒っていいはずだった。
こんなの、男女を逆にしたらまるっきり犯罪だ。
でも……最後には快楽を貪ってしまったのも事実だった。
僕になにかを言う権利は……。

「私がこんなことした理由?
 んー……魔女だから、とか?」

他人事みたいに、墨川さんが小首をかしげる。
消えかけてた怒りが、不意に湧いて出た。

「そんなの……!
 理由になってやしない……。
 勝手に人を弄んで、その挙句に捨てるとか、
 そんなのなにが楽しくて……!」

「あはは、やっぱり誤解してる♪」

墨川さんがふんわり笑った。
思わず、言葉を失う。

「あのね、私がそういう……誰かを別れさせたりとか、
 してるのは事実だよ?
 でも、楽しいからしてるんじゃないの」

喋りながら、汚れたバスタオルが丁寧に折り畳まれる。
精液の臭いが嘘みたいに消えて、魔女の香りが強くなる。

「私はね、いつも頼まれてそうしてるだけ」

「頼まれる……って、そんなの誰に……」

「それは恋敵さん……あ、正しくは横恋慕さんかな?
 ようするに、恋する二人を別れさせたい女の子。
 それで自分がかわりに恋人になろう、って考えちゃうような
 わるーい女の子たち♪」

「…………」

「最初はね、友達にどうしてもって頼まれて、
 一回だけのつもりだったんだよ?
 けど……それが、びっくりするほど上手く行っちゃって。
 噂になったのか、知らない人からも頼まれるようになって、
 あれよあれよという間に魔女呼ばわり。
 まあ、断りきれなかった私が悪いんだけどね♪」

墨川さんは妙に明るい調子でそう話すけど、
嘘を言っているようには見えなかった。
だとしたら……僕のところに来たのも、誰かが……?

……けど。
いまだに露出したままだったペニスを、
下着の中に押し戻しながら、低い声で告げる。

「……墨川さんのことは、誤解してた。
 それは謝るよ……ごめん。
 でも、その頼んだ誰かには、諦めてって伝えて。
 ……墨川さんだって、僕を誤解してるんだ。
 僕には――」

「誤解なんてしてないよ?
 恋人さんが亡くなったことも、ちゃんと知ってる」

「え……?」

ズボンのジッパーを引き上げようとしていた僕の手が、
墨川さんの手にそっと遮られる。

……知ってる?
彼女がいるなんて、僕は誰にも言ったことがないのに。
学校だって、僕や墨川さんとは違うのに。

「私も知ったのは最近だけど。
 ……交通事故、だったんだよね。
 ちょうど一ヶ月前ぐらい。
 きっと……すごく辛かったよね」

いままでの飄々としたものとは違う、しずかな声。
まるで頭を撫でてくれるような、優しい話し方。
一方で……仕舞いかけた僕のペニスがまた取り出されてく。

「オナニーしてなかったのも、それが理由じゃないかな?
 えっちな気持ちになんて、なれなくて。
 もしなったとしても、彼女に悪い気がして……できなくて。
 ずっと、ずうっと……我慢してたでしょ?」

触ってるだけでお見通し、と言わんばかりに
墨川さんの手が、竿や亀頭をすりすりと擦ってく。
またペニスが上を向いていく……。

「でも、もういいんじゃないかな。
 永遠にそうしてなんて……いられないよ。
 どこかで区切りをつけないと」

「………分かってる、けど…っ。
 そんなの、墨川さんが決めることじゃ……」

「ふふっ……そうかもね。
 でも、私はわるーい魔女さんだから。
 勝手に決めちゃうんだ…♪」

すっかり勃起したペニスの鈴口を、
墨川さんの人差し指が、とん…とん…と、何度か叩く。
ついばむようなキスに似た、甘い指づかい。
その感触に、心のどこかが喜んでしまう。

「一回出しただけじゃ、物足りないよね?
 じゃ次はー……♪
 ずっと見られてたここ、使っちゃおっか……♡」

墨川さんの片手が、ボタンを外したままの胸元に伸びる。
親指と人差し指が、下乳から谷間に入り込み、
乳肉の溝をぐいっ……と押し開ける。

「…っ………」

「あ……おちんちん、びくーってした♡
 なにされるか、分かっちゃったんだー…♪」

墨川さんが身をかがめる。
床に膝をつき、ペニスに胸元を近づける。

谷間を見下ろすことになって、
その巨乳にあらためて息を飲んでしまう。
黒いブラの中に、みっちりとおっぱいが詰まってる。

「わるーい女の子の、
 わるーいおっぱいの中にご招待…♡」

墨川さんが呟きながら少しを身を乗り出す。
指で広げられた下乳の隙間が、
亀頭にぷにゅん…と当たる。

精液とカウパーにまみれたままの亀頭が、
下乳にぬるぬる擦れる。
このままだと入っちゃう……そう思った次の瞬間には、
すでに飲み込まれてた。

谷間はさっき塗りつけられたカウパーで、
すでに滑りが良くなってた。
あっというまに竿が丸ごと入り込む。
ペニスの根元に、下乳がたぷん…!と当たる。
背筋がぞくりと震える。

「んふふー……♪
 やっぱりおちんちん、ほっかほか……♡♡
 すごくあったまるー♡」

熱気に蒸れた部屋の中でも、
墨川さんの身体はまだ少し冷たかった。
火照ったペニスがひんやりした乳肉に包まれて、
にちゅ、ぬちゅ……と左右から押しつぶされる。

「…ひ……ぁ……っ……」

冷たさの残るおっぱいが、
亀頭に絡みついては離れ、また絡みつく。
温度差があるせいか、おっぱいが擦りつけられる感触が
いっそう強く感じられる。

ペニスがきつく勃起しすぎて、
根元が痛みをかんじるほどに張り詰めてる。
また射精したくて、どうしようもない。
でも、これじゃなにもかも墨川さんの思い通りで…っ。

「あれ、まだなにか我慢してる顔かな?
 そんな必要、ないんだよ?
 ね……おっぱいの中で、とぷ…とぷ…しちゃお……♡
 恋人さんへの未練と、ちょっとお別れするだけで
 最高に気持ちよくなれちゃうよ…♪」

「……や……め……っ……。
 おねが……ぃ………やめ……て………」

墨川さんが言ったように、
いつかはあの子のことに区切りをつけるとしても。
それはきっと、いまじゃない。
少なくとも、こんなふうに無理矢理なんて……。

「もう……そんな泣きそうな声出されたら、
 魔女の私でも困っちゃうかな……。
 じゃあ……やめておく?」

両側からペニスに押しつけられてた柔らかさが、
不意に動きを止める。

「………ぁ…」

ペニスがじんじんと熱い。
むにむにと甘い感触が、恋しくて仕方がない。
けど、それでも安堵がわずかに上回る。
いまなら、まだ引き返すことが。

「私……フラれちゃうんだね」

墨川さんが、ぽつりと呟いた。

「今回だけは、誰かに頼まれたわけじゃなくて、
 自分で決めて……こうしたのに。
 振り向いてもらえるかなって……思ったのに」

墨川さんがわずかに両脇を締める。
おっぱいがペニスに、きゅっ…と密着する。
別にペニスを引き抜くだけなら、
なんの抵抗にもならないほどの力。
だけど、固まったみたいに腰が動かない。

「やっぱり魔女の私が、
 まともに誰かを好きになるなんて、だめだよね。
 ふふっ……気にしなくていいよ?
 これだって、わるーい嘘かもしれないから♪」

墨川さんが微笑む。
明るく、寂しげに、やらしく。

「だから、はい……おちんちん、抜いちゃおうね。
 この谷間とも……もうお別れ……♡
 自由にできたかもしれないおっぱいとも、
 永遠にさよなら……♡♡」

「…………」

「……くすっ、どうしたのかな?
 お別れ、しないの?」

透けブラウス越しの巨乳が、
左右からゆっくりと手で押される。
黒いブラが大きくたわんで、谷間が淫らに歪む。
にゅむにゅむと、乳肉がペニスの周囲を這いずる。

早く……引き抜かないと。
頭ではそう分かってる。
なのに、金縛りにあったように身動きできない。
ペニスだけがひとりでに、谷間の中で脈打つ。
ほんのりあたたかくなってきた巨乳が、
ぬとぬと竿に擦れる。
いつのまにか、射精感が膨れ上がってる……。

「ああ、そっか……お別れ、名残惜しいんだ?
 ちょっとでも長く、
 おっぱいの感触、味わっておきたいんだねー♡
 構わないけど……射精はしちゃだめだよ?」

胸の両側に添えられた墨川さんの手が、
上下にゆっくりと動き出す。
いままでと違う、重く圧迫感のある動き。

下に押しつけられるたびに、
ペニスの付け根にまで乳肉がもたれかかる。
上に向かって扱かれるたび、
腰の奥から精液が流れだしそうになる。

「……く……ぁ……っ……」

「繰り返すけど、出しちゃだめだよ?
 おっぱいとお別れが寂しいのは分かるけど…♪
 いくらなんでも、恋人になるのはだめで、
 精液びゅーびゅーだけしたい……とか、
 そんなのは都合良すぎだと思うなー♡♡」

分かってる。
そんなこと、分かってる。
だけど、だけど……っ………。

「もし出しちゃったら、
 お別れするのは……元の恋人さんの方に、だよ?
 新しい彼女ができたら、
 昔の思い出に浸るのはおしまい……♡」

今度は左右交互に、谷間が擦り合わさせられる。
ブラも激しく動いて、だんだんずれてくる。
もう乳輪まで見えてて、
それどころかいまにも乳首まで見えそうで。

お腹の奥が、ぐつぐつと煮えたぎる。
出したい。射精したい。
この、むにゅむにゅの乳房の中で吐き出したい。
墨川さんの、魔女のおっぱいを自分のものにしたい。
その思いがどんどん強くなってく。

こんなのは、ただ快楽に流されてるだけ。
でも望むなら、これから先、
ずっとこの快楽に溺れることだってできる。

「さ、どっちにお別れするのかな…♪
 ほらほら、早く決めないと
 すぐに精液出ちゃうよー……♡」

からかうように、胸元がたぷたぷ揺らされる。
谷間もぷるぷると楽しげに震えて、
ペニスに小刻みな弾力を伝えてくる。

首をかるく縦に振るだけで、
この魅力的な巨乳を自分のものにできてしまう。
頭を真っ白にして精液を吐き出せる。
それどころか、明日も明後日も、
ずっと僕の自由にできてしまう。

同じ学校に通う墨川さんとなら、
学校でだって、こういうことができるかもしれない。
休み時間にこっそり手で扱いてもらったり、
昼休みにこうして胸で挟んでもらったり。
なぜか墨川さんはそれを拒まない、
そんな気がしてしまう。

「ふふー、おちんちんぴくぴくしてるー♪
 射精するの、そんなに楽しみなのかなー?
 それとも、もっと違うこと想像してる?
 どっちにしろ、おっぱい選ぶ気まんまんだー…♡」

からかい口調に、違うと反論したくなる。
なのに、声が出ない。
手足はとうに固まって動かない。
ペニスは勝手にひくついて快感を貪る。
気持ち良さに頭が痺れて、同時に罪悪感が胸をえぐる。

救いを求めるように、視線だけが部屋中を駆け巡り、
気づけば机の上を見てた。
だけど、そこに飾られてたはずの写真立ては、
彼女の写真は――机に伏せられてた。

「それで……決まった?
 大事な大事な思い出を選ぶのか、
 それとも……こっちにするのか……♡」

視線が……墨川さんに戻ってしまう。
誰もが篭絡されてきた綺麗な女の子が、
僕のペニスを胸元に包み込んで、嬉しそうに微笑んでた。

「びゅーってしちゃったら、それが答えだけど……♪
 でもせっかくなら、ちゃんと言葉で教えてほしいな。
 ね……どっちにする?」

「……ぁ…………墨川……さ…ん……」

「えへへ……ありがと……♪」

頬を薄く染めながら、墨川さんがはにかむ。
それを見てやっと、自分がなにを言ったか理解する。
僕は……墨川さんを選んで………。

「じゃあ、新しい恋人おっぱいで、
 たっぷり……どぷどぷしていこうねー…♡♡」

左右の乳房がまた、ぬりゅっ…と入れ違いに動く。
乳肉にペニスが弄ばれる。
亀頭がぷくっと膨らむ。
身体が射精の準備に入ってく。

おっぱいには、いつしか汗が浮いてた。
谷間もとろとろに熱くなってた。
墨川さんの、僕の恋人になった女の子の良い匂いが、
辺り一面に立ち込めてる。

「あ、私の匂い……くんくんしてるでしょ……♡
 そうだよね、私が身体拭いてるときからずっと、
 本当は気になってたんだよね。
 思いっきり、私の匂い嗅ぎたかったんだよね……♪
 うんうん、好きにしていいんだよ。
 もちろん、このおっぱいだって……♡♡」

思わず腰が突き出る。
みっちりと詰まった乳肉の隙間を、
亀頭がにゅむり、にゅむり……と掻き分ける。
同時に、墨川さんが胸を擦り合わせる。
竿におっぱいが、ぎゅうっと押し寄せる……っ…。

「さ……出しちゃえ……♡
 濡れてて、透けてて、ずっと気になってたおっぱいに、
 びゅーっ……♡♡」

…びゅぶっ…!びゅくく……びゅるっ……!!

墨川さんの真っ白な巨乳の中で、精液が溢れ出す。
びゅくびゅくと切れ間なく精液が駆け抜けて、
際限なくペニスが震える。
墨川さんはずっと胸元をゆったり動かしてくれる。
精液でぬるんだおっぱいが気持ちいい……っ…。

……どくっ……どぷっ……じゅぷ…っ……。

また精液がこぼれ出す。
射精の勢いで黒いブラは大きくずれて、
片方のおっぱいは乳首まで見えてしまってた。
気づいた途端、ペニスがまた膨らみ、
どくり、どくり……と精液が漏れていく。

「いっぱい、いーっぱい出していいからね……♡
 私はわるーい魔女さんだけど、
 かわりに……やらしい女の子だから♪
 これからの思い出は、
 えっちなことで埋めてあげる……♡」

その優しい声を聞きながら、
また、とぷとぷと射精しつづける………。
 
 
 
     * * *
 
 
 
「……そういえば、ひとつ嘘をついてたんだ」

しばらくして、二人で僕の部屋のベッドに潜り込んだあと、
墨川さんがそう言った。
心臓が跳ねる。

「くす。心配しなくても、私の気持ちは嘘じゃないよ。
 ちゃんと……大好き」

僕の心臓をなだめるみたいに、
胸板に手を置いてくれる。

「ほんとはね……私に依頼した人、いたんだ。
 それこそ嘘みたいな、でもほんとの話なんだけど。
 ……夢の中で、知らない女の子に頼まれたの。
 ね、嘘みたいでしょ?
 でもそれで、私はあなたを意識するようになって、
 気づいたら……ふふ、好きになっちゃってた」

墨川さんが僕にぴったりとくっつく。
耳元に息がかかる。

「その女の子、いったい誰だろうね……♪」

END