「最低」
妹の早弥(さや)の声が胸に刺さる。
僕の部屋のドアを開け放したまま、早弥は冷たくこちらを見下ろしていた。
そして僕はといえば、下半身丸出しで、そこに妹のパンツを巻きつけていた。
誰がどう見ても、妹の下着でオナニーしていたと丸分かりの格好だった。
漫画やゲームだと、こういうときには思い切り罵られたり
あるいは恥ずかしがって部屋を飛び出ていったりとかするものだけれど
実際にその状況になってみると、張り詰めた空気しか流れないのだと分かる。
それから、たとえどんなに美人で可愛い妹であっても
とてつもなく冷たい目ができるのだということも、分かる。
「ねえ、いつ盗ったの?」
言いながら、早弥は部屋のなかにどんどんと踏み入ってくる。
床に散乱したコミックやゲームのパッケージをつま先で蹴り飛ばしながら、
僕の前までやってくる。
「私がお風呂入ってるとき、 洗濯機から持ち出したの?」
ペニスを隠すこともできないままに、ただうなずくしかない。
「お兄ちゃ」と言いかけて、早弥は言葉を止める。
もはや「お兄ちゃん」と呼びたくなくなったんだろう、と分かってしまう。
「いつ頃から、私の下着、勝手に使ってたの?
…………言えないの?
言えないってことは、今回だけじゃないんだ」
「ち、違……」
「うるさい」
言い訳さえ許されず、僕は下を向く。
早弥はいつもの元気な話しぶりからは考えられないほど淡々と喋る。
「返して」
すっかり小さくなった自分のペニスから、僕はパンツを取り、
精一杯もの抵抗で、左手で自分のあそこを隠そうとする。
そんな僕の様子を見て、早弥は「はっ」と侮蔑するように息を吐いた。
ぷっと吹き出すのでもなく、大きく嘲笑うのでもなく、顔をしかめるのでもなく、
溜まった埃を払うみたいに息を吐いたのだ。
それから早弥はいかにも汚物を持つみたいに、
それこそ腐ってしまった食べ物でも持つみたいにパンツを受け取ると
黙って僕の部屋を出て行った。
それが一ヶ月前の出来事だった。
* * *
玄関で宅配便を受け取ってリビングに戻ると、
ちょうど二階から早弥が降りてきたところだった。
が、僕がいることに気づくと、そのままきびすを返して上に戻っていく。
どうあっても顔を合わせたくないらしかった。
例のことがあってから一ヶ月経って、完全に僕は早弥から軽蔑されていた。
ためしに声をかけても一切の返事はないのはもちろん、
目線を合わせようとさえしない。
最初からそこにいないかのように徹底的に無視される。
うざいとさえ言われない点では、もはや羽虫以下の扱いだった。
僕ら兄妹の関係が悪化したことについて、
両親は妹が遅めの思春期に入っただけ、と思っているらしかった。
高校1年生という時期を考えれば当然かもしれない。
それと、少なくとも早弥は父や母には告げ口していない、ということだ。
そんな事実をあらためて反芻しながら、僕はいま受け取ったばかりの宅配便を開封する。
見た目はごく普通のダンボールだが、差出人にはキキブーバ・カンパニーという
いかにも怪しげな社名が書かれている。
なかから出てきたのは目薬のような小さな容器だった。
薄い紫色をしていて、なかで液体が揺れている。
信じられない話だけれど、これは「人の心を操作する薬」だというのだ。
容器と一緒に入っていた、小さな説明書のようなものを読んでみる。
――この薬は、人の心に変化を及ぼすものです。
この薬の成分であるキキブーバは、人それぞれのなかにある固定観念を書き換えます。
たとえば「自分はあがり症だ。人前で話すことが恐い」という人であれば、
この薬を服用することで「自分は人前で話すことは平気だ」と感じるようになります。
効果がもっとも上がるのは服用後一時間程度ですが、
何度か繰り返し服用するうちに次第に効果は定着し、
やがて「人前で話すのが好きだ。話したい」というのがその人の普段の性格になります。
――お客様にご注文いただいた「パープル」は、とくに性に対する認識を書き換えます。
わかりやすい例ではサディスティックな傾向が強い人が飲むと、
次第にマゾヒスト寄りへと変わっていきます。もちろんその逆も起こります。
そのためセックスパートナーとの関係が上手くいっていない場合などに大変効果的です。
ただし、性への固定観念というのは非常にバラエティに富み、なおかつ複雑なため
予想外の性癖等が新たに生まれる危険性もございます。
その点は何卒ご了承ください。
……と、こんな風に少々ややこしいことが書かれている。
でも、ネットでの非公式のレビューを見た限りでは、
ようするに、とてつもなく強力な媚薬ではないだろうか、と僕には思えた。
アングラなサイトではこの薬の体験談として、
自分を軽蔑していた女性を堕としてやったという例が山ほどあるのだ。
だとしたら、いまの僕にとってこれほどぴったりの薬はなかった。
僕は薬を手にしたまま、冷蔵庫のドアを開ける。
ドアポケットには早弥の飲みかけのスポーツドリンクが一本入っている。
そのフタを開けて……そこで一度手が止まる。
こんなことをしていいのか、と迷う。
だけど、霧を吹き払うみたいに、あのときのことが思い出される。
ただただ軽蔑するためだけに吐き出された吐息を。
それで、気がついたら僕は薬を一滴、ペットボトルのなかに落としていた。
* * *
部屋のなかで息を殺して、じっと階下の気配を探る。
けれど少しも様子はわからなかった。
五分ほど前に、早弥がリビングに下りていく物音がした。
つまり、あの薬入りのドリンクを飲んだかもしれない。
でも階下は静まり返っているばかりだった。
今日は僕ら兄妹は期末考査後の試験休みだけれど、
共働きの両親はいつもどおり仕事に行っている。
だから、リビングには早弥以外には誰もいない。
様子を見に行こうか、と腰を上げかけたとき、
かすかに階段のきしむ音と、それから早弥が上ってくる足音が聞こえた。そして。
「いる?」
コンコン、とドアがノックされる。
僕は慌てて立ち上がろうとして、足がもつれてこけそうになる。
四つんばいになって身体を支えながら、なんとか返事をする。
「あ……うん、いるよ。入っ」
「お邪魔します」
許可を出し終わるより早く、早弥はドアを開けていた。
「……なんの遊び?」
床に手をついたままの姿勢の僕を見て、くすりと笑う。
それが、嘲るのではなく、優しくいたぶるような笑みに見えたのは気のせいだろうか。
「ああ、そうやって私のパンツ覗こうとしてたの?」
「な……! ちっ……違う。立とうとしてコケたんだよ」
その返答に、早弥はまたにやにやと笑う。
「ふぅん。相変わらずドジなのね、お兄ちゃん。
こないだは部屋に鍵かけ忘れてオナニー見つかっちゃうし、ホントに間抜け」
「…………早弥?」
「なぁに?」
僕はぽかんと呆けたように早弥を見上げる。
普段の妹とはまるで違った様子だった。もちろん例の事件の前とも違う。
まして媚薬で欲情しているとも思えない。
兄をからかうのが楽しくて仕方がないといった様子の、はじめて見る早弥がそこにいた。
「ねえ、だからなに? 返事してってば。
……ああ、そっか。
やっぱりパンツ見たくなっちゃったんだ」
「だから、違う…って………」
そこで僕は、本当に早弥のパンツが見えていることに気づく。
ひらひらした短めのスカートの中が、かがんだ僕からは丸見えだった。
淡いピンク色が、合繊独特のきらきらした光沢を放っている。
パンツの周囲を飾るこまかなフリルの一枚一枚さえくっきりと見て取れた。
「お兄ちゃん、いつまでパンツ見つめてるの?」と早弥に話しかけられ、我に返る。
「ご、ごめん…!」
精神力を振り絞って下着から目をそむけると、僕は頭を下げる。
でも、早弥はそれから信じられないことを言った。
「ううん、いいんだよ、別に見てても。
……ただ、いつまで見てるばっかりなのかなって。
早くオナニーしなくていいのかなぁ、って思っただけ」
「え? お、オナ?」
「だからオナニー。今日はまだしてないんでしょ。
私のパンツ、使わないの?」
早弥が一体なにを話しているのか分からない。
嬉しいはずの出来事だと頭のどこかでは分かっているのに、
むしろ恐怖さえ感じてしまう。
「早弥、しっかりして。
なんで、なんでお前のパン……下着で、その、していいってことになるんだよ?」
「……? いつもしてたクセに。なに今さら言ってるの?
それに、妹がお兄ちゃんのオナニー用に下着を貸すのって、当たり前のことじゃない」
「当たり前?」
「そ。常識じゃない。誰だって知ってるよ、そんなこと。
……ああ、ひょっとしてお兄ちゃん、私をまだ小学生レベルだと思ってるでしょ。
それでこないだまでも、こっそり下着盗んだりしてたんだ。
言ってくれれば、いつでも貸してあげたのに」
そこまで聞いて、自分が混ぜた薬の効能をあらためて思い出す。
固定観念を書き換える、という話を。
どうやら早弥の場合、兄の自慰行為についての考え方が――。
もうそれ以上は考えられなかった。
ぞくぞくした快感が背筋を這い上がってきて、その気持ちよさで脳がとろけそうになる。
自分は今から。
早弥の目の前で。
堂々と早弥のパンツを使ってオナニーできる!
思いっきりだらしなく射精していいんだ!
興奮が、甘い蜜のように全身をかけ巡る。
幸福感が、雨のように身体中を濡らしていく。
「早弥。じゃ、じゃあ、その……パンツ、貸して」
上ずった声で僕が言うと、早弥は少し眉をしかめた。
「そりゃいいけど……お兄ちゃん、なんか偉そう」
「……どういう、こと?」
「だって、お兄ちゃんはオナニーさせてもらう立場なんだよ?
つまり、お兄ちゃんよりは私の方がエライの。
なら、ちゃんとお願いとか、おねだりしてくれないと」
これも例の薬のせいだろうか。
早弥には、兄は屈服させるものだ、という意識が刷り込まれているみたいだ。
でも、不思議と嫌な感じはしない。
結局のところ、僕が早弥を操っているのだという満足感があるからかもしれない。
「早弥……パンツ、貸してください」
「なんのために?」と分かっていながら早弥は嬉しそうに言う。
「……オナニーしたいから、です」
「そっかぁ。お兄ちゃんは妹のパンツでシコシコしたいんだ。
私の脱ぎたてパンツにおちんちんこすりつけて、どぴゅどぴゅしたいんだ。
……いいよぉ。お兄ちゃんがそこまで言うなら貸してあげる。
じゃ、目つぶって」
言われるままに目をつぶる。
目の前から、おそらくは下着を脱いでいるのであろう衣擦れ音が聞こえる。
その脱衣の様子を見たくて仕方なかったけれど、
でも早弥の言葉に従わなかったら、
今起こっていることすべてが夢で終わりそうで恐かった。
「お兄ちゃんも、おちんちん出してよ。
目つぶったままでも、それぐらいできるでしょ?」
言われたとおりに、自分のズボンのジッパーを引きおろす。
まぶたを閉じたままでも、ペニスがピクピクと痙攣しているのがわかる。
これからやって来る快楽に期待して、肉棒が打ち震えている。
そのペニスの上に、ふわりと薄く柔らかななにかが乗っかった。
感触だけで、それが早弥の、妹のパンツだと直感する。
すべすべとした感触と、かすかに残るぬくもりに反応して、
これ以上ないくらいにペニスが固く勃起する。
「はい、もう目開けてもいいよ」
声は背後から聞こえた。目を開けてみても早弥の姿はない。
振り向いてみると、いつのまにか早弥はベッドの端に腰掛けていた。
「さ、お兄ちゃん。おちんちんいじり、していいよ♪」
股間には、早弥のパンツが無造作にかぶさっていた。
床にぺたんと座り込んだまま、僕はそのピンク色した布をじっと見つめる。
それから早弥の顔を見た。妹は嬉しそうに微笑んだ。
「ほら。早くどうぞ。私はここから見ててあげる。
せっかくパンツ貸したげたんだから、ちゃんと使ってもらえるのか確認しないと。
……どうしたの、お兄ちゃん? 早くしないと、取り上げちゃうよ」
早弥はおもむろに手を伸ばし、下着を取り上げようとする。
思わず、パンツを取られないように、ぎゅっと握る。
わずかな温かさと、つるつるとした感触が手のひらいっぱいに広がって、
また気持ち良さの波が走る。
「あははっ。やっぱり取られたくないんだ。
ね、ホントは今すぐオナニーしたくて仕方ないんだもんね。
シコシコしたいんでしょ? だから、していいんだよ?
さ、おちんちんに巻きつけて」
誘導されるようにして、早弥のパンツをそうっとペニスに巻きつける。
今までだったらこっそり盗んで、バレないように気をつけないといけなかった自慰行為。
それが今は、その下着の持ち主の目の前で、妹の目の前で、
股間をさらけ出しながら、おちんちんを擦っていいんだ。
そのことをあらためて意識した途端、猛烈な勢いでオナニーをはじめていた。
パンツでペニスを包み込んだまま、根元からしごき上げる。
なめらかな感触が竿を上へ下へと通過し、そのたびにふわふわした気持ちよさが
頭いっぱいに広がる。
「うん、ちゃんと始めたね。
にしても、すごい勢い。そんなにおちんちん触りたかったんだ。
……気持ちいい?」
気持ちいい、と答えた気がする。
でもちゃんと発生したのかさえ自分でもあやふやだった。
ときどきフリルのひだが裏筋を的確にこすってくる。
そのたびに、んあっ、と情けない声が出てしまう。
「あーあ、だらしない顔。
でもほら、そんなに強くこすってばっかりだったらすぐに出ちゃうよ?
どうせお兄ちゃん、早漏さんなんだろうし」
「そんな、だって…手……止まらない」
「情けないこと言わないの。
せっかくパンツ貸してあげてるんだから、もっとじっくり楽しんでよ。
ほら、いったんしごくのやめて。
……止めなさいってば。止めないと、もうオナニー手伝ってあげないよ?」
その一言を聞くと、不思議なことにぴたりと手が止まった。
ペニスだけはいまだに快感を求めて脈打っているけれど、
その欲求をなんとか僕は押さえ込む。
「しょうがないから、ちゃんと私が指示してあげる」
しょうがない、と言いながらも早弥は満面の笑顔を浮かべている。
こんなに嬉しそうな妹の顔を見るのは何年ぶりだろうか。
「まずね、いきなり先っぽをいじっちゃうのは禁止。
マンガで読んだけど、そこ触ってるとすぐに出ちゃうんでしょ。
だから、まずはこの棒……竿、でいいのかな?の辺りを押さえて。
で、上からさわさわーって撫でるの」
言われるままに、僕は早弥の下着を竿に当て、なるべく力をかけずに
そうっと布地でこすっていく。
「そうすると、生地の感触がよくわかるでしょ。
これ、結構高かったやつなんだから。そのぶん、履き心地いいよね?
……あ、お兄ちゃんの場合はシコり心地か」
くすくすと笑いながら、早弥はどんどん指示を出してくる。
「で、少しだけ……少しだけだよ?
いきなり強くしないで、ちょっとずつ押し当てる力を上げて。
まだ先っぽはさわらなぁい。
ぐるぐるって円を描くみたいにパンツこすりつけて」
下着をこすりつけているうちに、亀頭の先からはどんどんカウパーが溢れてくる。
早弥はそれを目ざとく見つけて、また楽しげに笑う。
「ん、先走りのお汁出てきたね。
そう、もっともっと溢れさせて……垂れてくるよね。
そしたらその汁をパンツに絡ませて、ね、ぬるぬる気持ちいいでしょ。
すべすべおパンツと混ざって、ねっちょねっちょ、にっちゃにっちゃ、音もやらしいね。
そのぐちゅぐちゅで、こしゅこしゅしていいよ」
薬の効果が強くなっているのか、早弥の言葉がどんどん卑猥になっていく。
僕がこするのに合わせて、
ずうっと「にゅるにゅる、ねちゃねちゃー」とか 笑顔で囁いてくる。
その声を聞いているうちに、頭がぼうっとしてくる。
脳みそがスライムみたいに柔らかくなって、
頭蓋骨のなかでたぷたぷと揺れているみたいな感じがする。
「お兄ちゃん、目がどよーんとしてきてるよ?
もう何にも考えられない? そろそろ出ちゃいそう?
……でも、もうちょっと我慢しないと」
早弥がなにかを喋っている。でも、もうよく分からない。
気持ち良くて、もう、このまま……。
「ちょっと、まだダメだってば。
…………むー。
ほぉら!お兄ちゃん、我慢できたらいいもの見れるよぉ」
いいもの、という言葉で、少しだけ意識が浮上する。
見ると、早弥がベッドに腰掛けたまま……ほんの少しだけスカートの裾を
持ち上げていた。
いま、早弥のパンツは僕の手元にある。
つまり、もしもスカートの中が見えたら、早弥のアソコが見える。
気づくと同時に、ビクビクとペニスが跳ねた。
「出したら見せてあげない、よ?」
んんっ…!と声を漏らしながらも、必死に射精をこらえた。
ペニスの根元で、熱い塊が行き場をなくして暴れまわるけれど、
それを何とか抑えこむ。
「はい、よく頑張りました」
はぁ…はぁっ……と荒い息をつく僕を見ながら、早弥が優しく笑う。
「じゃあ、あと10数えるまで我慢したら、出させてあげる。
数え終わるまで、最後の辛抱だよ?
さ、行くね。
…………いーちぃ…にーぃ…」
カウントをしながら、ゆっくりと早弥はスカートの裾を持ち上げていく。
といっても、もともと短いスカートだから、裾は本当に少しずつしか上がらない。
それでも早弥の真っ白い内ももが露出するたびに、ペニスがぶるぶると震える。
「しぃー……ごぉー………」
早弥は今度はスカートの両裾を左右から持ち上げるように動かして、
上手に股間の部分だけを隠したままにする。
いまや、早弥の太ももはすっかり丸見えになっている。
その柔らかそうな脚を見ているだけで、いまにもペニスに触れないままに
射精してしまいそうになる。
「はーちぃ……くーぅ」
そこで早弥はカウントを止めた。
僕はもう気が狂いそうだった。
ペニスに触れようとする手を押さえるために、気づけば両手を組んで
まるで拝むみたいな格好になっていた。
「さあ、お兄ちゃん、見れるよ。早弥のアソコ、見たかったんだよね。
1秒も我慢できないぐらい気持ちいいお射精を、
それでも10秒我慢するぐらい見たかったんだよね。
……いいよ、見せてあげる。
でも、約束して。見せたら、出すんだよ?
びゅるびゅるるって、おちんちんから精液噴き出させるんだよ?
できる? 約束できる?」
できる、と僕は震える声で言った。
「それじゃあ、ご褒美」
するするっと、あっけなくスカートの裾は上がった。
そこに妹の秘所があった。
うっすらした茂みのなかに筋が見えた。
妹の、早弥の、アソコだった。
僕はいま、どうあっても見れなかったはずの妹の股間を見て、オナニーしている。
手は無意識のうちに動いていた。
亀頭の先端にパンツをぎゅうっと押し付けて、カウパーでぬめっているのをいいことに
ただ力任せに強引にこすりつける。
まるで、早弥のあそこにペニスをこすりつけて自慰をしているような錯覚に陥る。
早弥はなぜか微笑んでいた。
くすっとおかしそうに笑いながら、でも僕の頭を撫でてくれそうな優しい顔で。
「さ、出して」
その声に合わせて、僕は射精した。
……どぷっ!…どぷるっ…るっ!……びゅぶぶっ………!
早弥のパンツの隙間から、精液が勢いよく飛んでいく。
ペニスが前後左右に跳ねるように震えるけれど、
快感が強すぎて手で押さえることもできない。
……びゅるっ……ちゅるっ…びゅっ……!
白い飛沫が、さらに床一面に飛び散っていく。
そしてさらに他の数滴は、妹の太ももや股間まで飛んでいた。
気づいてはいたけれど、いま射精をコントロールするのは不可能だった。
……ぴゅぶっ…るっ……びゅ……………ぽた……ぽた…。
やがてゆっくりと射精の波は去り、ついに雫が先端から滴るだけになる。
「満足できた? お兄ちゃん」
「早弥…その………汚して、ごめん」
「ごめんって、下着汚しちゃったこと?
それとも、私の身体にかけちゃったこと?」
見れば、僕の手のなかで早弥のパンツは白い精液まみれになっていた。
こんなに吐き出したのか、と自分でもびっくりするほどの量だった。
しかも、これ以外にも僕は床や、早弥の身体にまで精液をこぼしているのだ。
「いいんだよ、妹がお兄ちゃんのオナニーを手伝うのは当たり前なんだから。
だけど……ホント、お兄ちゃんって情けないよね。
自分でシコシコしたのでさえ、私のあそこを汚せないんだもん」
どうやら僕の精液は、早弥の内ももを濡らしはしたものの、
秘所にまではかからなかったらしい。
それで早弥は笑っているのだ。
「はぁ……どうしてこんなダメなお兄ちゃん持っちゃったんだろ。
ま、仕方ないか。
あ、ひょっとして……今までちゃんとお手伝いしてこなかったせい、なのかな。
だとしたら私にも責任があるのかな?」
僕が色々言う前に、早弥は勝手に話をはじめて、勝手に自己完結していく。
「それじゃ、今までの分も手伝ってあげるから、これからはちゃんと呼んでよね。
……分かった? お兄ちゃん?」
うん、とうなずくのが僕には精一杯だった。
だってうなずいて顔を隠さないことには、このにやけた顔を見られてしまうから。
これからの生活が楽しみで仕方がない、ゆるみきった表情がばれてしまうから。
そうして僕が俯いているうちに、早弥は素早く僕の手から下着を奪い取り、
何事もなかったかのように部屋を出て行った。
……ああ、本当に。
こんなに明日が来るのが楽しみだったことはない。
その期待に胸を膨らませながらも、
いまから部屋の掃除が大変だという現実に、
ほんの少しだけ情けなくなった。