一つ屋根の下で(後編)

バスルームから、かすかな水音が響いてくる。
あの女の子がお風呂に入っている音だった。
精液で汚れた足を洗うついで、らしい。

そのあいだに僕の方は部屋の掃除を終えた。
カーペットだけはかすかに染みになってしまったけど、
アイスをこぼしたとでも言えば、たぶんばれないと思う。
ばれないとは……思うけど………。

(本当に……僕は……なにしてるんだ……!)

両指の爪を、手のひらに思いきり食い込ませる。
鈍くて熱い痛みが走って、でもさらに力を込める。
自分で自分が許せなかった。
何度もこんな後悔をして、そのたびにまた快楽に負けて。
自分がどうしようもない屑だって分かってる。
でも、だからって甘んじてそれを受け入れられない。

「射精してすっきりしたら途端に善人面ですか」って、
きっとあの女の子にはそう言われるって分かってる。
でも、それでも…それでも……!

爪を突き立てる力を強くする。
いっそこのまま、皮膚が破けてしまえばいいのに。
跡が消えないぐらい深い傷になって、
それを見るたびに涼子のことを思い出せればいいのに。
そしてあの子を拒絶できるようになれば……。

ガチャリ、と金属音が聞こえた。

全身が、硬直する。
反射的に立ち上がって玄関を見る。
ドアノブがゆっくりと回っていく。
開いたドアの隙間から……涼子が顔をのぞかせる。

「えへへ……ただいま。
 風邪って聞いたから、心配して帰ってきちゃった」

風邪……? なんのこと……だろう…?
それに、今日はゼミの飲み会で夜中まで帰らないって……。
だから今日を選んだのに……え……え…?

「どうして……?」

「どうしてって、心細いってメールくれたくせに。
 ね……ほんとは看病してほしかったんでしょ?」

「…………!」

とっさに悟る。あの子だ。あの子がメールしたんだ。
いつ? そんなの……あのときしかない。
僕に目隠しをしていたあのときだ。
腰の辺りをまさぐるふりをして携帯を抜き取って、
そのまま僕を装って涼子にメールをした。

そのことに気づくと同時に、涼子も不思議そうな顔をする。
バスルームの方に首をかしげる。

「あれ? お風呂にお湯入れてるの?
 風邪のときは入らないほうがいいのに」

「ち…が……っ…!
 や…ちがっ…わ…ない…けど。
 あ……えっと………あ、汗かいちゃって。
 寝てたから……寝汗、すごくて……。
 だから……入ってくるよ……っ…」

「え……? あ……う……うん…」

怪訝そうな顔をする涼子を置いて風呂場に駆け込む。
無我夢中のまま服を脱ぎ、浴室に滑り込む。

「ふふ……いらっしゃい、お兄さん」

女の子は浴槽の縁に腰かけて、こちらを向いていた。
服は着たままだった。白いブラウスに薄桃色のスカート。
手には脱いだストッキング。床にはコンビニの袋が落ちてる。

「君が涼子を呼んだんだろう……?
 なんで、なんでそんなこと……!
 もしばれたら、君だって困るのに」

「ばれてもいいですよ」

しずかな声音だった。
動揺なんてまるで感じられない、落ち着いた声。

「べつに……ばれたって、それはそれでいいんです。
 私はお兄さんの最高に情けない顔を見て、
 それから立ち去るだけですから」

少女が足元のビニール袋を開いてストッキングを仕舞う。
袋の中に靴が入っているのが見える。

「といっても……なるべく壊れないように、とは思ってますよ。
 だからこうやって、私がいる証拠は隠してますよね。
 靴も隠して、それから服も脱衣場に脱ぎ捨てずにおいた。
 ああ……でもお兄さんからしたら残念でしたか?
 年下の女の子の裸が見れる機会なんて、
 一生に一度あるかないかでしょうからね」

ブラウスのボタンが一つ外される。
胸元がゆるやかに広がる。
鎖骨には汗が水滴になって浮かんでいて、
それがブラウスの奥へと滑り落ちる。

「ねえ……本当ならこの先もぜんぶ見えるのに。
 胸の形も、乳首の位置も、なにもかも丸見えだったのに。
 それを見ながら、おちんちんを扱くことだってできたかもしれない。
 私がここにいるってばれてしまっても、
 お兄さんにとってはその方が良かったんじゃないですか?」

「そんな…こと……」

「ん……声が小さくなってますよ?」

今度はスカートの裾をつまんで、めくっていく。
柔らかくて薄い生地が、少女の足を這い登るみたいに
するすると持ち上がっていく。
足指やふくらはぎ、膝までが露わになる。
両脚が少しだけ開く。
そのあいだに両手を忍ばせて、少女が微笑む。

「さっきまで、ここにお兄さんの頭があったんですよ。
 私の太もものあいだで、耳まで真っ赤にして。
 そういえば、必死で鼻もこすりつけていましたっけ。
 そうそう、おちんちんも固くなってましたね。
 いまのお兄さんみたいに……」

指さされて、裸のまま性器を露出していたことを思い出す。
しかも……ペニスはみっともなく勃起してた。
あれだけ出したはずなのに。
あれだけ後悔していたはずなのに。

「ね、大丈夫ー?」

扉の向こうから、涼子の声がした。
曇りガラスの向こうに、うっすらと人影が見える。

「ど、どうしたの?」

思わず女の子の姿を隠そうとしてしまう。
浴槽に近づき、彼女の身体を覆うようにして立つ。

「お風呂で倒れてないかなーって心配で。
 さっきも様子おかしかったし……」

「いや、大丈夫だ…よ…っ…!?」

少女の指がペニスの表面を撫でていた。
指で文字でも書くようにして、竿の上をなぞられる。
理性とは無関係に、ペニスがびくびくと跳ねる。

「そう? のぼせて倒れたりしたらだめだからね?
 でも思ったより元気そうで安心したよー。
 メール見てから、すっごく心配だったんだから」

「……ごめ…ん…っ…」

声に嗚咽めいたものが混じる。
そうやって涼子が僕を心配してるあいだ、
僕はこの女の子とやらしい行為をして……。

「最低、という言葉じゃもう足りませんね」

女の子が小声で呟く。
そのあいだもペニスをいじる指は止まらない。
一撫でされるたびに、快感で舌の根が震える。
指先に媚薬でも塗ってあるんじゃないかと思うほど。

「恋人さんを裏切って、肉欲に溺れて。
 今度はそれを謝りながら、性器を膨らませて。
 そんな人、なんて呼んであげればいいでしょうね?
 人でなし? 犬畜生? 虫けら? 
 どんな言葉でも、もうきっと足りませんね」

指が輪っかを作り、カウパーを絡めて動いて。
ねちょ…にちょ…っ…って音がして……。
ぞくぞくする快感がペニスを駆け抜ける。
あぁ…………きもち…い…ぃ……。
なんで、こんなに気持ちいいんだよ…ぉ……。

「……ぅ……く…そ…っ……」

頬肉を噛みしめる。
血の味がしそうなぐらいに強く、強く。
それでやっと快感がわずかに遠のく。

「ふふっ、さっきと違って頑張るんですね。
 恋人さんを呼び戻したかいがありましたね。
 もっとも、お兄さんの我慢なんて
 大して役に立たないとは思いますけど」

僕の手のひらが取られる。
さっき爪を突き立てた跡が赤黒く残ってる。

「お兄さんの後ろめたさの証、ですね。
 さぞいっぱい後悔したんでしょうね」

少女が不意に鼻先を手のひらに近づける。
手のひらに、生あたたかく濡れた感触が広がる。
傷跡が舌でと舐められてる。

「……ぁ……やめ…っ……!」

全身が一瞬、心地よさに包まれる。
身体の力がすうっと抜ける。抜けてしまう。
また快感が手足に絡みついてくる…!

「ん、なにか言ったー?」

きょとんとした感じの涼子の声。
どんな顔をしてるのかまで想像できる。
だめだ……だめだ…っ……。
涼子の前でなんて、絶対に、絶対に…っ…。

「そういえば今日、友達がね……」

浴室のドア越しに、涼子の声が聞こえる。
寂しがりなところがあって、
でも一緒にお風呂に入るのは恥ずかしがる彼女は
こうやってドアの前でよく僕と会話する
でも、いまは話の内容がまったく頭に入らない。

手のひらが唾液にぬるんでいく。
華奢な指先がペニスにまとわりつく。
指の動きがどんどん加速する。
吸いついたみたいに指が竿から離れない。
射精したくて、たまらなくなってくる。
精液をびゅーびゅー撒き散らしたい。

「そろそろ射精したいんでしょう?」

「…………ぁ……ぁ……」

うん、と言ってしまわないように、唇を噛みしめる。
頭をこくっとうなずかせないように、首に力を込める。
さっきあれだけ後悔したじゃないか…!
今日だけは、今日こそは耐えて……。

「ふふっ……射精したくないんですか?
 私はかまいませんけど……それはどうしてでしょうね。
 自分で自分が許せないから?
 それとも彼女さんが側にいるから?
 さあ……どっちでしょうね」

その言葉をまるで待っていたかのように
涼子が「買ってきたもの冷蔵庫に入れ忘れてた」と言って
足早に立ち去っていく。

「誰もいなくなりましたね…♪」

少女がくすっと笑いをこぼす。
ペニスに今度は両手がまとわりつく。
竿の根元と先端がそれぞれすっぽり包まれる。
指と手のひらで、くちゅくちゅと性器がこねられる。
熱くてどろどろとした快感が腰の奥から溢れ出す。
あぁ……我慢しな……きゃ………?
ほんとうに……しなきゃ……いけ…ない……?

「我慢するんでしたよね、お兄さん?
 もう私に触られて射精なんてしないんですよね?」

浴槽にお湯が注がれる音だけが響く。
どぼどぼ、どぼどぼ…と、大量のお湯がこぼれ落ちる。
こんなふうに射精したら、精液を出したら、
きっと……すごく…気持ちいいだろうな……。
この子の身体に、思いっきり……。

「どうしたんです? 私の身体が気になります?」

透明な粘液に濡れた指を胸元に運んで、
またひとつブラウスのボタンが外される。
ゆるやかな胸の膨らみがのぞく。
ブラはつけてない。綺麗な白い肌が見える。
あそこに……精液をぶちまけたい……。
きめこまかな肌を、黄ばんだ精液で汚したい……。

「早くしないと、戻ってきちゃいますよ?」

手足がじんわりと汗をかく。
小さな浴室に湿気と少女の匂いが充満してる。
瑞々しい果物みたいな甘酸っぱい匂い。
嗅いでいるだけで、精液がとろりと流れ出そうになる。

「出してもいいんですよ。
 私はなんにも怒ったりなんてしませんから。
 汚れたって、ここはお風呂場ですからね。
 すぐに洗い流せちゃいます。
 だから……お兄さんの好きに汚していいんですよ。
 私の顔に精液をぶちまけても。
 胸元にびゅーびゅー放っても。
 スカートにだらだらとこぼしても。
 どんなことだって、していいんですよ」

遠くで、冷蔵庫のドアがしまる音がする。
涼子が戻ってきてしまう。早く。早くしないと。
早く……射精しないと…っ…!

「………ぁ……っ…」

腰を思いきり突き出す。
ペニスの先端をブラウスの隙間に近づける。
このまま……出すっ……出したい…っ…!

「ふふっ……やっと素直になりましたね」

フリルの付いた襟がめくれる。
布製のひだが、尿道口をひらり…とこする。
それだけでもう射精感が膨れ上がる。
浴槽から立ち上る湯気で視界がかすむ。
頭の中が真っ白になっていく。

「さあ……どうぞ。
 存分にどぷどぷしちゃってください」

すべすべの右手がペニスを扱く。
根元から精液を搾り出すみたいに、
にちょり…と粘ついた音を立てながら竿が圧迫される。
陰嚢の付け根がきゅっと収縮する。
水風船が割れるみたいに快感が破裂する…!
大量の精液が流れ込んできて…っ……!

「…ぁ……あ……ああぁあぁぁっ……!」

心臓が一瞬止まって、それから激しく鼓動を打つ。
白く濁ったものが、ペニスの先端から噴き出す。
こめかみが疼く。熱い。痛い。気持ちいい…っ…!
膝ががくがくと震える。

「…ぁ……あっ……あ…っ……!」

頭の芯を溶かすようなどろどろとした心地よさがつづく。
目まいがする。でも倒れたくない。
もっと、もっとこのまま快楽に浸っていたい。
迸った精液が、女の子の顔や髪に飛び散る。
ブラウスの隙間にもびゅくびゅくと注ぎ込まれる。
ピンクのスカートの上に、白濁液がこぼれ落ちる。
こんな小さな女の子を、僕は……僕が汚してる…っ…。
僕の汚い体液まみれにしてるんだ…っ……。

「……ぁ……は…は………はは…っ…」

暗く澱んだ陶酔感が満ちてくる。
笑みがこぼれるのを押さえられない。
精液がまだどろどろと溢れ出す。
たまらない。たまらなく気持ちいい……。
 
 
     * * *
 
 
ペニスの律動がやっと収まったところで、
精液まみれになった女の子がうっすら笑う。

「とっても嬉しそうでしたね、お兄さん。
 でも……また忘れちゃってますよ?
 ほら、ここはどこでしたっけ?」

どたどたと慌てたような足音が響く。
浴室の扉の向こうにシルエットが浮かぶ。
心臓が潰れそうなほどに縮み込む。

「ちょっとー、変な声したけど大丈夫?」

「だ、大丈夫…!
 床で滑って転びそうになって」

「もう……気をつけてよ。
 のぼせないうちに早く上がってね?」

涼子の気配がまた遠ざかっていく。
内心でほっと息をつく。
そんな僕を見て、女の子はにやにやと笑ってる。

「良かったですね。ばれなかったみたいですよ。
 だらしなく口を開けて、目元を緩ませて
 よだれを垂らしながら射精したことは」

もう……なにも言い返せなかった。
僕はまた涼子を裏切った。
目先の快楽に流されて。射精した。

僕は…馬鹿だ。屑だ。発情期の動物以下だ。
いっそこのまま本当に転んで
床に頭を打ちつけて死んでしまえればいいのに。

「死にたい、って顔してますね。
 でも、どうせ無理なんですから諦めましょうね。
 生きてるかぎり、もう一度さっきみたいな
 とっても気持ちいい思いができるかもしれない。
 それを知ってるお兄さんは、
 自分で死を選ぶなんてできっこないんですから」

女の子がおもむろに蛇口に手を伸ばす。
スイッチが切り替えられて、
シャワーから水流が噴き出しはじめる。

「また汚れちゃったから、洗わないとだめですね。
 ほら、お兄さんも座ってくださいよ。
 おちんちん綺麗にしておかないと、
 お部屋に戻っても精液の臭いがしちゃいますよ?」

シャワーヘッドを手に持った少女から、
浴室用のイスに座るように促される。
断ることもできないまま腰を下ろす。
少女が目の前に立って、僕にシャワーを向ける。
あたたかくこまかな水流が、頭の上から降り注ぐ。

「ここはとくに念入りに、と」

股間部分に水流が向けられる。
射精したばかりで萎えているペニスにお湯があたる。
くすぐったさに似た震えが走る。

「それからもちろん……私自身もですね。
 顔も洋服も、どこもかしこも
 精液まみれにされてしまいましたから」

女の子がシャワーを自分に注ぎはじめる。
髪の毛が水気を吸って垂れ落ちる。
ブラウスとスカートが水に濡れて透けていく。
布地が肌にぴったりと張りつく。
少女のやらしい肢体の形がくっきり浮かび上がる。

「どこ見てるんですか?
 私のおっぱい、気になっちゃいますか?」」

半ばまではだけたブラウスが、
胸のゆるやかな膨らみにぴったりと吸いついてる。
薄い生地の向こうから、小さく尖ったものが透けて見える。

「まったく……乳首ばっかり、じーっと見て。
 またやらしい目になってますよ?」

女の子はブラウスの上から指で乳首をさする。
白い布地にかすかに赤みが混じって見える。

「さっき……ここにも精液いっぱいかかったんですよ?
 おかげで、ぬるぬるしちゃってます。
 汚れが落ちにくくて困っちゃいますね」

人差し指をぴっと伸ばして、乳首にぐにぐに押しつける。
見てるだけで、連想せずにはいられない。
自分のペニスの先端をそこに押しつけ、こすりつけるのを……。

「ん……また大きくなっちゃいましたか?」

もう二回も、しかも大量に吐精したはずなのに
またペニスはがちがちに勃起する。
限界まで膨らんでるのに、それでもまだ血が流れ込もうと
根元のところでどくどくと蠢いてる。

「精液、出したいですか?」

うなだれるように、頭が落ちてしまう。
出したくてたまらない。この淫靡な身体を汚したい。
このままなにもしてもらえないなんて
想像するだけで気が狂いそうだった。

「手のひらに爪を突き立てて、あんなに後悔してたのに。
 やっぱり我慢なんて無駄でしたね。
 でも、私には分かってましたよ。
 あんなすぐに消えてしまう痛み程度では、
 お兄さんの罪悪感は数分も持たないって」

さらに自分の身体にお湯を注ぎながら、
女の子がゆっくりと腰を下ろしてくる。
椅子に座った僕の両脚の上に、
ぐっしょりと濡れたスカートが触れる。
小さくて引き締まった臀部の感触が広がる。

「あんなに出したのに、またこんなに大きくして。
 びくびくって、まるで別の生き物みたいに跳ねさせて。
 本当に欲望にまるで抗えない人ですね」

女の子の太もものあいだで、ペニスが何度も反り返る。
ペニスにはスカートがかぶさっているけど、
そのピンクの布地が竿の形に何度も膨れ上がる。
濡れたスカートがこすれるだけで、腰の奥がうずく。
精液が尿道を駆け上るあの快感を思い出してしまう。

「そういえば身体を洗うんでしたね。
 だったら、これもたっぷり必要ですね」

僕の両腿に乗ったままで、ボディーソープに手を伸ばす。
ボトルの蓋を直接開けると、なんのためらいも見せずに
その中身を自分自身にかけていく。
鎖骨から胸、お腹、下腹部へと、白くどろりとしたものが流れる。
スカートをつたって、ペニスにもぬるりとした感触が広がる。

「さあ、ちゃんと洗ってくださいね。
 私はお兄さんに教えてあげましたよね。
 自分が汚したものは自分で綺麗にしないと、って」

シャワーヘッドを壁にかけると、
かわりに僕の手をとって、自分の胸にそっと押し当てる。
布地の向こうから、淫らな柔らかさが伝わる。
小さく尖った乳首が手のひらに当たる。
指に力を込めてしまう。
小ぶりで、けれどとても柔らかな胸を揉んでしまう。
おっぱいの感触が指の股に入り込む。
もっと、もっと触りたい。もっとむにゅむにゅしたい…っ…。
ブラウスの隙間に手を潜り込ませる。
ボディソープにぬめる生乳を撫で回す。
おっぱいをまさぐっているだけで絶頂しそうだった。
ペニスの下の方にじんじんとした熱い快感が溜まる。
あぁ…出ちゃう……出ちゃ………。

「ねーねー、このアイス食べてもいい?」

いつのまにか、涼子がまたドアの向こうにいた。
とっさに少女の身体を跳ねのけかけて、
でもそれより早く逆にぎゅっと抱きつかれる。
耳元でそっと小声で囁かれる。

「いま離れたら、私がいるってばれちゃいますよ?
 大丈夫……ぴったりくっついていれば分かりません。
 お兄さんしかいないように見えますよ」

ドアがこんこん、と叩かれる。

「もしもーし、大丈夫? 聞こえてる?」

「あ……う、うんっ……聞こえてるよ。
 なんでも食べてくれていいよ」

「えへへ、よかったー。
 新発売のでどんな味か気になってたの。
 食べかけみたいだから悪いかなって思ったんだけど」

そう言われて、やっとあのアイスだと思い出す。
女の子が買ってきて、僕に指で食べさせたあのアイスクリーム。
溶けはじめていたのを冷凍庫にしまっておいた。

「あはっ……お兄さんはひどい人ですね。
 私に食べさせてもらったアイスを、
 今度は自分の恋人さんに食べさせるなんて。
 それに……ふふっ、きっと気づいてないんでしょうね」

くすくす笑いをこぼしながら、いっそう僕に抱きついてくる。
ボディソープでぬるぬるになった腕が、僕の首にぬるりと巻きつく。
あたたかい吐息が耳にかかる。

「お兄さんが馬鹿みたいにびゅーびゅー精液を出したとき、
 アイスのカップの中にもたくさん飛び散ってたんですよ。
 それを恋人さんに食べさせるなんて……まるで悪魔ですね」

呼吸が止まる。声が出ない。
いまさら食べないように言ったら、怪しまれる。
でも……だけど……っ……。

「んー……あんまり美味しくない、かな?
 なんかバニラに変な味がまざってる感じがする。
 これは外れかな?」

ドアの向こうで涼子がスプーンを動かしてる。
僕の精液が、涼子以外の女の子に搾り取られた精液が
恋人の口の中に啜りこまれてる……。
あ……ぁ………僕は…なんてことを………。

「ふふっ、久しぶりに心の底まで後悔してる顔、
 見せてくれましたね……お兄さん。
 でもせっかくですから、もっと見せてくださいね。
 罪悪感に浸りながら、快楽に悶える素敵な顔を」

濡れたスカートの上から、亀頭をこすられる。
泣きそうなのに、身体と性器が勝手に快感を貪りだす。
止められていた射精感があっというまに膨れ上がる。

「……ぁ……うぁ……や…めて……っ……」

「んー? なんか言った?
 あ、そうだ、シャンプーもし切れてたら
 隣の小さいボトルから使ってねー。
 でね、さっきしてた話の続きなんだけど……」

涼子の声を聞きながら、快感で身をよじる。
だけど、ぴったり隙間なく密着していて逃げ場がない。
少女の楽しげな手つきに、気持ちよさが引きずり出される。

「もう、どうしちゃったんですか、お兄さん。
 さっきは、出させてほしいって言ってたはずなのに。
 今度はやめてだなんて。
 無理に我慢せずに、気持ちよくなればいいのに。
 ほら、私のパンツにもこすりつけてあげますよ?」

スカートの下で、尿道口と裏筋がすべすべしたものに触れる。
年下の少女のショーツに、ペニスが何度もこすりつけられる。
シルクのようになめらかな感触が広がる。
カウパーがどんどん溢れ出してボディソープに混じる。
性器の先っぽはもう、ぬるぬるした心地良さしか感じない。
悔しくて悲しくて、なのに身体が快楽を貪ってしまう。

「ふふ……もしかして泣いてるんですか?」

いつのまにか涙がこぼれてた。
シャワーの飛沫とは違うあたたかいものが頬を伝う。
口の中でかすかに塩の味がする。

「そこまで苦しんでくれるなんて、嬉しいです。
 ご褒美に、最高に気持ちよくしてあげます。
 思い出すたびに、泣きながら射精したくなるぐらいに」

あたたかく濡れたスカートがペニスをくるむ。
ピンク色の布地に、まるでひだのように淫らなしわが出来る。
お湯とボディソープをずっしりと吸い込んだ生地で、
ぬちゅっ…ずちゅる…っ…と、いやらしく扱かれる。

「存分に射精していいですよ。
 ぜんぶ受け止めてあげますから
 それに涙も好きなだけ流してください。
 ぜんぶ舐め取ってあげますから」

桃色の唇が近づいて、僕の目元に触れる。
涙がそうっと舐め取られる。
女の子の甘くてなまめかしい匂いが鼻腔を満たす。
ペニスはぐちゅぐちゅと、こすられつづける。
涼子の声もずっと聞こえてる。

「……でね、今度の誕生日だけど
 なんでも好きなものくれるって言ってくれたでしょ?
 それで、私すごい考えたんだけど、
 あのね……えっと、二人で旅行に行けたらいいなって。
 どっか温泉旅館とかでのんびり、みたいな。
 ね、だめかな?」

「……うん………いいよ……」

泣き声になりそうなのを必死に押し隠して答える。
吐き気と目まいが止まらない。
涙が溢れて、でもすぐに唇でついばむように啜られる。

「優しくて可愛い恋人さん。それを裏切るお兄さん。
 とっても素敵で楽しいですね」

スカートがゆっくりと前後に動く。
まるでオナホみたいに丸く折り重なった布地の中で、
ぬるぬるになった繊維がペニスを撫で回す。
その上から少女の指が竿を圧迫する。
根元から精液を搾り出すみたいにゆっくりと。

「想像、してるんですよね?
 こうやって私とくっついて、足のあいだでペニスをこねられて。
 私の中にぐちゅぐちゅ挿入して、交わっているところを。
 いいですよ、どうそお兄さんの好きに想像してください。
 子宮口を突いてる気分にもさせてあげましょうか」

指がペニスの先端近くにまとわりつく。
布地を動かしながら、人差し指がときおり尿道口をとんとん叩く。
耳元で小声で「あはっ、気持ちいいよぉ…♪」とうそぶく。
なにもかも偽物だと分かってるのに身体が反応してしまう。
僕よりもずっと背の低いこの女の子の中に精液を注ぎ込む。
それを想像して、腰の奥がひくひくと収縮する。

「さあ、私を犯してください。精液を吐き出してください。
 恋人さんと扉一枚隔てて、作り物の幸福を演じながら、
 快楽と欲望に溺れましょう」

少女のぬるぬるの指が、僕の肩甲骨をなぞる。
涼子のはにかんだ声が聞こえる。
足の上で少女の肢体がなまめかしく揺れる。
手のひらいっぱいに、やらかい乳房を感じる。
スカートのひだが、裏筋を一際つよくこする…!

「……ぁ………ぁ…ぁ…あぁ……っ…!!」

どぷっ、どぷどぶっ…!と精液がスカートの中に放たれる。
裏筋を少女の指がかりかりと何度も引っ掻く。
頭の中が何度も真っ白な快感で弾ける。
精液が駆け上り、飛び出す気持ちよさだけが続く。
声を荒げることもできない。
嗚咽にも似た呼吸をつづけながら射精する。
繊維の隙間から白い粘液が滲んでこぼれる。
精液の臭いが充満していく。

「じゃあ私、良さそうな旅館かホテル探してくるね♪」

嬉しそうな声を残して、涼子がいなくなる。
でも、言葉をかけることすらできない。
身体の中に残っていた精液がまだゆっくり溢れてる。
女の子は僕の背中を抱いたまま、
スカートをくるんでる指をくにくにと動かす。

「気持ちよかったですか、お兄さん?
 それは良かったですね。
 ああ、そういえばボディソープは粘膜を傷つけるので
 しばらくは性器が痛むと思いますよ。
 でも、ちょうどいいですよね。
 中途半端な痛みでは、すぐに罪悪感を忘れてしまう
 だめなお兄さんのことですから」

ゆっくりとスカートが開かれる。
水分を吸った布地からも滑り落ちないほどの
どろりとした精液が大量に付着していた。

「恋人さんには下着の替えがない、とでも言って
 コンビニにでも行ってきてもらってください。
 そのあいだに適当な服を借りて帰りますから。
 ああ、ただし……」

少女の指が、ペニスを一撫でする。
萎えかけていたものが……また少しだけ膨らむ。

「お兄さんがまだしたい、というのなら
 私はそれでもいいですよ。
 きっと次はもっと気持ちよくなれるでしょうから。
 そのかわりに、もっとお兄さんは苦しむことになるでしょうから。
 さあ……好きな方を選んでくださいね」

END